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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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お届け物の依頼、完了。


「麗、朝だ。起きろ」

「んー…ちょっと早い……」





 昨夜の兄妹会議は思ったほど長くなることはなかったが、気づけば私の側にいたのはクリスだけになっていた。

 そのクリスによれば会議の序盤辺りでチャッチャとチッチャがいなくなり、中盤でおねむになったシオン達が、それからちょっとしたらジルもいなくなったという。


 勿論、全員、私のベッドでスヤァーっと寝ていた。


 何だかちょっと腹が立ったので、猫サイズで寝ていたチャッチャとチッチャを撫でくり回して起こしてやった。

 シオン達は可愛かったのでお咎めなしだ。


 ジルは…何となく止めといた方が良さそうなのでそのままにした。




 会議疲れと何より今日の出来事のせいで、ベッドに横になった後の記憶がなかった。


 初めて人に向かって武器を向け傷付けることは、想像していたよりも心にくるらしい。



 例えそれが悪人だったとしても―――。







 日付が変わる前に寝れたのはいいが、何だかまだ眠い。

今日は冒険者ギルドの訓練場ではないので朝は少しゆっくりしてから、ニースリスの町に入ることになっていた筈だ。


 聞けば、まだ開門はしていないという。



「昨日はゆっくりしていいって言ったじゃん…」


「状況が変わった。開門後すぐに冒険者ギルドで依頼を終わらすぞ」


「何かあったの?」


「…真夜中に三台の馬車と大勢の護衛騎士が町に入っていった。間違いなく昨日の件だろうな」


 蒼兄さんの言うとおり、それは間違いなくフェリシアお嬢様の関係者だと私も思う。


 昨日、門番さんが発した〝リーベルンフェルスこうしゃ…〟とはリーベルンフェルス公爵か侯爵かのどちらかだ。

 普通で考えれば王族以外の貴族でいえば公爵が一番上で次が侯爵、そして伯爵、子爵、男爵だと思うのだけどこの国ではどうなのかな?


 兎に角、どちらでもフェリシアお嬢様は高位貴族で間違いなく、きっと彼女の親族の誰かが迎えにきたのだ。



「起きたな。なら、さっさと支度して行くぞ」

「はーい」


 剛兄さんも蒼兄さんも身支度は済ませていて、私も急いで済ませると朝ご飯はサンドイッチにした。

 私は玉子サンドや野菜サンドとポタージュスープ、兄達とクリス達はカツサンド、照り焼きサンドと肉類中心で、シオン達は玉子サンドと各種サラダとポタージュスープ。


 カスミに至ってはカスミ専用の大きな深目の器に入れた並々のポタージュスープに浸かっている。


 並々のポタージュスープからちょっと見えるカスミの頭が可愛い。

 この後カスミはポタージュスープと同じ色になるので器にいるのか、いないのか分からなくなる。








「町の門、開いたね」


「ああ。行こう」


 テントから出てテントを片付けて暫くすると、ニースリスの町の門が開いたので一番乗りで町へ入り、冒険者ギルドも既に開いていて冒険者達もチラホラと数人がいたが受付に誰もいなかった。



「麗、俺が状態異常回復ポーションを渡して依頼終了の手続きをする。その間に直ぐに町を出れるようにしておけよ」

「うん。分かった」


 状態異常回復ポーションを届けて依頼が終了しニースリスの町を出れば、もうフェリシアお嬢様とは会うことは無いだろう。


 折角フェリシアお嬢様と仲良くなれたのに……と残念に思った。



 でも、王族や貴族とか偉い人達とは極力関わらないようにしようとすると、諦めるしかないのかも知れない。




 そんなことを考えているうちに依頼が完了したので、私達は他の冒険者達の視線を感じながら冒険者ギルドを後にした。





「すみません。少しお時間よろしいでしょうか?」


 そして、冒険者ギルドを出た私達を呼び止めたのは、まるで執事のような出で立ちの初老の男性だった。













チャッチャ『読んでくれてありがとな』


チッチャ『にゃぁ~麗ねぇちゃに起こされたのにゃ!! まだ眠いにゃ』

チャッチャ『折角ぐっすり寝てたのに…やられたぜ』


チッチャ『ジルとシオン達は起こされてなかったのにゃ。ナゼにゃ!!』

チャッチャ『ホント納得いかないな!』


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