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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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番犬

よろしくお願いいたします。



「まぁ~かわいいワンちゃん!!」


「母さん、首が三つもあるぞ…」

「あら、一石三鳥でいいじゃない」


「お母さん、それ何か違う」




 ケルベロス達を連れて戻ると父も母も最初は驚きもしたが、やはり母に至ってはすぐに受け入れケルベロスも私にしていた様にベロベロと母を舐め回し懐いている。


 母は私達が出かけた後はクッキーを焼いていたらしく身体から甘い匂いがするようだ。



 父と母にケルベロスとの事を詳しく説明し新たな従魔…家族になったと話す。


「ところで、この子達の名前はもう決めたの?」


「うん、この子達は…」


「「ケル、ベロ、スー、かしら」だよ」


「えっ?! 何で?」


「いかにも麗ちゃんがつけそうな名前だからね~」


「むぅ……」


 私がふてくされていると蒼兄さんが「だから言ったのに」と大笑いしている…解せぬ。


 まぁだけど、当の本人(?)のケルベロス達がとても気に入ってくれたので良しとする。

 だって名前をつけた時に尻尾がブンブンと振られていたから喜んでるはずだよね。







◇◇◇◇◇◇



『我らも狩りに行くぞ』



「ケル達が一緒だと魔物が出てこないから、お家で待ってて欲しいんだけど…」


『主を守るが従魔の勤め』



 私達が町に向かう前よりも広くなった庭での一幕。

 ケルベロス達が家に来て蒼兄さんの結界といつの間にか家が作り出していた結界とで、ケルベロス達の気配が消えて魔物が動き始めたので狩りに行こうとして矢先のこと。


 ケルとスーが狩りに一緒に行くと言い出したのだ。



『狩りかぁ』


 ベロはあんまり乗り気ではないみたい。



 因みに今、ケルベロス達とは【意思疎通】で会話中で、ケルベロス達はクリス達ケットシーとは違い【意思疎通】スキルが発動して、彼らも人語で会話するより楽そうなのでスキルでの会話である。



『『しかし、主…』』


「唯でさえクリス達がいて魔物の出が悪いからな」


『『ぐぅ…』』


「それに町に戻る時もケルベロス達は連れて行くことは出来ないしな」


『『何!?』』

『なんでなんでぇ』


 蒼兄さんの狩りについて来るのは駄目の言葉に戸惑っていたのに、更に町にも一緒に行けない発言でケルベロス達は困惑している。


 確かにケルベロス達を町に連れて行っても町中大混乱だ。

 いや、町にすら入れてもらえないかも知れない。

 ケルベロス達の見た目は真っ黒なシェパードだから怖い人にとっては本当に怖いと思う。

 その上、首も三つで人よりもかなり大きい。



(ケル達あんなにしょんぼりして…うーん、ケルベロス…ん? ケルベロスと言えば……)



「ねぇ。ケル、ベロ、スー、ここで…このお家で番犬にならない?」


『『『っ…番犬??!』』』


「うん、みんなでお父さんとお母さん、おたまにエクレア、そしてこのお家を守って欲しいの」



『『『…番犬…そうか…これが我らの…』』』



 ケルベロス達はそう呟くと暫し沈黙するが何を考えているかは、その激しく降られる尻尾を見れば明らかだ。



『主の命令ならば』

『御意に』

『番犬~ば・ん・け・ん~』


 ケルベロス達は、まるで騎士が跪くように伏せをして頭を垂れた。


『『『主の館の門を守る…これが我らが永きに渡り追い求めてきた定めとあらば、この命に代えても守りぬこうぞ』』』



「ありがとう。ケル、ベロ、スー」


 ケルベロス達を撫でると嬉しそうに尻尾を振り目を細めた。







『ところでケルベロス達よ』




 今まで私達のやり取りを黙って眺めていたおたまが声をかけてきた。


『お主らに聞きたい事があるんじゃが良いか』


 広くなった庭によく似合う大きなウッドデッキで、おたまが寝そべりながらケルベロス達に問う。



『うむ、構わんぞ』



『いったい何故お主ほどの者が怪我をし、この森にやって来たのじゃ』




 ケルベロス達は少し黙っていたが意を決したのか静かに語りだした。










お読み頂きありがとうございました。

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