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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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予想外


 騒がしかった休憩時間は丁度30分ぐらいで終えることができた。



 私が空っぽになったお皿を回収していると、しゅんと肩を落としているグロウ君とルーク君を目の端に捉えて、二人のあまりの哀愁に声をかける。


「えっと、今度また同じ物のを用意するから元気出してね」

「「ほんとに!?」」


 ギルドマスターからは胡椒やマヨネーズを容易に出さない方がいいと言われたけど、もう知ってしまったグロウ君とルーク君なら、また食べさせてもいいだろうと考えていたのだが。


「レイ、あまりこいつらを甘やかすな」

「でも…」

「暫く()()は禁止だ」


「「そ、そんなぁー…」」


 ギルドマスターから禁止が出てしまった。

 でも暫くと言ってたし、ギルドマスターは私達が胡椒等で厄介事に巻き込まれないように、配慮してくれているんだと思う。


 ならば、この世界やルナティオースの町に今ある物で美味しい料理が出来ないか…と思ったけど、如何せんどうにも私は料理が苦手なので、本当、どうしたものか。


 まぁ、それは追々考えることにしよう。



 そして案の定、グロウ君とルーク君は先程よりも更に凹んでいたので、そっとしておいた。








◇◇◇◇◇◇



 片付けが終わり、今度こそ町へ戻ろうとした、その時―――。




『…来たね』

『おっ、アホが寄って来たぜ』

『にゃっ! 豚さんだにゃ!』

『本当に来たのね。アホだわ』


 異変に気づいたのはクリス達だ。


 私も気配感知を使うも範囲外らしく確認出来ず、それは兄達も同じのようで、蒼兄さんと剛兄さんを見上げるが二人とも首を横に振った。




 後にクリス達に確かめたところ、クリス、ジル、チャッチャ、チッチャの気配感知は私達の気配感知より遥かに広範囲に展開出来るとのことだった。


 気配感知等の多くのスキルは使えば使うほど範囲が広くなったり、強化されたりするのだけれど、クリス達はそれ以外に彼らケットシーの力が上乗せされているようで、私達よりも気配感知の範囲が格段に広いのだという。




 そして、先程とは打って変わって緊張感を纏ったギルドマスターが一瞬、森の奥のある一点を睨み付けた。



『あの距離を正確に見定めたか…流石だね』


 クリスも一瞬しか見せなかったギルドマスターの動きに気づいていた。


「直ぐにこの場を離れるぞ」


 ギルドマスターが森に目を向けたのは、ほんの一瞬で直ぐにこの場を離れると行動に移す。



『大丈夫にゃ! ボクがやっつけに行くにゃ!』

『行かなくていいよチッチャ、あれは偵察だね。僕らがいつここから離れるのか、気になって見に来たんだよ。だから手出しはしないこと』

『にゃにゃー…』







 クリスが言ったように偵察していた魔物は、私達が移動して少しすると居なくなっていた。




 そこへギルドマスターがクリスに乗る私の隣にへと来る。


「どうやら、諦めたようだな」


「そのようですね」


「……全体二割もいない。これがオークの雌の割合だ」

「?…ゴブリンと違って雌がいるんですね」


 いきなり何の話をと思ったけど、興味が出たのでそのまま聞くことにした。


「ああ。だが、奴等の同じ所は食らうこと以外に()()()()所だ」



 意味が分かって、思わず息を呑んだ。


「オークもゴブリンと同じく巣を形成すると繁殖期に入る。だがオークの雌は極端に数が少ない。その為、雌を得られるのは群れの中でも強い上位種だけで、その他の弱い者は雌に近付くことすら出来ない。そこで奴等はゴブリンより強いと言われる欲を発散する為に…人を襲う」


「……」


「…孕むことないが、時にその強すぎる欲は年齢も性別すら問わない」


 口元を手で覆うことしか出来ず、何も言えなかった。


 だって、もし…先程のオーク達が巣を持ち繁殖期だったら…そして、マシュー君達を執拗に狙っていたように見えた……その理由は…。



「ギルマスッ、何でレイにそんな話をっ…レイ、大丈夫?」


 私は思ったより動揺していたのかグロウ君に心配をかけてしまった様で、いや、周りを見るとマクシミリアンさんやヨアヒムさん、ウォルターさん、グレンさんにも複雑な表情をさせてしまっていた。



 兄達はギルドマスターを睨み付けていた…。



「知らずにそんな状況に出くわすより、知っていた方が覚悟が違う。特に女性で冒険者をするなら知るべきことだ」


「…確かにそうだけど…」


 グロウ君は私を見た後、心配そうにマシュー君達の方を見た。


 マシュー君とルーク君達はマシュー君がジルに乗り、直ぐ横にルーク君達がいる形になっていて、ひとりでジルに乗れてはしゃぐマシュー君には今の話は聞こえてはいないだろう。

 ルーク君達は聞こえているようだけど、何も言わずにマシュー君の相手をしている。


 冒険者を志す彼らには少年ながらでも、その覚悟が表情から見て取れた。




「英雄時代はもっと厳しい状態だったらしい。その後、数百年魔物も静かだったが、ここ約二十年で急激に魔物の勢力が増し状況も変化した。無論、悪い方にな…」


 そして、ギルドマスターは「だからこそだ」と付け加え話を終えた。







 そして、ルナティオースの町に戻るため歩みを進める私達は、この後、予想外の出来事に遭遇する事となる。











お読み頂きありがとうございました。

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