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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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脱出と少年の決意


『どうやら、みんな来たみたいだね』



 急な人の気配に、私達は飛び退くように離れた。


 ギルドマスターの瞳はいつものエメラルドグリーンの瞳で、魔獣のような気配も消えている。



 それでも、まだ私の心臓は辺りに聞こえそうなぐらい、激しく音を立てていた。


(まるで魔獣に食べられるかと思った)



 ボンヤリとそんなことを考えていると、暗闇の奥からジルが現れる。


『いたわよ』


 するとジルの後ろから兄達が、なんとも言えない表情でこちらに近付いてくる。



(あー、これ後で絶対説教だわ)



 その後のことを思い身震いした。



「レイ! 良かったっ、無事だったんだね」

「本当に…無事で何よりです」


「ありがとうございます。ご心配をおかけして、すみません」



 グロウ君とグレンさんも駆け付けて、心配してくれる二人にお礼を言うと、後ろの方から「自分も居るんだが…」と私ばかりを心配するグロウ君とグレンさんを横目に、ギルドマスターは少し拗ねるように呟いていた。



 それからは、あっという間に事が進み、この洞窟から出ることになった。



 その際に、ここが何処だか鑑定を使い調べようとしたところ、「何もしないで大人しくしろ」と蒼兄さんに止められる。

 こっそり使おうと思ったのになぜかバレてる。


 蒼兄さんが私に鑑定を使わせなかったのかは、私にこの場所が何なのか()()()()()()()()()という事だろうか。



 それに、今使えば確実に気付かれて要らぬ雷が落ちるし、説教時間も絶対増えるだろうから、鑑定は諦め大人しくしていようと心に誓う。



 触らぬ神に祟りなし、である。









 私達を探しに洞窟へ入ったのは兄達とジル、チッチャ、グロウ君とグレンさんで、残りのチャッチャとマクシミリアンさん、ヨアヒムさん、ウォルターさんはルーク君達と洞窟の入口近くで待機中らしい。

 

 私達の居た場所は少し広めの部屋のようになっていて、部屋から出ると洞窟の中で川が流れているし、内部の作りも先程見つけた隠し通路と同じ物には見えなかった。



 暫く進むと先の方から小さな光が見えて、進む毎に光は大きくなりその先は外だった。



「眩しい…」


「あっ! おねぇちゃんだ!!」


 外の眩しさに目を細めていると近くからマシュー君の呼ぶ声が聞こえ、そちらへ振り返る。



 洞窟の入口から少し離れた所にマクシミリアンさん、ヨアヒムさん、ウォルターさんとルーク君、ロイ君、ミゲル君、そして私達の方へと駆け寄ろうとしているマシュー君と、そのマシュー君の襟首を咥えているチャッチャがいた。


 チャッチャに襟首を咥えられて、じたばたともがくマシュー君だけど、何だかとても楽しそうだ。


 マシュー君はそのまま、私よりチャッチャにぶらぶらと咥えられるのが気に入ったようだけど、当のチャッチャはウロチョロされるのが嫌で捕まえていただけなので大いに困惑している。


 だけど今はマシュー君はチャッチャに任せて、私は先程からずっと下を向いているルーク君の側へと寄った。



「良かった。ルーク君、怪我はないみたいだね」


「………っ、―――なんでっ…俺なんかっ…」


「なんでって、それはルーク君を助けたいって思ったからに決まってるじゃない」


「…俺はっ……」


「でも本当、ルーク君が無事で良かった」


「………」


「ルーク君?」


 急に黙ってしまったルーク君。



「……俺は…すぐに強くなる」


 そう言ってルーク君は私を見る。

 身長差は殆どないけど、少し私を見上げるルーク君。



「背だって、ねーちゃんよりもずっと大きく…ギルマスみたいに大きくなって、誰よりも強くなるからな!」


「えっ! う、うん…」



「…それでっ…今度は俺があんたを守るからっ…」



 そこまで言ったルーク君は私が声を掛ける前に、背を向けて離れて行ってしまった。




「あ、あいつ…」

「青春だね~。ってグロウ、ルークに先越されてるよ?」

「うぐぅ~~~」


「全く、貴方達は…それよりもマティアス。怪我の具合はどうですか?」

「怪我はしていない。…いや、した事はしたが彼女のポーションで助かった」


 その話を聞いた兄達が振り返り、私と目が合う。


「「………」」


「………」



 直ぐに目を逸らしたが、もう遅い。




 後に繰り広げられることとなる、兄達のお説教が長引くことは確実だった。











お読み頂きありがとうございました。

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