路地裏
私達が入り込んだ路地裏は昼間にも関わらず薄暗く、人気も無いのも相まってそれが余計に薄暗く感じさせる。
路地裏の奥にも民家があるはずなのに、その先は闇への入口のようだった。
きっとこれは、いつもとは違う状況がそう見せているのだろう。
相手は魔物ではなく、人だから。
そんなことを考えていると、数人の人の気配と共に私達の背後に影が差した。
「こんな所でどうしたのかな? お嬢さん」
「迷子なら俺達が案内しようか」
三人のうち二人の男達が白々しく声を掛けてきた。
「いえ、結構です。…それよりも私達に何か用ですか」
「チッ…」
男達は私の言葉と態度で察したらしく、最初に声を掛けてきたリーダーと思わしき男が舌打ちと共に手を上げ合図をすると、残りの三人が現れた。
「おいおい、合図が随分早いな。問題か?」
「あぁ。どうやら気付かれてたらしい。さっさと終わらすぞ」
残りの三人も男で、その中には舐め回すように見てくる男がいたがクリスがその視線を遮った。
「チッ、ケットシーだかなんだか知らねぇが……なぁ、あのお嬢ちゃんと少し遊んでも構わねぇだろ?」
「馬鹿言え、女には傷を付けるなと言われている。今回はナシだ」
「はぁっ? せっかく毛色の変わった女なのにっ、ちくしょう!」
「従魔の方も傷を付けるなとさ」
「あれは…無理だろ」
「まぁだから〝コレ〟を渡されたんだ」
リーダーの男は懐から紫の縄と大きめな首輪のような物を取り出す。
(あれは…多分、魔道具?)
「そんなもんまで寄越すとは相当ご執心だな」
男達の雰囲気が変わった。
「はっ、おめぇらはそいつでネコちゃんと遊んでろや。それじゃあ、お嬢ちゃんはオレと遊ぼうなぁ」
「――おいっ 勝手をするなっ」
男達は手慣れているのか、回り込もうと近付いてくる。
クリスなら男達全員を相手に出来るが、クリスだけに任せてはいけないとアイテムボックスから短剣を取り出そうとした、その時だった。
「この俺がいる所で、よくもまぁやるな」
「「「「「「!!?」」」」」」
声が聞こえた方を見れば路地の入口に男性がいて、姿は分かるが顔は逆光で見えない。
「き、貴様はっ」
「あんたは西の国境にいると…くそっ 話が違うじゃねぇか!!」
「ん? ああ、西の国境はデマな」
「てめえが何故ここにいるなんて聞いてねぇぞ!」
「そりゃそうだろうな。さっきこの町に着いたばかりだ」
焦る男達とは対称に淡々と男達の問い掛けに答える謎の男性は、雰囲気からして私達に敵意は無さそうに見える。
でも、ここにただ偶然居合わせただけということはないだろう。
男達に気を取られていて、この男性がいつからいたのか分からなかった。
一体、何が目的なのか。
「くそっ こうなりゃやるしかねぇ」
「ここでアイツを殺ればオレ達の名も知れ渡るぜ!」
「ははっ それはどうかな?」
「余裕ぶってるのも今のうち…」
―――ドゴォォッ
男達が一斉にこちらへ振り向くと、ゆっくりと音がした壁へと目をやる。
音がした壁には〝何か〟がおもいっきりぶつかった跡を中心に放射線状に大きなヒビが入っていて、砕けて塵と化した壁の一部がパラパラと下へと落ちていき、男達の視線も塵と共に下がると――…。
そこには、男が一人ぐったりと横たわっていた。
チッチャ『読んでくれてありがとなのにゃ』
チャッチャ『なんか面白いことになってんな』
チッチャ『にゃんだかワクワクするにゃ!』
チャッチャ『俺達、参加出来ないけどな』
チッチャ『にゃんですとぉ』




