オークはどこから
「無事だったから良かったもののゴウ達がいなかったら、どうなってたか分からなかったんだぞ!」
声を荒らげルーク君達を叱っているのはグロウ君だ。
こんなに真剣に怒っている彼を見るのは初めてなので、驚きつつもマシュー君を抱っこしながら背中を擦っている。
マシュー君はグロウ君のお灸からは逃れられている。
先程よりは声を上げて泣いてはいないけど、ぐずってはいるし、まだ怖いのか私の腕の中でブルブルと震えているので皆にお願いをしてマシュー君は免除してもらっていた。
未だ説教中のルーク君、ロイ君、ミゲル君は俯き黙り込んでいる。
そしてルーク君達はグロウ君の質問になかなか答えずにいたことで、グロウ君の語気が強くなると震えていたマシュー君が急にガバリと顔を上げ、しゃくり上げながらも叫んだ。
「ちがうっ…ルークおにいちゃんたちは…わるくないっ」
マシュー君は大きな瞳からボロボロと涙を溢し訴えると、ルーク君達の肩がビクリと揺れた。
それを見逃すギルドマスターでもなく。
「グロウ、もうその位にしておけ。何時までもこんな所で説教している訳にもいかないだろ」
「だけどっ」
「続きならギルドの部屋を貸してやる」
ギルドマスターの申し出に「分かったよ」と頷くグロウ君と、それを聞いて青ざめるルーク君達。
「ちがう…っ…ちがうの…わるいのは…ひとりでマウラ草をとりに来た…ぼくでっ……うぅっ…」
「うん、分かったから。マシュー君もルーク君達もシスターの為にやったんだよね? 大丈夫、みんなも分かってるから」
「うっ…ほ、ほんと?」
「ほんと。グロウ君もマシュー君やルーク君達が心配だったから、あんなに怒ってたの。でももう、誰も怒らないからね」
「だれも…?」
「うん、誰も……ね?」
「っ!?……あぁ」
不安そうに私を見るマシュー君と目を合わせ、「ね?」の所でにっこりと笑顔でグロウ君に振り向いた。
グロウ君から言質も取ったし、周りも何も言わないので、これで町に帰ってもルーク君達のお説教は回避かな。
「あっあのっ、その…シスターはっ…」
先程シスターの話が出た時にルーク君達はかなり動揺していたので、グロウ君からの説教中もずっと気になっていたんだろう。
「シスターは無事だ」
「えっ?! で、でもシスターはガウバス病なんじゃ…」
ガウバス病なのにシスターが無事だと言われルーク君、ロイ君、ミゲル君は混乱しているようだった。
マシュー君も驚いているのか、固まって動かない。
「まぁ、お前達もこの件の当事者だから知っていた方が良いだろう」
ギルドマスターは教会での出来事をルーク君達に話した。
教会の子供達の間ではシスターのガウバス病が完治したのはケットシーのおかげとなっているが、蒼兄さんの回復魔法のキュアだと説明。
「た、助かったのか…」
「良かった…」
「うん…」
ギルドマスターの説明を聞き、シスターの無事に安心したルーク君達はその場にへたり込んでしまった。
マシュー君も安心と嬉しさから、また泣き出した。
◇◇◇◇◇◇
「ですが、まさかこんなにもオークが出現するなんて…」
「早急に調べる必要があるな」
グレンさんとギルドマスターが周囲の倒れているオークを目にして話している。
「俺達が調べた時よりも、おかしいのは明白だな」
「雰囲気も全然違うしね」
マクシミリアンさんとヨアヒムさんも前にオーク討伐に来た時と全く違うと言うので、急遽この辺りの調査をすることになった。
その間、私達はオークの回収をする。
「では、各自よろしく頼む」
「待って僕も…」
「ダメダメ、グロウが動いちゃうとマシューが起きちゃうよ」
あれからマシュー君は暫くすると、グロウ君の所へ行きたいと言って、グロウ君に抱き付くと安心したのか直ぐに寝入ってしまっていたのだ。
「で、でも…」
「でもじゃない。グロウはここでマシューとルーク達の面倒を見ててね」
かくして私達はオーク回収に、ギルドマスター達はオーク調査に、そしてヨアヒムさんにマシュー君のついでにとルーク君達の面倒まで押し付けられ、不満そうなグロウ君を横目に行動を開始するのだった。
お読み頂きありがとうございました。




