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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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褒美と警告


 

「もし、持て余すというなら……王家に献上してはどうだろうか」



 ()()()()()という言葉に兄達の表情が険しくなる。


 蒼兄さんの顔は誰が見ても不機嫌な表情で、剛兄さんの顔は何一つ変わらないが確実に険しい表情だ。


 因みに私はジト目である。



「あー…そんな顔するな。提案の一つだ」


「その通りです。あなた方は男爵に二つの案件で狙われるはずですから、その内の片方が解決すれば、少しは気が休まると思うのですが…」


「「「………」」」


「無論、無理にとは言わない。あれは君の従魔が君の為にと手に入れたものだ。好きな様にするといい」



『麗ねぇちゃ…ごめんにゃさい』


 ギルドマスターから好きな様にと言われて考え込んでいると、チッチャが私にスリスリしながら謝ってきた。



「チッチャ…」


『僕はもう大丈夫にゃ。だから、あのとっとは麗ねぇちゃの好きなようにしていいにゃ』


「本当にいいの?」


『うんにゃ。今度はもっといいの取ってくるにゃ』


「…分かったよ。ありがとうね」



 チッチャに抱きつき撫でてから、兄達の元へ行く。


「どうするんだ? 麗」

「私はギルドマスターの案がいいと思う。だって、王様に献上したら男爵は絶対にフォーチュン・ブルーバードには手出し出来ないよね」

「本当に良いのか?」


「うん。あんな人に取られるくらいなら王様の方が全然良いよ。チッチャが私の為にって言ったものなんだから大切にして欲しいし…」


「大丈夫だ。王家の方々なら必ず大切してくれる」




 ギルドマスターが王家なら大丈夫だと言うし、この感じだと蒼兄さんの反応も良さそうなので、私は剛兄さんの様子を伺いながら聞いてみる。


「えっと…剛兄さんは…」

「…麗がいいのなら構わない…」


 剛兄さんの同意を得たので蒼兄さんもため息ながらも頷いてくれた。


 けれど、蒼兄さんはギルドマスターに鋭い視線を向けた。


「前にも言ったが俺達は貴族といった連中には関わりたくない。ましてや王族なんてもっての他だ」


「あぁ、分かってる。君達が王宮に行かずともいい方法がある」


「実は今、ここの辺境伯代理が王都に滞在中なのですが、そのお方にフォーチュン・ブルーバードの献上の代行をお願いしようと思います」


 辺境伯代理って凄く偉い人だよね? そんな方にお願いして大丈夫なのかな?


「心配しなくていい。ちょっとした知り合いだ」


「ええ、事情を話せば分かってくれるでしょう。それにお願いがあなた方のなら、必ず協力してくれますよ」


 なんかギルドマスターとグレンさんに心の中を読まれてたみたい。






 話はトントン拍子に進み、剥製に関しては王都に腕のいい専門の職人がいて、そちらは王家の方で手配するだろうと言うので、私達の方はグラードさんに移動中にフォーチュン・ブルーバードが傷まない様に処置してもらう。



 そしてフォーチュン・ブルーバードを王都まで届けるのはマクシミリアンさん達に依頼する事となった。


「【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】なら知らぬ相手ではないから君達にとっても無難な人選だろう。それに下手に動くと男爵に気づかれる恐れがあるが、その点、彼らは依頼でよく王都にも出向くので丁度いい」


 ギルドマスターはそう言いながら、机の引き出しから紙を取り出し少し書いて、手を止めた。


「フォーチュン・ブルーバードの献上にあたって陛下は君達に褒美をくださる筈だ。何かあるか?」


 王様からの褒美だなんて想像したこともないし困るが、兄達は何も言わないから私が考えろということだ。


「えー…えっと…うーん……」


 悩みに悩んだ答えはこれだった。



「じゃあ、あの…フォーチュン・ブルーバードの羽根を一つでいいのでください…と」


「それだけで良いのか?」



「なら、もう一つ…〝我々に干渉はしないで頂きたい〟と付け加えてくれ」


「……分かった。まぁ、陛下ならそこも配慮はしてくださるだろう」


 蒼兄さんのもう一つのお願いを聞き、ギルドマスターは再びペンを走らせると、書き終えたその紙を持ち向かった先は窓。


 窓を開け紙を(かざ)すと紙が光だし、燃えたかと思うと小鳥になり飛んで行ってしまった。


 思わずギルドマスターの側まで駆け寄り窓の外を見ていると。


「今のは伝書魔法紙だ。ギルドには通信魔道具があるが、あれは誰に聞かれるか分からんからな」


 通信魔道具を使うにはギルドに足を運ばなくてはいけないが、伝書魔法紙なら相手が何処にいようと必ず相手の元へ届くそうだ。



 小鳥が見えなくなった空を眺めていると、斜め上からの視線に気づき見上げた。


「レイ」

「は、はい」


「…あの男に…男爵の護衛の男に気をつけろ」


「っ!……」


 ギルドマスターの真剣な表情と、あの薄い青の瞳を思い出し身体が震える。



『大丈夫。僕が近づけさせない』


「俺達やクリス達で守る。あんたが心配する必要はない」


 いつの間にか隣にいたクリスと兄達。




 それを耳にするとギルドマスターは今までとは違う笑みを見せた。










評価、ブクマありがとうございます!

創作意欲が上がるので、とても嬉しいです!!


これからも【漆黒のヴァルキュリア】をよろしくお願いいたします!

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