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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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【深紅の薔薇】王都へ


 ギルドマスターからの警告に少し不安になっていると、席を離れていたグレンさんが戻ってきた。



「マクシミリアン達と話を付けてきました。事情を話したら快く引き受けてくれましたよ」


 グレンさんは圧のない笑顔で報告してくれたが、私の顔色を見るなり少し圧が戻る。


「…マティアス。貴方…彼女に何か…」

「いや! 待て、誤解だっ」


「だ、大丈夫です! その…ギルドマスターからは男爵の護衛に気をつけろと…」


「ああ…彼らですか。確かにアレには気をつけないといけないですね。今は護衛ですが元は傭兵、何をしてくるか分かりません」


 あの護衛の男達は元々は傭兵で、大きな戦争がなくなったとはいえ、各国を渡り歩きながらそこで起こる小さな争い事で身を立てていたらしい。


「兎も角、男爵もですが護衛達には特に気をつけてください。彼らは魔物より人の相手を得意としていますから」


 グレンさんにも念を押されたので頷き返事して、ギルドマスターの部屋を後にした。







「こ、これがフォーチュン・ブルーバードか…」


「「「「す、すげぇ[やっぱり可愛い]…」」」」」


 

 解体所でグラードさん達にフォーチュン・ブルーバードの簡易的な防腐処理をお願いし、マジックレアバードを71匹とゴーストマウス2匹を取り出すと絶句するグラードさん達。


「……幸運なんて嘘だな」



 と呟くグラードさんだけど、聞こえないふりをして足早に解体所を離れた。


 今日は早いけど訓練場に戻ることになった。







◇◇◇◇◇◇



 テントに戻るなり、皆で一斉にため息を吐く。



『ほんとにごめんにゃさい』


「ううん、いいんだよ。大丈夫だから」


「いずれバレるなら、今で良かったかもな」


 蒼兄さんがチッチャを撫で独り言の様に呟く。




「うん。これから慌ただしくなるけど、まぁ、何とかなるよね」


「何とかなるって…全く…」


 大きなため息を吐く蒼兄さん。


 明日から周りがガラリと変わると思うと少し気が滅入るが、私がクリス達を守らないと気合いを入れ直す。

 そのために先日、母から大量に送られてきた鳥の唐揚げを晩ご飯にしたんだけど、送られてきた唐揚げは有名店から地方の物まで半端ない量だった。



 なんか最近、鳥しか見てないような気がしてきたよ。










◇◇◇◇◇◇



 今朝も蒼兄さんに起こされ、半分寝ながら朝の支度を済ませる。



 今日はマクシミリアンさん達がフォーチュン・ブルーバードの件で王都に向かう手筈になっている。

 勿論、それは内密なので表向きには別の依頼で王都へ向かうんだけど。




 朝ご飯を食べてテントを出る。

 訓練場には昨日の今日の事だからまだ誰もいないが、次からは朝にこんなのんびりするのも最後だろうと、深呼吸をして大きく伸びをした。






 ◇



 酒場に到着すると、そこには既にマクシミリアンさん達がいた。



「お…おはようございます」

「お、おはよう。レイ」


「おはよう。そんなに硬くならなくていいから」


「レイちゃん、おはよう。その通り、取って食いはしないよ」



 やはり緊張のためグロウ君とはぎこちなく挨拶を交わしたが、マクシミリアンさんとヨアヒムさん普段通りに接してくれた。

 そして何故かウォルターさんはクリス達に囲まれドつき回され…もとい、スリスリされている。


「す、すみません!」


「いや、心配ない。…挨拶をされただけだ…」


「挨拶ですか…」



 ウォルターさんをドつき回してクリス達は満足したのか、酒場の奥のいつもの場所で寛ぎ始めた。


 私はクリス達の事をどう話そうかと悩んでいたが、マクシミリアンさん達は「話せる時が来たらその時に聞くよ」と言ってくれたので、その言葉に安心して「ありがとうございます」と頬を緩ませる。



「「「「っ……」」」」


「?…あの……「皆揃ってるな」



 急に様子がおかしくなったマクシミリアンさん達に声をかけようした矢先にギルドマスターに遮られて、そのままマクシミリアンさん達はギルドマスターに連れられて行ってしまった。



 マクシミリアンさん達への表向きの依頼は〝マジックレアバードを王都の冒険者ギルドへの搬送と護衛〟で、実際、この王都の冒険者ギルドからのマジックレアバードの依頼は本物らしい。





 そして、お昼前には【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】の皆は王都へと向かった。












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感想もこっそりお待ちしています。



お読み頂きありがとうございました。

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