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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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エクレアと白猫シロン

よろしくお願いいたします。



 エクレアが教えてくれた〝合言葉〟を伝えると白猫は反応してくれた。

 やはりこの白猫はケットシーだった。


 私は「かわいいね」と呟きながら、さりげなく兄達の元に戻り白猫に小声で話しかけた。


「あの…貴方に会いたいという、あるケットシーがいるのですが、案内役の彼らがいる今は難しいと考え伝言を預かっています」


『あるケットシー?』


「…エクレアと言います」


『!? まさか…』


 白猫は驚いた様子で固まっている。


「実は今、ここにいます」


 私は蒼兄さんの鞄に目を向けると白猫も誰にも悟られぬよう少し顔を向ける。

 鞄からはエクレアが顔をのぞかせていたがすぐに隠れた。

 角度的にマクシミリアンさん達には見えないから大丈夫だろう。


『………』


 私は伝言の『町中では無理そうなので外で話したいのです』と、この後冒険者ギルドで依頼を受けて外に出ることを伝えた。

 すると白猫は『西門から外に出るように』と言い、私の腕からスルリと抜け出し可愛くひと鳴きすると通りに消えていった。


 白猫を見送っているとグロウ君達が近づき声をかけてきた。


「レイ、気分はどう?」

「うん、もう大丈夫。ありがと、グロウ君」

「…っ!! そ、それなら良かった…」


「レイちゃんの魔獣使いは猫にも効くの?」

「それは…どうなんでしょうか。私もよく分かんなくて」


 どうにか笑顔で返すが上手く笑えているだろうか? 顔が引きつっていたらどうしよう。

 これ以上つつかれると、ちょっと厳しいので目で兄達に助けを求める。



「麗、そろそろギルドで依頼を受けに行くぞ」


 蒼兄さんからの助け船もあり

午後からはギルドの依頼を受ける事をマクシミリアンさん達に告げる。


「そうか…なら俺達もギルドに用があるから、そこまで付き合わせてもらうよ」


 マクシミリアンさんの王子様よりも王子様な微笑に目のやり場が無く困りながら頷く。

 いや、王子様見たこと無いけど。




 ギルドに着くと中は殆ど人の気配が無かった。

 冒険者達は依頼等で出払っておりこの時間帯のギルドはガラガラなんだとか。


「ねぇ剛兄さん、依頼、私が選んでいい?」

「…駄目だ…」


 ワクワクしながら剛兄さんにお願いするも無慈悲な即答が返ってきた。


「今日はこれでいい」


 蒼兄さんの手には薬草採取の依頼書があり、文句を言っている私を尻目に蒼兄さんはさっさと受付に行ってしまった。



 ここで【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】の皆とは一旦お別れする。


「レイ、気をつけてね。危なくなったらすぐに逃げるんだよ」


「うん、でも平気。薬草採取だけだし…」

「だけど、もしレイに何かあったら…」


「問題無い」


 笑顔で不機嫌な蒼兄さんが私の前に出てグロウ君達を遮る。

 クリスも主張するように私の横に並ぶ。


「こんなに騎士(ナイト)がいるんだから大丈夫さ」


「だが気は抜くなよ」


「気を…つけて…」



「はい! いってきます!」


 マクシミリアンさん達に別れの挨拶を済ませ、ギルドから西門に向かい歩みを進めた。




 町中に出ればやはり注目の的だがここは気にせず急ぎ西門を目指す。

 西門には昨日出迎えてくれた兵士さんもいたので、たいして問題無く外に出ることができた。


 西門を出て少しすると北側に森が見える。



「で、どうしたら良いんだろ?」


「は? …お前ちゃんと話を聞いて『大丈夫なのです。あの北側の森に向かってください』


 エクレアによるとあの森は魔物も弱く人も滅多に来ないのでケットシー達はよく集会に使うとのこと。


 クリス達に乗ると森にあっという間に着き、気配感知を使うと森の中に白猫らしき反応があるので近くまで行く。


『にゃーん』


「あっ白猫さん」


 白猫は大きな木の枝から見下ろしていた。


『ではちょっと行ってくるのです』


 エクレアは鞄から出るとするすると木に登り白猫の所に行ってしまった。

 わざわざ木の上でということは聞かれたくない話もあるだろうから、私達は少し離れた所で薬草探しをすることにした。





「薬草なーい」


「しっかり探してるのか?」

「探してるー。てか、蒼兄さんだって見つけてないじゃん」

「ああ?」


 「そんなに怒らないでよ」と言いながらクリスの後ろに隠れる。

 森の入口辺りには薬草は無いのか、鑑定を使っているのに本当に見つからない。


「これならお父さんに薬草いっぱい出して貰うんだった」

「それは駄目だからな」


「わかってるー」

(森の奥ならあるかな? 魔物も弱いっていうから行ってもいいよね)


「森の奥には行くなよ」

「はうっ」


「ったく…」


「で、でも、ここには無さそうだし奥ならあるかも知れないよ」



『そうだね。昔はここら辺でも薬草はあったんだけど、今は全く無いんだよ。奥に行けばあるけど人間達は南の草原で取ってるよ』


 エクレアとの話が終わったのか白猫が色々と教えてくれた。


「うーん、森の奥か、南の草原か…教えてくれてありがとう、白猫さん」


『彼の名前はシロンなのですよ』

『よろしく』

「シロン、よろしくね。私は…」


『君達のことはエクレアから聞いたから大丈夫だよ』


 私達のことを話して色々と大丈夫なのかと心配顔の私に気づきエクレアが話し出す。


『ケットシーが人間と話すことはないのでシロンに話しても大丈夫なのです。それにあなた達家族と最強ケットシーが4匹も誕生したのをケットシー王に伝えなければいけないのです』


『君達のことはケットシーに知れ渡っても完全秘匿されて、人間達には知られることはないから心配しなくても大丈夫だよ』


「うん、じゃあ後はケットシーさん達にお任せするね」





 それから私達は薬草をどこで採取するか話し合っていた。

 兄達は南の草原でと言うが私は森の奥が気になって仕方がなかった。


「ねぇー森の奥にしようよ」

「ダーメ。草原だ」


「…何故森の奥がいい?…」

「うーん…なんか気になるんだよね」

「それだけか?」


「…うん」

「それだけじゃあ駄目だな」


「あ、でも草原の方は他の人もいるかも知れないし、私達が行けば迷惑になるかもだよね?」

「だがな…」



『『………』』


 今まで黙って私達の話し合いを聞いていたシロンとエクレアがある提案をしてきた。


『もし良かったら森の奥の薬草がある所へ案内してあげるよ』


『ここの魔物は弱いので大丈夫なのです。私達ケットシーがいるので安心なのですよ』



「ね? エクレアとシロンも案内してくれるって言ってくれてるし、いいよね?」



「…………」

「……はぁ」




 剛兄さんは頷き、ため息の蒼兄さんからも何とか了承を得て私達一行は薬草を探しに森の奥へと分け入るのだった。







評価、ブクマありがとうございます!

凄く励みになり頑張れます!!


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