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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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新しい家族

よろしくお願いいたします。


 兄達は何も言わないから良いということだろう。


 私はスライムを手の上に戻し

スライムを顔に近づけ、目線を合わせた。



「スライムさん、私達と家族になる?」



 スライムが激しく震え光だした。

 光が収まると、またゆっくりぷるぷるしている。


 魔獣使いが魔物をどうやって従魔にするかなんて分からないから、自分の思うままやってみた。

 結果は成功、私のステータスの従魔欄にスライムが追加されていた。


「やったぁ!スライムさんが家族になったよ!!」

「はぁ…ったく、ちゃんと面倒みろよ」

「分かってるもん」


 スライムは嬉しいのか、また激しくぷるぷるしている。

 暫くし満足したのか手の上から私の左肩に移動してきた。


「この子名前、どんなのが良いかなぁ?」


 そんなことを話ながら歩き出した、その時…


「あっ…スライムさん?! どうしたの?」


 スライムが肩から降り、草むらが酷く生い茂っている手前でポンポンと飛び跳ねている。


 私がスライムに近づこうとすると、剛兄さんが手で制した。


「…何かいるぞ…」

「四つ近づいているな」


 兄達は気配感知を使っているので私も急いで気配感知を使う。


「スライムさん危ないからこっちにおいで」


 スライムは飛び跳ねるのを止めた。

 スライムの目は見当たらないのだけど、こちらを見ているような気がする。


 ―家族くる―


「えっ?! 家族?」

「どうした?」

「分からないけど、また聞こえたの〝家族くる〟って…」


 家族って仲間のことなのかと考えていたらスライムの前の草むらがガサガサと音を立てる。

 クリス達も警戒していないので大丈夫なのだけど、やはり心配してしまう。


 あれこれと心配していたら、ガサガサと音のする草むらから何かが飛び出してきた。


「緑のスライム?」


 すると草むらから次々とスライムが飛び出してくる。

 薄緑、薄ピンク、薄青、無色透明の四匹のスライム達が薄紫のスライムと再会を喜んでいるかのように、ぷるぷるしたり飛び跳ねたりしている。


「この子達がスライムさんの仲間なの?」


 私が声をかけると薄紫のスライムが私の前まで来る。



 ―みんな一緒いきたい―



 私が手を差し出して薄紫スライムが飛び乗るのを、ほかのスライム達がじっと見ている。


「分かったよ。さぁ、みんなおいで」


「おいおい、まさかそいつらもか!?」

「うん、みんな一緒に行きたいんだって」


 スライム達が勢いよく私の周りに集まり期待の眼差し?を向けてくる。

 一匹ずつ手に乗せ家族になってもらう。

 最後の一匹が終わった。


「よし!これでみんな、私達の家族だよ。これからよろしくね」



『『『『『今後ともよろしく』』』』』


「えっ?!」


 今までは何というかスライムの声は、頭というか心に浮かぶような聞こえるような…こう、ふわっとした感じだったんだけど、今のは確実にはっきりと聞こえた。


「ねぇ今の聞こえた?!」

「いや、何にも聞こえなかったが」

「えーまた私だけ?」


 これは私が魔獣使いだからなのか。

 ステータスで確認すると…スキル意思疎通が追加されていた。


 【意思疎通】《従魔にした魔物と会話ができる。》


「なんか意思疎通ってスキルが増えてた」

「お前が作ったんじゃないのか」

「ううん、さっきまで無かったし作ってないよ」


 蒼兄さんの予測ではスライムを従魔にしたことによる追加ではないのか?との事。

 蒼兄さんが言うなら間違いないということにしておく。


 「じゃあ、早くこの子達に名前つけてあげないとね。まず鑑定で…この子達ファミリアスライムって言うのね」

『ファミリアスライム! 本当なのですか!?』


「エクレア知ってるの?」

『はい、ファミリアスライムはスライムの亜種の一つなのですが、()()()()()()()()()()()()、レア中のレアなのです』


「今まで見つかった事が無いなら何でエクレアは知っているんだ?」

『人間はまだ見つけていないのです。私達ケットシーや一部の者しか知らないのですが、それでも本当に見つからないので最後の目撃情報は五百年前なのです』


『とっても珍しいのです』とエクレアが言っていたが、ファミリアスライムはその生体も珍しかった。


 普通のスライムは魔物と違い魔素の濃い場所で自然発生で生まれるのだが、ファミリアスライムは代々、人や動物、魔物のように二体が番いになり子を生むという。

 でもスライムは性別が無いのに子供を生めるのか?

スライムには核があり番いは融合し新しく核を生成できるそうだ。


 因みにスライムは分裂できるんだけど、分裂体には核が無いので弱ければ数分、強ければ数日で消えるらしい。


「君達すごい子だったのね」


「人には知られてない…か。町に連れてくにしても普通のスライムってことにしないとな」


「うん、知られたら大騒ぎだもんね」


 スライム達を撫でながら隠蔽スキルつけなきゃとか思うも、まずは名前からつけないと。






「――よし!決めた。薄紫の子はシオン、薄青の子はアジサイ、透明の子はカスミ、薄緑の子はヨモギ、薄ピンクの子はサクラね」


『『『『『わーいありがとー』』』』』


 名前をつけてあげると、とても気に入ってくれて全員飛び跳ねている。

 この子達は森に隠れ住んでいたが、食料を探しに出たところあの猪に襲われ草原まで逃げてきたらしい。


 その食料が草花でシオンは紫の花が好きで、アジサイは青い花、サクラはピンクの花、ヨモギは薬草、カスミだけ少し変わっていて水で生きていたらしい。

 だからかカスミだけ少し小さい。


 全員に戦乙女の加護や隠蔽その他色々みんなつけて、今度こそ町に出発するため準備をする。



「全員準備ができたな? なら出………っ?!」

「蒼兄さん?!」


 後ろを振り返ると蒼兄さんの顔にアジサイが張り付いていた。


「ちょっ…なにそれ…っ」

「…お前…笑ったな」

「いやいや、笑ってない、笑ってません…っ」


 私、笑いこらえるの必死。


 シオンは私の肩にほかの子はみんなジルの上に乗ってたのに。


「あっカスミがいない!」


「……こっちだ……」


 カスミは剛兄さんの肩で凄い勢いでぷるぷるしている。

 どうやらアジサイは蒼兄さんが、カスミは剛兄さんが気に入ったようだ。


 アジサイは何度もジルの上に戻すもすぐに蒼兄さんに張り付きにいき、とうとう蒼兄さんが諦めた。

 カスミはおとなしく剛兄さんにくっついている。


「お前、俺の所にいたいなら、もう顔に張り付くなよ」


 蒼兄さんの言葉を分かってるのか分からないのか、肩の上でぷるぷるしていた。




 後で兄達に意思疎通を渡しておこう。




 



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