少年達とマウラ草
「ベル! それは本当!?」
グロウ君が横から女の子、ベルちゃんの目線までしゃがみ彼女に問いかけるが、グロウ君の普段は見ない真剣な表情に驚いてしまったのか声を出せないでいる。
「グロウ君、ベルちゃん驚いてるよ」
「あ、ああ。ベル、ごめんな。でも大事なことなんだ。落ち着いてゆっくりでいいから、ルーク達に何があったか話してくれる?」
さすが子供達と長く接しているグロウ君は直ぐにベルちゃんから話を聞き出してしまった。
「うんとね、シスターが倒れたすぐにマシューが〝まうらそう〟って言って町の方に走っていって…それをルークおにいちゃんたちに言ったら、ミゲルおにいちゃんが〝マシューがまうらそうを取りに町の外に行ったのかも〟って。そしたらルークおにいちゃんが〝このことは誰にも言うなよ〟って……」
「それでルーク達も町の外に行ったのか」
「うん。剣やナイフを持ってったもん」
「そうか…ベル、ちゃんと全部教えてくれてありがとうな」
グロウ君がベルちゃんの頭を撫で終わると、ギルドマスターへと振り向く。
「ギルマス!」
「分かってる。直ぐに捜索に出るぞ。お前達は…」
「行くに決まってる!」
「ああ。勿論行かせてもらう」
「まぁ、乗り掛かった船だしね」
「…………」
グロウ君は言うまでもなく、マクシミリアンさんやヨアヒムさんが捜索に加わり、ウォルターさんも無言だけど頷いてる。
「それでは、我々はこれから子供達の捜索に向かいますが「あのっ、私も行きます!!」
「ダメだっ!」
グレンさんの言葉を遮り、私も捜索に協力したい旨を伝えると、直ぐ様、蒼兄さんから待ったがかかる。
「だって、捜すなら人数が多い方がいいよね?」
「確かに理にかなってはいるが…」
「それにマシュー君やルーク君達が心配なの。蒼兄さん…」
蒼兄さんがちらりと剛兄さんを見やる。
「…無茶はするな…」
「………」
「はいっ」
剛兄さんからお許しをもらって、蒼兄さんも何も言わなくなったので捜索に協力することになった。
神父様は私達にもだけど、クリス達の方に期待が大きいようで「ルーク達をお願いします」と念入りに頭を下げられた。
◇◇◇◇◇◇
「では、グレン。私も捜索に出る」
教会を出た所でギルドマスターのその言葉に【深紅の薔薇】の皆やグレンさんも目を見開く。
数秒間の静寂が訪れた。
「マティアス、ですが……」
「捜索は人数が多い方がいいんだろ?」
ギルドマスターはグレンさんと話をしながら、私に不敵な笑みを向けてくる。
目が合い、思わず目を逸らした。
場は妙な緊張感に包まれているのに、原因を作った張本人は至って気にしていないようだ。
「…いいでしょう。その代わり私も同行します」
「いや、無理はしない。だから…」
「いいですね?」
「……分かった」
さっきの不敵な笑みは何処へやら、ギルドマスターは圧が強めの笑顔のグレンさんに押し負けていた。
そして、いつの間にか待機していたギルド職員さんにグレンさんが色々と指示を出し、その後、私達はルーク君達の捜索のため町の外に向かったのだった。
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