噂とくしゃみ
アランさんから面白そうなダンジョンの話を聞いて、によによと頬を緩めていると隠し通路の他の入口を見張っていた冒険者達も次々と皆戻ってきていた。
そして、全員が揃ったところでギルドマスターが改めてオーク討伐の完了を宣言した。
「はぁー、疲れた。やっと町に着いたぜ!」
「なんだよお前、入口見張ってただけで何にもしてないだろ」
「そう言うお前もだろ」
「いーや、俺は襲ってきたコイツを仕留めたぜ」
私が歩く、もとい、歩くクリスに乗っている私の前方でいつも酒場やギルドで騒がしい冒険者二人が、いつも通り騒いでいる。
一人はラウルさんのパーティーの人であり、もう一人は別のB級パーティー所属の人で、二人は今、別B級パーティーの人がマジックバッグから角ウサギを取り出して「なんだ。ただのホーンラビットじゃないか」とラウルさんのパーティーの人に突っ込まれていた。
漏れだしていたダンジョン魔力についての私達以外の人達への説明は、グレンさんから簡単な説明の後、詳しくは町に戻ってからということになっている。
(あ、静かになった)
騒がしかった二人はグレンさんの一瞬のひと睨みで大人しくなってしまっていた。
「お帰りなさい。その様子だと任務は成功されたんですね。お疲れ様でした!」
早朝に見送ってくれた馴染みの門番さんが入門の対応をしてくれる。
本来なら彼は今、他の門番さんと交代していていないはずなのだけど討伐に出た私達が気がかりだったのか、この時間まで待っていたようだった。
「ああ。後日、詳細を公表することになる。オークについては心配はないだろう」
「南西の森は街道にも近く、旅人や商人達に被害があるのではと思いましたが、これで暫くは安心です」
ギルドマスターとの会話が終わった馴染みの門番さんに手を振り、町の中に入った私達一行は冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドに着くなり「よーし!! オーク討伐成功を祝して一杯「まだ駄目です。先程言った通り今回の討伐についての話があります」と、町の手前で騒いでグレンさんに睨まれていた、別B級パーティーの人が酒場へ直行しようとしてまたグレンさん止められている。
何人かは「酒…」と呟きながら項垂れていた。
私達兄妹とクリス達は当事者なので免除、彼らへの説明が終わるまで休ませてもらえるようだ。
◇◇◇◇◇◇
「「「「「………」」」」」
「ギルマス……本当なのか?」
「ダンジョンの魔力が隠し通路を侵食しようとしていたのは間違いない。グレンもマクシミリアン達も確認済みだ」
ギルドマスターの言葉にグレンとマクシミリアン達も頷く。
「まさかそんな事が…本当に…」
ギルドマスターの説明に暫しの沈黙の後、ラウルが呆然と声を発してギルドマスターが答えた。
聞かされた色々な事に信じられないとラウルが頭を振り、誰ともない声が呟いた。
「封印は本当に上手くいったのか?」
「封印を施したのはレイの従魔の〝彼ら〟だ」
ギルドマスターの〝彼ら〟という言葉に誰もがその姿を思い浮かべ、全員が納得する。
「まぁ、オークだって殆んどその〝彼ら〟がやったようなもんだしね」
「ふふふ。でも、オークエンペラーを倒したのはご主人の方なんでしょ?」
「「「「「………」」」」」
ヨアヒムとアランの話に、またやらかしたのかと今度は〝彼ら〟のご主人の姿を思い浮かべ、全員が溜め息を漏らした。
◇◇◇◇◇◇
「『『『『っくしゅん』』』』」
私とクリス、ジル、チャッチャ、チッチャの同時のくしゃみに私達、一人と四匹は顔を見合せ首を傾げたのだった。
チッチャ『読んでくれてありがとなのにゃ!』
チャッチャ『そういえば、あの防具屋のオネエのおかげでグロウのヤツ随分と大人しかったな。まぁ、気持ちは分からなくもないけどな…』
チッチャ『防具屋のオネェたんと目が合うと毛がブワァってなるにゃ…怖いにゃ…』
チャッチャ『ま、グロウのヤツには悪いけど麗ねぇちゃに近づきそうなったら防具屋のオネエをけしかけてやるぜ。蒼にぃちゃの為にもなるしな』
チッチャ『それは名案にゃ』
チャッチャ&チッチャ『うにゃにゃ…』(ブワァッ)←毛が逆立つ
チャッチャ『うぉう?!』
チッチャ『にゃぜ?!』




