本日の主役
冒険者ギルドに戻り、私達はギルドマスター達が会議室で説明中の間、テントで休むことにした。
説明が終わればギルドの酒場でオーク討伐成功を祝して、どんちゃん騒ぎをするらしい。
勿論、私達も参加するんだけど、私も兄達も酒場のどんちゃん騒ぎは苦手だ。
クリス達も乗り気ではないが今後の付き合いもあるし、どうやら私達は一番の功労者なのだとか。
そのため、今はダラダラとしながら待機中だ。
外は、そろそろ夕暮れ時でも普段なら訓練場には常にではないが冒険者がいたりする。
グロウ君から聞いた話ではこのルナティオースの町の冒険者ギルドは他の町の冒険者ギルドと違い、訓練場使用率が高いという話。
冒険者ギルドの訓練場は新米冒険者の訓練や怪我から復帰した冒険者のリハビリ、他にも色々な用途で使われる。
けれど、ルナティオースの冒険者ギルドでは新米冒険者達に混じり、中堅やベテラン冒険者が共に訓練に励んでいるという。
ルナティオースの新米冒険者達は中堅やベテラン冒険者の訓練を見て、時には教えを請うことで他の町の新米冒険者より早期の段階で強くなる。
これは他の町の冒険者ギルドでは見られないとのこと。
因みに、ルナティオースの冒険者達は皆、面倒見が良いらしい。
それから暫くして、私達の元に「みんな、もう酒場で待ってるよ」とグロウ君とヨアヒムさんが迎えに来てくれた。
どうやら、私達の迎えにはギルドマスターも来ることになっていたがグレンさんに連れていかれたそうだ。
「ギルマスはレイちゃん達を迎えに来て、そのまま酒場に居座るつもりだったらしいけどね」
「あのギルマスがあっという間に連れていかれるんだよ。いつ見ても見事なんだ」
ヨアヒムさんとグロウ君の話にギルドマスターがグレンさんに連れていかれる姿が目に浮かび、思わず苦笑いを浮かべる。
あのグレンさんがギルドマスターの企みに気付かない訳がなく、今日も見事に捕獲されたようだ。
「ほら、早く行かないとみんな酒飲みたくてソワソワしてるんだ」
「お酒ぐらい飲んでてもいいのに…」
「あはは、アイツら意外と義理堅くてさ。〝主役が来てないのに飲むわけにはいかん〟って言って聞かなくて」
グロウ君とヨアヒムさんの言葉に「まぁ、主役達は飲まないんだけど」とは言わず私達は酒場へと急ぐ。
誰もいない訓練場を横目に見る。
最近では商人兼冒険者達も人っこ一人いなくなり、ギルドマスターからは「逆に怪しいから気を付けた方がいい」と言われ、兄達もそれに同意している。
(何もなければいいんだけど…)
胸の奥が少しざわりとした。
チャッチャ『読んでくれてありがとな』
チッチャ『にゃっ! なんかすごくイイ匂いがするにゃ!!』
チャッチャ『あんまり人が大勢いる所は好きじゃないんだけど、 今日はうまそうな魔物肉がたらふく食えそうだな。なんせ俺達、主役だしな!』
チッチャ『ホントかにゃ?! 主役なら美味しいお肉いっぱい食べてイイのかにゃっ』
チャッチャ『いーんじゃねーの? 主役だし!!』




