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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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私が落ちたのは…



 ―――…レ…イ………―――。









 ……呼んでる…。




 ………誰?




 …何故、私を呼ぶの?――











◇◆◇◆◇◆




 ―――い……れ…い…麗――






「朝だぞ。麗」



「うぅ~ん…もう朝? 早くない?」

「早くない。随分と寝ただろ」

「う~」


 いつものように蒼兄さんに起こされ、身体を起こそうすると、お腹の上にはシオン、アジサイ、カスミが寄り添い一塊になって寝ていた。

 クリスの話によると私が眠った後も、シオン達はずっと私の上をぷにぷにとしていたらしく、寝たのはかなり遅くなっていたという。


 まだ寝ているシオン達をそっとベッドへ置いて、欠伸をしながら大きく伸びをする。


 クリスとジルも既に起きていて、チャッチャとチッチャも大きくなり、それぞれ兄達のベッドの上で毛繕いをしている最中だった。


 まだ眠たい頭と身体を無理矢理動かし身支度を済ませて、昨夜と同じ母のおにぎりを食べながら未だ、ぼーっとする頭で先程見た夢を思い出そうとするが、なかなか思い出せない。



(思い出さないといけない気がするのに…)



 でも、それは慌ただしい朝により夢のことは頭の隅に追いやられた。



「ぼーっとしてると時間がなくなるぞ」


「分かってる」



 最後の一口を口に放り込み、おにぎりを食べ終えるとテントを出る。


 テントを片付けていると訓練場に商人兼冒険者達がやって来て訓練を始め出した。



(毎日毎日飽きもせず訓練場に通い詰めて、暇なのかな)


 そんな彼らを無視して先を急いだ。







 ギルドマスターの部屋の前に着くと蒼兄さんが扉を叩く。


「どうぞ」


 扉を開くとギルドマスターが正面の机に向かい座り、側にはグレンさんが立っていて、先程の声はグレンさんだ。



「おはよう」


「おっ…おは…ようございます…」



 ギルドマスターはわざとなのか、真っ直ぐ私の目を見据えて挨拶をするので昨日の事が頭に過り、言葉を詰まらせながら思わず目を逸らす。


 昨日のような声に甘さはないけど、明らかに昨日の事を意識させようとする挨拶だった。


 現にギルドマスターは私の態度に満足そうに微笑んでいる。




「さて、挨拶はこのくらいにして本題に入ろうか」


 先程までの微笑みは一転、真剣な表情のギルドマスターがソファーに座ると、私達もいつもの順番でソファーに座った。



「ソウから大体の話は聞いていると思うが、改めて話しておく。先ずは隠し通路とオーク討伐についてだが、オーク討伐は四日後、偵察隊が隠し通路とオークの調査に既に向かっている」


(ってことは、あの隠し通路は偵察隊の人達が最初に入っちゃうのか)


「一番に入らせてやれなくて済まないな」


 私の表情で察したのかギルドマスターがそんなことを言ってきた。


「………」


 蒼兄さんの無言の視線が痛い。



 それからギルドマスターの話は続いた。


「君達と【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】、そして討伐隊最後の一組の合流は当日になるだろう。……まぁ、変わってはいるが悪い奴等ではないから安心していい」


 グレンさんの捕捉ではその人達もA級冒険者でA級パーティーなのだという。


 それから、討伐日までは大きな依頼を受けなければ自由に過ごして構わないとのことだった。




「それと、もう一つご報告があります」


 グレンさんに報告があると言われ、首を傾げればギルドマスターから驚く事が告げられる。



「レイ、君が落ちた洞窟…あれはダンジョンだ」



「えっ…本当ですか!?」


「ああ、本当だ」


 私は実のところ、あれがダンジョンではないかと密かに思っていた。

 それが顔にはっきり現れていたらしく、ギルドマスターは苦笑いで話を続ける。



「今はオーク討伐が先だが、それが終わればダンジョンを調査する。隠し通路の方は偵察隊の調査で殆どが終わるだろうから、後の調査にはそんなには時間は掛からない筈だ」


「あの…ダンジョンの調査って志願出来ますか?」


「C級でも君達なら大丈夫だろうが、念のためマクシミリアン達も同行になるやも知れん」


「麗!」

「蒼兄さん、剛兄さん。危なそうなダンジョンなら、ちゃんと引き返すから、お願いっ!!」


 必殺うるうるお願い攻撃で蒼兄さんは落とせそうだけど、剛兄さんがどう出るか…。


「「………」」


 流石に今回は手強いか…でも、こちらも引くわけにはいかない。





(だって未踏のダンジョンだよ?)













お読み頂きありがとうございました。

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