素敵な場所
よろしくお願いいたします。
「今日は本当にありがとうございました。子供達もとても喜んでおりましたし、その上寄付までしていただいて…」
「いえ、このぐらいのことしか出来なくて…こちらこそ、とても楽しかったです」
シスターにお礼を言われ、あまり大したことはしていないので少し恥ずかしかったけど楽しかったのは本当だ。
帰り際に小さな子達が私の周りに集まって来てくれた。
「おねーちゃん、もう行っちゃうの?」
「おっきいにゃんこ、まだなでなでしたい!」
「やだー!」
「やー」
「こらこら! お姉さんを困らせたらダメよ?」
「「「「はーい」」」」
「それじゃあ、ちゃんとお姉さん達にさよならしてね」
「おねーちゃん、また来てね!」
「おっきいにゃんこもまたねー!!」
「にゃんこぉ~!」
「にゃ~」
「グロウ! 次もねーちゃん連れて来いよ!」
「うっ、うるせー!!」
シスターと子供達みんなでお見送りまでしてくれて、私も手を振りそれに応える。
「うん! また来るからね!」
「すっかりお株を奪われたね。グロウ」
「レイや従魔達だから仕方ないさ。…それに可愛いし…」
「何を言ってるんだ。まったく…」
「………」
「私は異論はないがな」
「何が異論なんですか?」
「えっ?! なっ…何でもからっ…そ、そうだっ次! もう一つレイに見せたい所があるんだ」
私が皆の話に加わろうとするとグロウ君がなぜか慌てて次の場所に案内してくれたのだった。
◇◇◇◇◇◇
「わぁー…すごい…」
グロウ君が次に連れて来てくれた所は町を囲む高い壁の上でとても見晴らしのいい場所。
「ここ、町が遠くまで見渡せて凄くいいんだ」
「うん。それにとっても綺麗」
今いるのは東門の真上にある場所の見張り台で周りを囲む壁よりかなり高くなっている。
「あっ! グロウ君あっちに教会が見えるよ」
「ああ。よく見えるだろ?」
先ほどの孤児院が遠くに見える。
「でも良かったよ。レイが高い所が苦手だったらどうしようかと思った」
「高い所は好きだから平気だよ。でも、ここって私達が勝手に登っても良いの?」
「大丈夫だよ。僕達も見回りをかねてよく登ってるから」
「まぁ、私がいるから文句は言わせんさ」
ニヤリと悪い顔で言い放つギルドマスター。
「うわー、あの顔であんなこと言われたら何も言えないよね」
ヨアヒムさんの言葉に苦笑いしか出てこない。
この町の冒険者ギルドは国の騎士団と連携して深淵の森を見張り町を守っているので、それゆえギルドマスターは結構な権限を持っているらしい。
町を眺める視線を後ろに、振り返れば目の前には地平線の向こうまで見渡す限りの暗く深い広大無辺な深淵の森が現れる。
人は皆、この深淵の森を恐れているがこの森の奥には私達の家があるので怖さは全くと言っていいほど感じない。
「…レイ、またこの町に戻ってくるよね?」
「もちろんだよ。ちゃんと戻ってくるから…」
先ほどまで頼もしかったグロウ君がまた子犬に見える。
まるで拗ねている弟のように思えて自然と笑みがこぼれてしまった。
「だから心配しないで待っててね」
グロウ君に向き直り笑顔で答える。
「っ……レイ『にゃーん』
グロウ君が私に手を伸ばすも一足先にスリスリしてきたクリスにより阻まれている。
「クリス! 急にどうしたの?」
「もう昼だからな。腹が空いたんだろ。なぁ? クリス」
『なぁ~ん』
空を見上げれば太陽は真上に
来ていた。
「…よくやった。クリス、今夜はブラックボアの肉にしてやるからな」
『にゃ』
蒼兄さんが機嫌良さげにクリスを撫でながら何かを囁いていたが、あまりよく聞こえなかった。
この後、ギルドの酒場で軽く食べようと言うことになり食事を済ませると、そこに副ギルドマスターのグレンさんが現れギルドマスターを連れて行こうとするもギルドマスターはいつの間にか姿を消していた。
「また逃げられましたか…全く…昔から逃げ足だけは速い…」
凍りつく様な笑顔で呟くので、私達も逃げるようにその場を後にするのだった。
お読み頂きありがとうございました。
評価、ブクマありがとうございます。




