オーク襲来
「オークか」
蒼兄さんの言葉と同時にオーク達は武器を構え襲ってくるが、蒼兄さんの目の前のオーク二匹が電撃を纏ったかと思うと身体を痙攣させながら膝から崩れ落ちる。
私の近くにいる残りのオーク三匹は、一瞬怯むが直ぐにこちらに向かって武器を振り上げた。
――が、オーク達は武器を振り上げたまま皆、倒れてしまった。
電撃は蒼兄さんの魔法で、後の三匹はクリスの闇魔法だった。
「オークは食肉になるから傷は少ない方がいいらしい」
「…食肉……」
豚に似ているのだから豚肉っぽいんだろうけど、結構人間の様に見えるからちょっと複雑。
私が何を思っているのかが分かったらしく、蒼兄さんは直ぐ様オーク達をアイテムボックスにしまう。
「ほら、さっさと行くぞ。それとクリス、ジル、お前達の魔法は知られると厄介だからこの先からは、なるべく魔法やスキル以外で倒した方がいい」
『分かったよ』
『仕方無いわね』
兎に角、今はルーク君達の元へ急がねばならない。
彼らはもう、直ぐそこにいるのだから。
周りのオークに構わず走れば前方から僅かに金属音が聞こえ始め、段々と音が大きくなっていく。
そして音の発生源に近付くと木々が途切れ開けた場所に出た。
そこは苔に覆われ、所々崩れかけた壁や何かしらの人工物が点々と建ち並ぶ場所なのだが……。
遺跡の中央の一際大きな壁を背にしてルーク君、ロイ君、ミゲル君がそれぞれ武器を手に身構え、彼らを守る様に剛兄さんが剣を片手にオーク達を切り伏せていた。
「これは…」
「剛兄さん?!」
その左手に泣きじゃくるマシュー君を抱えながら。
剛兄さんは昔から動物や小さな子供に好かれてはいたけど、これは何とも言えない絵面になっている。
「みんな大丈夫!?」
「ねーちゃん!? あぁ、まぁ大丈夫、だけど…」
少年達は皆無事だったけれども、ルーク君が何やらばつが悪そうにしりすぼみになりながら答える。
クリスの上に乗ったままルーク君達の側まで来て声をかけていると、剛兄さんがわんわんと泣くマシュー君を私に預けてオークを倒しに行ってしまった。
その頃チッチャはというと、夢中であちこち飛び回りオークをバシバシと叩いて倒していた。
蒼兄さんは私達の側まで来るとジルから降りその場に残る。
ジルもその場に留まるが、相当オークが気に入らないらしく近くに来たオークに猫パンチを思いっきり食らわしていた。
チッチャと剛兄さんが相当数のオークを倒していたがマシュー君やルーク君達を狙っているかのようで、まだわらわらと数を増やしていた。
「うわーんっ!」
「マシュー君、大丈夫だよ」
「うわーんっうぁーん」
「よしよし、怖くないよ。もう大丈夫だから、ね」
「う゛うぅっ」
クリスの上で私はマシュー君を向かい合うように抱っこして頭を撫でながら宥めていると、やっと泣き止み始めてくれた。
それと同時にオークの数が急に減りだしてくる。
「撤退してるな」
「撤退?」
「ああ」
蒼兄さんと話しているとチッチャが物凄い勢いで戻ってくる。
『大変だにゃ! 豚さんが逃げるにゃっ』
「放っておけ。ギルドマスター達も来たし、分が悪くなったから子供達を諦めたんだろう」
『そ、そんにゃー』
急なオークの撤退にチッチャのテンションが駄々下がりなった頃、ギルドマスター達が追い付いてきたのだった。
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