一家団欒
よろしくお願いいたします。
「お母さん! 見て見て!」
私はいつもより長めにお風呂に入り、念入りに髪の手入れをする。
長く入っていたのでシオン達も満足したのか駄々をこねずにお風呂から上がってくれた。
私は逸る気持ちを落ち着かせ髪を丁寧に乾かすと手触りも艶も元の比ではなかった。
それで先の興奮具合である。
「まぁまぁ! 麗ちゃんの髪は本当に綺麗だわ」
「でしょ? まさかここまでだなんて思わなかった!」
「お肌も全然違うわねぇ。あら? 麗ちゃん、さっきとなんか雰囲気違うわ……まつ毛かしら」
「…やっぱりなんか違うよね」
なにを隠そう、先ほどエリクサーを混ぜた物の中にまつ毛美容液もありお風呂から上がってすぐに使ったんだけど、30分もかからず効果が出たみたい。
「前に買ったんだけど使ってないの思い出して、エリクサー混ぜて使ってみたら速攻効果出ちゃってびっくりして…」
「凄いわ! 麗ちゃん、まつ毛が長くてフサフサでお人形さんみたいでとっても可愛いわ!! これ、お母さんも使いたい!」
「これなら付けまつ毛なんていらないし良いよね!」
私と母はまつ毛美容液で盛り上がってる横で父と兄達がため息を吐き険しい顔をしていた。
「剛ちゃんも蒼ちゃんもこれから大変ね。お父さんも気が気じゃなくなるわね」
「何の話?」
「うふふ。こっちの話よ」
何の事か分からず首を傾げる私を母はニコニコと見つめ、父と兄達は更に長いため息を吐いていた。
「…剛、蒼…くれぐれも頼むぞ」
「………」
「分かってる……はぁ」
無言で頷く剛兄さんと頭痛がするのか、こめかみを押さえ返事とため息で父に返す蒼兄さん。
話が見えず更に首を傾げてしまうのだった。
「ねぇ、お母さん、お寿司も食べたい!」
「はいはい、じゃあ後は何がいいかしら? あっ! デザートも用意しなきゃ」
そうこうしてる内に夕方になり夕飯の話になったので狩った魔物の肉の話をしたら「今日の夕ご飯は焼肉よ!」と母が張り切り出したのだ。
私は久しぶりにお魚が食べたかったのでお寿司をお願いしてみた。
ルナティオースには魚介類がなく、たまに川魚があがるぐらいだという。
南の海の近くの町に行けば魚介類はあるがルナティオースまでは持って来れないらしい。
お肉ばかりだと時々無性にお魚が食べたくなるものである。
その夜は一家団欒。
両親は魔物の肉を意外と躊躇無く食べてくれた。
元の世界のお肉と比較のために最高級の牛肉と食べ比べて、皆曰く魔物肉は最高級牛肉に負けず劣らず美味しいとのこと。
確かに魔物肉は牛肉に負け
てないどころか、もしかしたら牛肉より美味しいぐらいかも。
魔物のお肉はおたまも気に入ったらしく、おばあちゃんとは思えない食べっぷりでクリス達と食べまくっていた。
「あら、エクレアちゃんはやっぱりお姫様みたいにお上品に食べるのね」
『……とんでもないのです。私はただのケットシーなのですよ』
みんなでわいわいとテーブルを囲んでの夕食は本当に楽しい。
「あっ! 蒼兄さん、それ私のお肉!!」
「早い者勝ち」
「もう!!」
ホント! 楽しいっ。
いつもの様に蒼兄さんとお肉の取り合い(ほとんど取られてるけど)をしていると剛兄さんが私のお皿にお肉を入れてくれる。
焼肉の場合、いつもこんな感じだけど、甘い物を食べる時はなんだかんだ理由をつけて自分の物を半分くれるのが蒼兄さんなのだ。
これが黒守家の普段の風景である。
お読み頂きありがとうございました。




