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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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どれが可愛い?

よろしくお願いいたします。


「レイちゃんには濃い色も似合うけど白も似合うよね」



 あれからお店に入り服を選んでいるんだけど…。

 兄達のガードを巧みにかわし次々と可愛い服を選んでくれるヨアヒムさん。


「ヨアヒム、レイの好きな物を選ばせてやれ」

「えぇー」


 見かねたギルドマスターがヨアヒムさんを止める。



「いえ、ヨアヒムさんの選んでくれた服どれも可愛くて迷っちゃいます」


「っ…レイちゃん…それ反則…」


「あまりヨアヒムに甘い顔をするな。後が大変だぞ」


 うーん、でも色といいデザインといいどちらも本当に可愛いのを選んでくれるんだよね。




 ウォルターさんはクリス達と、グロウ君はまだ鼻血が止まらず外で休んでいるので、今はギルドマスターとマクシミリアンさんとヨアヒムさんに兄達というメンバーで私の買い物に付き合ってくれている。


 マクシミリアンさんはこういうお店に慣れていないのかソワソワしていて、ギルドマスターは普段通りで私の服選びを見守って(?)いる。




「……この俺が女の子に翻弄されるなんて……」

「ヨアヒムさん?」

「っ…いや、何でもないよ」


 珍しく険しい表情で何か呟いている。

 何だろうと声をかけるも直ぐに何時もの妖艶な微笑に戻っていた。


 この後も兄達のガードをのらりくらりとかわしつつ服選びを手伝ってくれたヨアヒムさんのおかげで無事、四着の服を買って買い物を終える。

 会計時お金を出そうとするヨアヒムさんをやんわりとしつつ速攻でお断りするのが大変だった。



 二着は私が選んだ腰の部分を編み上げたハイウエストの黒のロングトスカートと白のブラウス、後の二着はヨアヒムさんの選んだフリルの沢山ついた白のブラウスワンピースと青を基調とした上品なワンピース。


 ヨアヒムさんが選んでくれた服は色もデザインも全て良かったのだけどその多くは何というか、肩や背中が出ていたり胸元の露出があったり…勿論それらは兄達が却下。

 なので白と青の二着は露出が無い物だったんだけど、特に青のワンピースを選んだ時のヨアヒムさんは満面の笑みで喜んでくれた。


 何でかはよく分からなかったけど。




 お店を後にしてクリス達を迎えに行く。


「いつもありがとうございます。ウォルターさん、あの…グロウ君は大丈夫ですか?」


「あぁ…グロウは大丈夫だ。先程血も止まった…」


「ホントあのぐらいなら大丈夫だよ。もっと酷い怪我だって経験してるからね。グロウも」


 そっか、グロウ君も上級冒険者だもんね。


 【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】のマクシミリアンさん、ヨアヒムさん、グロウ君、ウォルターさんも皆、A級冒険者で数々の死線をくぐり抜けてる冒険者だ。



 私は道の脇にあるベンチに横になっているグロウ君を覗き込み声をかけた。


「血、止まったんだね。良かった」


「ぁ…レイ! うんっ…ありがとっ………うぐっ…」


「えっ! グロウ君?!」


 グロウ君はまたも鼻血を出し蹲ってしまった。



「はぁ~…青春だねぇ」

「というよりは重症だろう」

「グロウはそんなに女に耐性が無かったか?」

「………」


「あ~…グロウは女の子より男に好かれるんだよねぇ」


「…アイツか」


 狼狽える私と蹲るグロウ君を尻目にヨアヒムさん、マクシミリアンさん、ギルドマスターにウォルターさんまでのんびりと歓談している。

 ウォルターさん喋ってないけど。



「はいはーい、レイちゃんはこっちにいてね」


 ヨアヒムさんに誘導されその場を離れ兄達の元へ戻る。


 回復魔法をかけてあげたいがここ世界(ユグガルド)では回復魔法が使える人は極端に少なくフィデンリーザ王国には二人いるが、その二人とも王宮の治癒師なんだとか。

 他国には治癒師がいない国も多く、中には回復魔法とは違う強力な治癒魔法の聖魔法を使う聖女様がいる国もあるらしい。



 そういうことで私と蒼兄さんは回復魔法を使える事を隠している。

 正確にいうと私は聖魔法で蒼兄さんは回復魔法と聖魔法の両方だ。


 (あれ? 聖魔法ってことは私も聖女様? いやいや、そんな柄じゃないっしょ。…じゃあ蒼兄さんも聖じょ…いやいやいや)


 それ、ヤバいって。



「何をニヤけてるんだ?」

「な、何でもないよ」


 いきなり蒼兄さんに問いかけられ、変な想像も相まって吹き出しそうになった。





「で、これ、どーする? 薬草でも鼻に詰めとく?」

「すりおろしてから鼻に流し込む方がいいな」


「んんーっ!!」


「…いや、普通に飲ませる方が効くだろ」


「………」



 ヨアヒムさんとギルドマスターの物騒な発言にグロウ君が声にならない悲鳴をあげている。

 マクシミリアンさんとウォルターさんもなんだかんだで止める気配はなかった。







 それからグロウ君がどうなったかは………。








 ご想像にお任せします。





お読み頂きありがとうございました。

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