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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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閑話 不思議な兄妹

明けましておめでとうございます。

今年も『漆黒のヴァルキュリア』をよろしくお願い致します!


 ―――ある日の午後。


 A級冒険者パーティー【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】は目的の場所へと急いでいた。







◆◆◆◆◆◆



 マクシミリアン達【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】の面々は長期依頼の仕事が終わり、漸く拠点を置くルナティオースに戻る事ができ、少し長めの休暇を取った矢先の事だった。



「ギルドの方が騒がしいな」


「んー、そうだねー」


「なんだろう? 僕、見てくる!」


「………」




 最初に気づいたのは【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】のリーダーのマクシミリアン。

 気のない返事だが面白そうな表情を隠していないのは槍使いのヨアヒム。

 無邪気な少年ような好奇心に負け、ギルドへと走り出したのは斥候のグロウ。

 その背中を少しは落ち着けと心配そうに見つめるのは魔術師のウォルター。



 少しするとグロウが慌てて戻って来た。


「グロウ、何かあったのか?」


「うん…なんか凄いヤバそうだよ」






◇◇◇



「リード、何があったんだ」



 ギルドへと入ると明らかに異様な雰囲気の中、その元であろうギルドホールでへたり込むリードにマクシミリアンは声をかけた。


「……っ、マクシ…ミリアンか…」


 息も絶え絶えなリードがマクシミリアンを見上げるとギルド職員がリードに肩を貸し椅子に座らせる。


 リードは当初ギルドマスターが来るまで話は待つつもりだったが、マクシミリアン達が来た事により息を切らしながらも話し出した。



 話の内容にその場にいた一同は困惑する。



「それ、本当なの?」


「……本当だ…っ…俺は嘘なんて…」


「分かっている。お前が嘘をつく様な奴じゃないことは皆が知っている」


 ヨアヒムの言葉に力無く反論するリードをマクシミリアンが宥めるように言った。



 そして、マクシミリアンは僅かに間を置きリードに問いかける。


「リード、場所を詳しく教えてくれ」


「行くの?」


 ヨアヒムの面倒くさそうな声色に表情を伺えば、それとは真逆の満面の笑みのヨアヒム。


「嫌か?」

「まさか」


 やっと言葉と表情が一致したヨアヒムと行く気満々のグロウ、何も言わず頷くウォルター。


「決定だな」



 マクシミリアン達はリードから場所の詳細を聞き出すと、直ぐ様ギルドを後にした。








 町の門を出て暫くするとリードのパーティーのラウル達が遠目からでも分かるくらい真っ青な顔で、マクシミリアン達を見つけると駆け寄って来た。



「マ…っ…マクシミリアン!!」


「ラウル、リードから話は聞いている。後は任せろ」


「っ…あぁ…」


 ラウルと短い言葉を交わすとマクシミリアンは目標へと足を早めた。






 ラウル達と別れ先へと急ぎ数分が過ぎた頃、マクシミリアン達は今まで目にしたことのない光景を目の当たりにした。


 その瞬間、マクシミリアン、ヨアヒム、グロウ、ウォルターは全員、それまで経験をしたことも無い緊張感に包まれる。




 マクシミリアン達は以前に、魔獣に近いと言われたビッグマウンテンウルフという、狼属の魔物の中では二番目に大きな魔物を一度討伐したことがある。

 当時マクシミリアンとウォルターがA級冒険者、ヨアヒムとグロウはB級冒険者でパーティーランクはB級だった。


 ヨアヒムもグロウも実力はほぼA級で二人がA級に進級と同時に、パーティーもA級になる直前の依頼にビッグマウンテンウルフの討伐を受けた。


 結果、討伐は成功はしたが、それは散々たるもので皆かなり痛手を負い満身創痍で、数々の討伐をこなし命に関わる怪我も少なくない状況も多々あれど、このビッグマウンテンウルフがマクシミリアン達が出会った一番危険な魔物だった。



 だがそれは、あっさりと塗り替えられた。



 遠目から見える巨大な影は近付くほどに、殺気は無いが警戒心が段々と強くなっている。



「ビッグマウンテンウルフより大きいな…」

「みたいだね」

「ほんとにアビスマーダーキャットなのかな」

「…………」



 そして、四つの巨大な影とその上には三つの人影。


 巨大な影は立ち止まると上の人影も降りる。

 


 マクシミリアン達は警戒しつつも表情を一切表に出さず、一定の距離まで近づくと大柄の男と思われる二人がフードを脱いだ。

 今までに見たこともない黒い髪に黒い瞳の男達が現れ、マクシミリアン達は目を見開くが直ぐに表情を戻すと彼らに話しかけた。



 彼らの話によると、田舎を出て()()で旅をしているらしい。

 次にその田舎のある出身の国を尋ねたら東の方とだけ答えた。

 

 淡々と答えるこの男は雰囲気からして次兄、ならば未だ一言も発しない男は長兄だろうとマクシミリアンは思った。


 そして、フードを深くかぶり兄達の後ろに隠れるように佇む()()は末弟か。



 そんなことを思いながらマクシミリアンは、もう一つ聞きたい事があると彼らの後ろの四匹の大きな魔物に視線をやり、魔物について質問をしようとした矢先。





「この子達は私の従魔で、決して人に危害を加えないので大丈夫です」




 まるで鈴の音の様な可愛らしい声と共にフードを脱いだ人物にマクシミリアン、ヨアヒム、グロウ、ウォルターは思わず、はっと息を呑んだ―――






 その時、四人は、これからこの不思議な兄()と深く関わる事となるとは想像もしていなかった。











お読み頂きありがとうございました。

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