救出
クリス達は森に入るや否や迷いもなく進み始める。
森に入ると昼間だというのに薄暗いし、特に小さなマシュー君だと凄く歩きづらくて、一人で心細いだろうから、せめてルーク君達と合流していてほしいと思った。
私達はチッチャに乗った剛兄さんとチャッチャが先を行き、ジルに乗った蒼兄さんとクリスに乗った私、その後ろにグロウ君、マクシミリアンさん、ヨアヒムさん、ウォルターさんにギルドマスターとグレンさんが続いている。
先頭の剛兄さんにチッチャとチャッチャは先に進み進路や近くにいる魔物を倒しているので今は見えない。
蒼兄さんは先に行きたいと言うチャッチャには乗らず、珍しくジルに乗り私の横にいる。
今のところ気配感知に反応はなく、クリス達は微かに残る匂いで追っているようで少年達の発する音もまだ聞こえないとのことだ。
なるべく急いではいるのでギルドマスターやマクシミリアンさん達は、クリスとジルの後を駆け足で付いてきていた。
町を出て森に着くまでもこんな感じだったから、さすが上級冒険者達は違う。
けれども後方からは時々、ギルドマスターを気遣うグレンさんの声が微かに聞こえてきて、それにギルドマスターは「この程度なら問題ない」と答えていた。
(ギルドマスターはどこか悪いんだろうか)
暫くして前方でチャッチャが走っているのが見えたかと思うと、速度を落としクリスの横に着いた。
『ようやっとだぜ。進行方向よりやや右寄り、もう少し行けば分かる』
それを聞きクリスが少し右寄りに向かい進むと、後ろのグロウ君から声が掛かる。
「レイ、この方角の先には遺跡がある筈なんだ。そこにルーク達が!?」
「えっと…」
『まだ遺跡にいるかは分からないけど、その方角から子供の声が聞こえたんだ。最初に聞いたのはチッチャだけどな』
この話の最中、クリスとジルもルーク君達の声が聞こえたようで、方角は間違いなさそうだ。
「!?…」
そして進むこと程なくして気配感知に異常な数の反応があるのに驚き、蒼兄さんを見やると表情を変えることなく頷いた。
(よし! あの頷きはいいって事だよね)
気配感知のその中の一つが物凄い勢いで動いているが、これはチッチャだ。
だけど余りにも数が多く、どんな魔物かも分からないし増えてもいる状況なので、ルーク君達もチッチャや剛兄さんの事も心配なのだ。
「チャッチャ! 先に行くから皆のことお願い!!」
『ほいほーい』
私がそう言うとよりも早く蒼兄さんを乗せたジルが速度を上げ先に進み、クリスが後に続く。
後ろから誰かの声が聞こえるが今は構わず少年達の元へ向かった。
ギルドマスターやマクシミリアンさん達と離れて少ししてから、周りの魔物の気配が明らかに増えてきて、気配感知を使っているから分かってはいたけど、進むごとにその数がどんどん増えていくことに不安が募る。
今はもう、気配感知を使わずとも分かるくらい魔物に囲まれていた。
最初、周りの魔物達はこちらの様子を窺っているようだったが、木々の間から私達を目掛けて次々と人影が飛び出してきたので思わず人間なのかと驚くが…。
「人?!…じゃない?」
姿形と肌の色合いで人間に見えた目の前にいる、その人影の正体は豚の様な顔をしていた。
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