これって、もしかして…
「いや、やっぱり俺も一緒に…」
「もう!! 私とクリスとジルで大丈夫だから!」
オーク回収の出発直前の蒼兄さんの台詞だ。
事前に兄達やクリス達と決めたのに直前になってこれなんだもん。
まぁ、事前の時も大変だったんだけどね。
みんな別々にオークを回収しようと私の提案に蒼兄さんから異議申し立てが入った。
「一人は危ない」
「一人じゃないよ、クリスがいるし」
「だが…」
『だったら、あたしも麗ねぇちゃと一緒に行くから、それでいいでしょ?』
と、ごねる蒼兄さんにジルが自分も一緒に行くと言ってくれて、後は剛兄さんの一言で決まったのだ。
それにオークならクリスとジルでは過剰戦力なぐらいだし、なんだったら私一人でも十分なのに。
オークの死骸をアイテムボックスに放り込みながら、ルーク君達がいた遺跡の周りの森を散策中。
チッチャがかなりの広範囲を動きオークを倒していたので、死骸を探すのも一苦労だ。
最初、蒼兄さんは遺跡の開けた場所のオークの回収を私に任せるつもりだったんだろうけど、それに気づいた私は「分けて回収しないとね」と言いながら自分の分の遺跡のオークをさっさと回収し、森の中で三方向に分かれての回収にまで話を持っていくことができた。
『ここら辺のはこれで最後みたいよ』
そう言ってジルが自分のアイテムボックスからオーク四体を、汚い物を摘まむように爪に引っ掛けポイポイと出す。
本当に気に入らないらしい。
私はそれを自分のアイテムボックスに放り込む。
「それなら、もうちょっと奥まで回収漏れが無いか探しちゃおうか」
どうやら回収するオークも無さそうなので本当にないのか、この先の森の奥の方まで調べてみようと思う。
『麗ねぇちゃ、この先には回収するオークは無いと思うけど』
「大丈夫大丈夫。念のためだよ。念のため」
『あたし知ーらない』
クリスとジルにあれこれと言われたが、それに何だかこの先が妙に気になってしまって仕方がないのだ。
「じゃあ、行ってみよう!!」
『『はーい』』
気になった先、森の奥に進むもこの辺りは人が入った形跡もあんまり無い様で、獣道? いや、魔物だから魔物道かな? それがあるだけだった。
魔物道を進むと目の前に山のような物が見えてくる。
山と言ってもクリスより少し大きい、苔や草がびっしりと覆った物だ。
「うーん、何だろう、これ。……遺跡?」
『そうみたいね』
どうやらここも遺跡の一部のようで山の周りや離れた所にいる私達の足元にも山から崩れただろう、ほとんどが苔に覆われた状態の瓦礫が散乱している。
クリスから降りて遺跡に近付いて行くと、フードに隠れていたシオンが飛び出しポンポンと跳ねて遊びだしてしまった。
今のところ気配感知や索敵にも反応は無いし、シオンもそれを分かっていて遊んでいるので好きにさせることにした。
それに何かあればクリスとジルがいるし、私だってそれなりには戦えるので心配はない。
シオンが草を食べたり遊んでいるのをクリスとジルと一緒に見守りつつ、私は改めて辺りを見渡して何故か妙な違和感を感じる、その原因だろう苔や草まみれの遺跡をしげしげと見上げていると、シオンが蝶々らしきものを見つけ森の方へと追いかけて行くのを目端に捉えた。
「シオン! 遠くへ行ったらダメっ……きゃっ?!」
シオンを追いかけようと慌てて走り出したので足元の瓦礫に足を取られ、転びそうになり側にある遺跡に思わず手をついた、その時だった―――。
――ガコンッ
ゴゴゴゴゴッ―――…
「………」
『………』
『わーいっ おっきな穴だー』
『穴だわね』
遺跡は元はかなり大きな四角柱の建物ようで、今は何処が正面かは分からないが私達が最初見た側面の直ぐ下に人が出入り出来る入口が出現。
そして私は入口を正面から見て右側にいて、右側の壁に手をついているのだが、その手をついた部分が見事に凹んでいた。
突如出現した謎の入口にシオンが『あーっ 階段もあるー』と、突入寸前にジルに咥えられ捕獲、更にハムハムされて遊ばれている。
シオンもハムハムされ、まんざらでもない様子だ。
そんな光景に和んで……
――って、和んでる場合ではない。
この状況に兄達からの説教案件かと一瞬頭を過ったが、それよりも謎の入口が気になる。
こんなものを見たら否が応でも期待してしまう。
これって、もしかして…アレだよね!?
お読み頂きありがとうございました。




