先輩冒険者
「グロウ君。久しぶりだね!」
グロウ君達に手を振り声をかけると、少し離れた所にいた蒼兄さんが軽く舌打ちしたが、私は気づかなかった。
「うん!! 久しぶり。町中が騒がしかったし、もしかしてって思ったけど本当にもう帰って…きて……」
グロウ君が走ってきて挨拶をするが途中から反応がおかしく、目を見開きながら固まっている。
「…グロウ君?」
周りを見たらマクシミリアンさん達も同じ反応をしている。
「あ…あの…」
「あぁ、すまない…その…」
「レイちゃん、久しぶり。なんだか暫く見ないうちに雰囲気が変わったのかな?」
私が声をかけるとマクシミリアンさんが謝りながら口ごもると、ヨアヒムさんが私の雰囲気が変わったと言ってくる。
思い当たる事といえば…髪とまつ毛かな? 父の特製エリクサーで艶々の髪と伸びたまつ毛しか思いつかない。
私が返答に困っていると少年達が小さな男の子引きずってきた。
「そんじゃ、俺達はお邪魔みたいだから、そろそろ戻るわ」
「まだにゃんこなでるー!!」
「こら! わがままはダメだぞ」
「シスターのお使いがまだ終わってないから、また今度だよ」
小さな男の子は少年達を振り切り私に抱きついた。
「おねぇちゃーん」
「ごめんね。今度また、みんなに会いに行くね」
「ほんと?!」
「うん、ほんと。だからお兄ちゃん達の言うこと、ちゃんと聞いてね?」
「うん!! わかった!」
男の子の目線までしゃがみ、また今度会いに行くと宥めると、機嫌を取り戻し元気よく少年達の所へいく。
「…じゃあグロウ、上手くやれよ」
「なっ…お前っ」
少年達はグロウ君とヒソヒソと言葉を交わしシスターのお使いへと戻っていった。
また少年達に引きずられ「にゃんこのおねぇちゃん、ばいばーい!」と、叫ぶ男の子に手を振り、可愛らしい男の子を見送る。
少年達は嵐のように過ぎ去り、残された私達の間には沈黙が流れていたが、意を決したように口を開いたのはグロウ君だった。
「あの…レイ、なんだか前より…その、か、可愛…「気のせいだ」
「……かわ」
「気のせいだ」
私とグロウ君の間に蒼兄さんが割って入っての一言。
「………」
「………」
「え…えーと、た、確かグロウ君達はオーク討伐してたんだよね? 今はその帰りなの?」
私はあまりにも居た堪れなくなったので蒼兄さんの後ろから顔を出し、無理矢理に話題を変えるのだった。
◇◇◇◇◇◇
場所を冒険者ギルドの酒場に移し、私達はマクシミリアンさん達のオーク討伐の話を聞くことになった。
お昼過ぎなこともあり、酒場には人の姿はなく、マクシミリアンさん達は奥の席に座っている。
私は受付カウンターでこっそりと薬草を職員さんに渡して報酬を受け取ると、そそくさと奥の席へと向かった。
「もしかして薬草?」
「っ!?…」
何となく薬草採取が恥ずかしくて隠してたのに、グロウ君に指摘され思いっきり動揺してしまう。
「グロウ…お前…」
「あ~あ、やっちゃった」
「えっえっ?」
どうやらマクシミリアンさんやヨアヒムさんも薬草採取だと気づいて、私の様子から気を使ってくれていたようだ。
「今、この辺りで薬草や回復薬の材料を一般人が採取する事は禁止されている。これも冒険者の立派な仕事だ……」
ウォルターさんの言葉に、はっと気づかされる。
薬草採取を恥じていた自分が急に恥ずかしくなり反省する。
やっぱり先輩冒険者は違うなと思うのと同時に、次からは薬草採取やどんな依頼でも真剣に受けようと、一人心に誓うのだった。
お読み頂きありがとうございました。




