表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
60/161

アビスマーダーキャット?の正体


「…それでは、どういう事か話を聞きたい」





 今、私はギルドマスターの部屋のソファーでいつもの様に剛兄さんと蒼兄さんの間に――――…はいなかった。



『…………』

「チッチャ…」


 私は部屋の隅で元気なく項垂れるチッチャに寄り添っていた。


 勿論、チッチャの横、私がいる反対側にはチャッチャが座り、クリスとジルはその私達を守るように側にいてくれている。


 私がギルドマスターの部屋に入るなり、チッチャの側にいたいと皆にお願いをしたら、ギルドマスターも兄達も我が儘を聞いてくれたので、私は今、チッチャを優しく撫でることが出来ている。







「「「………」」」



 ギルドマスターもグレンさんも私達が話し出すのを待っているのだろう。




 重苦しい沈黙が辺りを包む。




 こちらから話し出す事はないと察したのか、先に口を開いたのはギルドマスターだった。



「…まぁ正直、色々と聞きたい事がありすぎて、何から聞いたらいいのやら…」


 ギルドマスターは一度、目を閉じ一呼吸を置くと、ゆっくりと目を開き、兄達に目を向け、そして次に私へ鋭いエメラルドグリーンの視線を向けた。




「その従魔達はケットシーなのか?」




 まさしく単刀直入な質問に、思わずチッチャを撫でる手が止まってしまった。



「「………」」



 兄達は相変わらず黙りを続けているので、私も何も言わない。


 チッチャがというよりも、私がやってしまったのだ。

 もっと私がしっかりしていれば、もっと注意深く行動していれば……。


 これ以上皆の、兄達の足を引っ張る訳にはいかない。



 兄達のあの様子からすると、ただ黙っているというよりも何か考えているのか、斜め後ろから見える蒼兄さんの顔は何時もよりも硬い。



 そして、またギルドマスターが何か言おうと口を開きかけた、その時。





『その問いには、僕が答えようか』





 皆が一斉に、声の主を見やった。



「クリス!!」


『大丈夫よ。麗ねぇちゃ、クリスに任せましょ』



 驚きで目を見張るギルドマスターとグレンさんを気にもすることなく、ジルがさらりと言う。



「クリス、本当に良いのか?」


『良いも何も、僕もジルも喋っちゃったしね。それに色々と手遅れの様だし…』


 蒼兄さんとクリスの言葉を聞きチッチャが更に落ち込む。



『それに、麗ねぇちゃ達と共に行動するなら、いずれはこういう事になっただろうから。その為に、もう許しは貰っているんだ』


「許し…?」


『うん。ケットシーの王からの直々の許しだよ』



 ギルドマスター達が驚きで息を呑むのが分かった。



「クリス、その許しというのは?」


『簡単に言えば、()()()()はケットシーだってバレてもいいって事。だから僕達以外のケットシーは今まで通りでお願いできるかな』


 クリスの視線は真っ直ぐにギルドマスターに向いている。


 ギルドマスターも最初こそ驚いてはいたが、今はいつも通りで、こちらも真っ直ぐクリスを見ている。


「…分かった。しかし私は一介の冒険者ギルドのギルドマスターに過ぎない。何処まで君達の要望に答えられるか…」


『僕達のお願いを忘れないでいてくれるだけでも構わないよ。

まぁ、人間達が何をしようと()()をどうにか出来る訳ないだろうけどね』


「忘れないよう心に留めておく。だが、一つ知っておいてほしい事がある」


『………』



「これから、君達に良からぬ事をしてくる者が少なからずいるだろう。しかし、大半の…特に市井の人間は君達の味方だ。多くの者達にとってケットシーは守り神の様なものだからな」



 ギルドマスターは「それだけは分かってやってほしい」とクリス達に頭を下げていた。













お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ