シスターの病気
「マリー! どうした!?」
いち早く反応したのはグロウ君で、少女マリーちゃんに駆け寄る。
「…し、シスターがシスターが…」
「分かったから。落ち着いてゆっくり話てみて」
グロウ君はマリーちゃんを抱き上げ酒場の椅子に座らせると上手に落ち着かせて、そして漸く落ち着いたマリーちゃんが話し出す。
「シスターの調子が朝からすごく悪くて…最近はいつもなんだけど、今日はいつもより悪くて…それでさっき…急に…急に倒れて…ううっ」
マリーちゃんが話している最中に二階からギルドマスターとグレンさんが駆け付ける。
ただ事ではないとエリーナさんが呼んでくれたらしい。
「シスターが倒れたと?」
「は、はい…その様です」
グレンさんとギルド職員さんが話をしているとギルドマスターが私の隣へくる。
「あのシスターは見かけによらず我慢強くて頑固なんだ」
私が見たシスターは穏やかで優しそうな人だった。
「子供達に心配をかけたくなくて黙っていたんでしょうか」
「全くあの人は…」
ギルドマスターが眉間を押さえ呟いた。
「分かったよ。僕がシスターの様子を見てくるから、マリーはここにいて」
「グロウお兄ちゃん待って…」
グロウ君はそれだけ言うとマリーちゃんの制止も聞かず、ギルドを出ていってしまう。
「全くあいつも……マクシミリアン。頼む」
「了解」
マクシミリアンさんは軽く頷くと「グロウも、もう少し落ち着けばいいのに」と言うヨアヒムさんと、相変わらず無言のウォルターさんを連れてグロウ君の後を追った。
「マリーちゃんだね? 私はここのギルドの副ギルドマスターのグレンです。シスターについて話を聞きたいのだけど、他にシスターにいつも違う所はなかったかな?」
グレンさんは一つの圧もない優しい笑みでマリーちゃんに質問している。
「えっ…えっと」
「ゆっくりで大丈夫だからね」
「はいっ…えっと……あっ…そういえば…あの、シスターの腕に変なあざ…みたいなのが…」
「あざ?」
「えっと…右腕しか見てないけど…ミミズがいっぱい這ったような赤紫色のあざがシスターの手首までありました」
その瞬間、ギルド内に緊張が走る。
「ミミズが這ったような赤紫の痣……グレン」
「はい。…マリーちゃん、とても参考になりましたよ。ありがとうございました」
グレンさんはマリーちゃんにお礼を言うとギルドの奥のへと行ってしまった。
ギルドマスターも黙ってしまい、ギルド内のピリピリした雰囲気にマリーちゃんが緊張しているようなので、私とクリスが寄り添うと少し緊張が解れ笑顔を見せてくれた。
マリーちゃんの笑顔が見れてほっとして所にグレンさんが戻ってくる。
「駄目です。やはり在庫はありませんでした」
「そうか……では一応、彼方にも確認を入れるか」
「分かりました。彼方の方も無いとは思いますが確認してきます。あの方なら話を聞いてくれるでしょう」
「ああ、それで頼む」
周りが急に慌ただしくなり、グレンさんがギルドを出ていくとギルドマスターもどうやら孤児院に向かうようだった。
「あのっ…あたしも行きます!!」
「いや、君はまだギルドで休んでいた方がいい」
「でもっ…」
マリーちゃんは足をふらつかせながらもギルドマスターを追おうとするが、ギルドを出たところで転んでしまう。
「マリーちゃん大丈夫!?」
「ううっ…」
「マリーちゃん、戻りたいの?」
「うん…」
「…じゃあ、私が連れてってあげようか」
「おいっ麗!」
今まで黙っていた蒼兄さんが声を上げる。
「マリーちゃんだってギルドに一人でいるよりみんなの所に戻った方がいいと思うんだよね」
「しかしだな…」
「蒼兄さん、お願いっ」
「…蒼…」
「……送るだけだぞ」
「剛兄さん、蒼兄さんありがとう! 分かってるって」
「……絶対分かってないな」
ため息を吐く蒼兄さんの後の言葉は聞かなかったことにして、私はマリーちゃんをクリスの背に乗せると自分も後ろに跨がる。
「あわわっ」
「マリーちゃん、絶対に落ちないから大丈夫だよ」
「う、うん…」
私達は呆れ顔のギルドマスターと一緒に、マリーちゃんを連れ孤児院に向かった。
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