別の用事
よろしくお願い致します。
「町を出る前に言ってた〝別の用事〟ってなに?」
家に戻ってから今まで蒼兄さんが言う別の用事らしき事をしていた様子もないので聞いてみたんだけど。
「ああ、それか」
蒼兄さんは素っ気なく答えると「まぁ、これから頻繁に使うかもしれないから、ちゃんと教えておいた方が……」とブツブツと呟くと皆を家のある一角へと連れ出した。
私達が連れてこられた場所は二階に上がる階段下の物置として使っている小部屋で、普段は掃除道具やらを入れている所だ。
幼い頃は私がかくれんぼでよく使う場所一位で秘密基地としても使用していた。
因みに二位は自分の部屋のベッドの下で、無論どちらも兄達にはバレバレであった。
「ここって…階段下の物置部屋だよね?」
蒼兄さんが私の問いには答えず階段下の扉を開けると、いつもの見慣れた小部屋ではなく見たこともない広い部屋がそこにはあった。
「えぇっ」
「あらまぁ」
「おい、蒼、これは一体…」
「えっ、お母さん達も知らなかったの?!」
「「知らなかった[わ]」」
両親は知らなかったらしいが剛兄さんは知っていたみたいで。
「剛兄さんも蒼兄さんも知っていたの?」
「…ああ…」
「家に戻ってから俺と剛兄で変わりないか見回っていたら、これを見つけたんだ」
兄達はいつの間にか家の中を見回っていたらしい。
物置部屋は高さは一番高い所で剛兄さんがギリギリ立てる高さで奥行きは二メートル半くらい、扉の右側は天井が階段に添って徐々に下がっている。
―――筈だったんだけど…。
兄達の話では多分この家のスキル【亜空間】で家のレベルアップに応じて少しずつ変化しているだろうとのこと。
今は普通の部屋の広さで物置にしては十分の広さだ。
元々置いてあった掃除道具は扉を開けた目の前の角にまとめて置いてあり、扉のある壁と向かい側の壁には使いやすそうな棚が並んでいる。
「これなら物置以外にも使えそうね」
早速、母が立派な棚を見てはしゃぐ。
そんな母を放っておき蒼兄さんが部屋に入って右側の奥に移動すると私達に少し下がっているようにと言う。
「何をするの?」
「まぁ見てろ」
その言葉とほぼ同時に蒼兄さんの足許が光だし複雑な魔法陣が浮かび上がると、今度は蒼兄さんの周りを囲むように幾つもの光の文字が現れ回転している。
暫くすると光の文字は高速回転しながら魔法陣に吸い込まれて光も収まり床には先程の魔法陣がうっすらと確認できる程度になっていた。
「これは…」
「転移魔法陣だ」
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