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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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早めの登場

お待たせしました!

ストックは万全ではありませんが、一話投稿いたします。


「「「米」」」





 恥ずかしいぐらい兄達と声が揃ってしまった。


 ()()剛兄さんでさえ声を揃わせてしまう衝撃。


 だって、こういう場合のお米って色んな国々を旅して、やっとこさ見つけるはずなのに…。




 まだ序盤だよ?






 お米に釘付けになっていると「ひぇっ…」と言う声で我に返る。

 私達のせいで店主さんを驚かせてしまったようだ。



「あっ、いきなりでごめんなさい。この子達は私の従魔で…」


「いえっ、こちらこそすみません! 噂では聞いていたのですが…その…意外と大きくて……」



 どうやら、この店主さんは私達を見るのは初めてらしく話を聞いてみると、暫くルナティオースの町には来ていなかったようで、噂の方はクリス達がアビスマーダーキャットだった噂しか知らなかったそうだ。


 そして、私達が来る少し前に隣の屋台のおばさんにクリス達の今の噂(ケットシー)の方を聞かされて、混乱しているところに私達がやって来た…ということだった。



「と、ところで、その…」


「すみませんっ えーと、これって、お米…ですよね?」


「はい!! そうです! 私の村の特産なんですっ…けど、あまりにも売れなくてね…ははは」


 自虐的に笑いながら話す、この方はトムさんという農家さんで、近くの村でお米を作っているという。


 それから少し話を聞いてみると、元々このフィデンリーザ王国ではお米の普及は無く、トムさんの曾祖父が他国から移住してトムさん住む村、コステノ村でお米を育て初めるが、今に至るまで売れ行きは芳しくないそうだ。


「お米、美味しいのに…」

「!? そうですよね! 良かったっ…分かってくれる人がいてっ…」


 感極まって涙ぐむトムさんは、だいぶクリス達に慣れてきたのか表情が柔らかくなり、緊張が解れてきたみたいで最初こそ驚いていたけれど、クリス達が見たこともない魔物の〝アビスマーダーキャット〟より、こちらも見たこともないが子供の時から伝説として語り継がれる〝ケットシー〟だという方がしっくりくるみたいだ。


 トムさんもだけど、この国やこの世界の人達は姿を見せないケットシーを心から信じていて、それ故、ケットシーかもしれない猫達をとても大切にしている。



 中にはケットシー好きが高じて、ケットシーを神として崇拝する宗教を新しく作ってしまった国まであるという話だ。




「うちの子達もお米が好きで、よく食べるんですよ」

「本当ですか?! そ、そうですか…ケットシーが米を……」



 お米が何故売れないかというと、先ずは知名度、これは仕方無い。

 他には調理法の少なさで、リゾットやパエリアのような他の食材と一緒に調理する方法が多く、お米だけを炊くことはトムさん達も今では滅多にしないらしい。


「曾祖父達が生まれた国でも米だけを炊くのは半数以下です。昔は米だけでも炊いていたのですが、最近では肉や野菜と煮込むものが主流になりました」


 お米を知らない人はお米を炊くのに、何回も研いだりお水の量や火の加減が難しく敬遠するのだという。


「それに今、主に米は家畜や鳥の餌になってるんです」


 驚きのことに「えぇ…勿体無い」とぼそりと呟けば、トムさんは目を潤ませ「ありがとうございますっ…」と、またも泣きそうになるトムさんを宥め、私達はお米を大量に購入。

 今、ここにあるのは白いお米しかないのだけど、村では玄米や他の穀物類を作っているようで、次に来る時には色々持って来てほしいとお願いをした。



(なんだったら、トムさんの村に直接行ってもいいかも)




 満面の笑顔で手を振るトムさんに別れを告げ、私達は本来の目的である小麦粉を買って、孤児院を目指し市場を後にした。










ブクマ、評価、いいね、

そして、お読みいただきありがとうございます!


前書きの通りストックが全然出来ませんでした。

一ヶ月後の投稿の約束もありましたが

私自身も投稿がしたくて書き上げました。


投稿が一ヶ月後になるかも知れませんが

その時は、またお待ちいただけたなら、とても嬉しく思います。


活動報告でもお知らせしますので

よろしくお願い致します。


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