みんなで食事
美味しそうな匂いが辺りに立ち込めのに釣られ、あちらこちらで可愛らしいお腹の音が聞こえている。
横を見やれば子供達の相手をしているグロウ君や小さな子達に懐かれているウォルターさん、女の子達からきゃあきゃあ言われているマクシミリアンさんとヨアヒムさん、そして部屋の隅には壁にもたれ掛かるギルドマスター。
もうそろそろ、料理が出来上がる頃なのだけど帰る様子はない。
(これって、ギルドマスター達にも料理を出さないとだよね?)
兄達に伝えなければと部屋を出ようとしたところに、扉がちょっと開きシオンが入ってきた。
扉が開いたのは本当に少しなので、ギルドマスター達は気付いたようだけど、子供達には気付かれなかったようだ。
どうやらシオンは兄達のお手伝いが終わったから戻ってきたのと、ルーク君達が帰ってきた時に、チャッチャが兄達にルーク君達と一緒にマクシミリアンさん達とギルドマスターが来たのを伝えたそうで、兄達はもしもの時を考えて、シチューや卵粥を多めに作っていたということをシオンが教えてくれた。
蒼兄さんがぶつぶつと文句を言いながら、シチューをかき混ぜている姿が目に浮かんだ。
兎に角、料理の方は大丈夫そうなので、みんなと一緒に待つことにしたのだった。
◇◇◇◇◇◇
「ちょっと!! ルークもロイも手伝ってよ!」
「そうよ!」
「別に手伝わなくても大丈夫だろ」
「めんどくさ」
「ミゲルはちゃんと手伝ってるわ」
「働かざる者食うべからずよ!」
「ギルマス達だって手伝ってないだろ」
「マクシミリアン様はお客様だからいいの!!」
「お客様じゃなくてもヨアヒム様にはさせないけどね!」
「「ぐっ…」」
結局、女子達に負けて渋々と横に避けていた大きなテーブルを運んでいるルーク君とロイ君。
ミゲル君は女子達と軽めの作業だ。
(こういう所は異世界も元の世界も変わらなさそう)
テーブルと椅子を並べ、そこに食器を並べる。
先程まで子供達が遊んでいた部屋は中央に細長いテーブルが二つ並び、その一つには小さな子達が座り今か今かと待ちわびていると、部屋の扉が開き兄達が入ってきた。
「おかわりもあるから、いっぱい食べてね」
「「「「はーい!」」」」
「あっ でもお腹いっぱいにはしないでね。最後におやつも用意してるから」
「「「「ほんとに?! やったぁ!!」」」」
大喜びする子供達だけど、やはり気になるのはシチューの隣の卵粥だろう。
初めて食べるだろうから器は小さな物に入れてあるが、見るのも初めてだから、みんな戸惑っている。
「これは…米か」
流石はギルドマスター。
「は、はい。よく分かりましたね」
「他国に行った時に口にしたことがある」
シチューと卵粥が全員に行き渡り、最後一人が着席をしたところで食事前のお祈りが始まったのだけど、お祈りが終わるやいなや子供達がシチューにかぶりつく。
「あっ! 熱いから……」
「「「「おいしいっ!!」」」」
どうやらシチューの温度は熱くないようで、子供達は美味しいと声を揃えた後は、無言でシチューを掻き込んでいる。
シチューを一口含めば、猫舌でも火傷しない丁度いい温度だった。
卵粥も口にすると、こちらも丁度いい絶妙な温度だ。
子供達の為にシチューも卵粥も少し冷ましたようで、猫舌の私もありがたい。
ちらり蒼兄さんを見れば、スッと目を逸らされた。
(素直じゃないなぁ)
そのまま卵粥を口にしていると、隣に座るマシュー君が卵粥を食べている私をじっと見ていたようで、それを真似して卵粥をパクリと口に入れた。
「こっちもおいちぃ!」
最後の方は噛んで〝おいちぃ〟になっていた。
可愛い。
「…これはフォレストグリーンサーペントか」
いつの間にか卵粥を口にしていたギルドマスターの問いに答える。
「はい。フォレストグリーンサーペントは滋養に良いと聞きました。それと卵も米も栄養を取るのに適しているので、シスターに良いかなと…」
なので主にシチューを子供達に、卵粥をシスターの為に用意したのだ。
因みにシチューにはジャイアントホーンラビットのもも肉が入っている。
シスターは体調も良く、本当は動いても大丈夫だけど、大事を取って今日一日は大人しくしてもらっていて、今は神父様がシスターを看ている。
そして今頃、二人もシチューと卵粥を食べている頃だ。
今年も一年【漆黒のヴァルキュリア】をお読み頂き心より感謝申し上げます。
今年も残りわずかとなってまいりました。
私事ではありますが、いつもより年末年始が一層慌ただしくなりそうなので、三週間ほどお休みをいただきたいと思います。
皆様もお体にお気をつけて、クリスマス、そしてお正月をお過ごしくださいませ。
来年も、【漆黒のヴァルキュリア】をよろしくお願い致します。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。




