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漆黒のヴァルキュリア  作者: 月之黒猫
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『豚さ~ん! 遊ぼうにゃっ♪』


扉が開いた瞬間、あり得ない速さで大きな茶トラが大部屋の中へ飛び込んでいった。



 お察しの通り、チッチャだ。



 その後を『やれやれ、しゃーねぇな』とチャッチャが飛び込む。





「この調子だと俺らの出番は無さそうだな」


 少し後ろにいたマクシミリアンさんが呟く。


「あっ! すみません!!」


「い、いや! 僕達は大丈夫だからっ」

「あはは、気にしないでいいからね。楽できるし」

「………」


 私が慌てて謝るとグロウ君とヨアヒムさんが大丈夫、気にしないでと声をかけてくれて、ウォルターさんもそれを肯定するように頷いてくれた。


 そして彼らはそれぞれの得物を手にし、扉の奥へと消えていった。




『あたし達も行きましょ』

『さぁ、行こう。麗ねぇちゃ』


「うん!」


 ジルとクリスに促され、兄達に守られるように扉を潜る。



 私達の後に続きギルドマスターとグレンさんが大部屋に入ると、扉が閉まった。

 閉めたのはリードさんとノリスさんで、二人はこれからオークが部屋から出ないよう扉に細工して開かないようにするのだ。


 なのでオーク討伐完了か、何か緊急事態がない限り扉は開くことはない。








 プギャッ―――――



 オーク達の悲鳴が聞こえて、その方向に目を向ければチッチャとチャッチャが見えた。


 別の場所では【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】の面々がオークの攻撃を身を翻して避け、時に華麗に捌きつつも、ほぼ一撃で倒している。



 当然、うちの子達も負けてはいない。


 チッチャとチャッチャは絶妙な連携でオーク達を追い込み、猫パンチで一掃している。


 さすが兄弟。

 息ピッタリだ。



 そんなチッチャとチャッチャの様子を見ながら、辺りを見回す。


 この部屋は相当な数のオークがいるが、それを感じさせないくらい本当に大きな部屋だった。

 そういえば、通路の一階から二階への階段は、地上から一階への階段より比べ物にならないほど長かった。

 地下にこんな大きな空間を作れるための階段の長さなのか。


 この広さと高さの部屋を地下の、それも二階の深くに作るなんて今の地球の技術でも大変なのではないだろうか。

 この世界の技術的なことは、まだよくは知らないけれど魔法で作れるのかなと思った。




『クリス、あっちから来るわ』

『うん』


 そんなことを思っていたら私達に近付くオークが数匹。


 どうやら今回の私の護衛はジルのようでクリスは、こちらへ近付くオークへ向かっていくと猫パンチの一撃でオークを一匹づつ確実に仕留め、それが終わると直ぐにクリスは私の元に戻ってくる。



『クリス』

『…うん』


 兎に角、オークの数が多いので暫くするとまたオークがこちらへ向かってきた。

 やっぱりジルはオークに触るのが嫌なので対処は全てクリスに丸投げにしている。


 普段ならクリスもジルも魔法でオークと戦えるのだけど、今ここにいるのは私達だけでなくギルドマスターやグレンさん、【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】の皆がいる。



 特にギルドマスターとグレンさんは戦闘は【深紅の薔薇(クリムゾンローゼス)】に任せていて、理由は分からないけどグレンさんはギルドマスターが戦うのを良しとしていないようだった。


 なので、ギルドマスターとグレンさんは私達のすぐ側にいる。



(……なんだか見張られてるみたい…)



 実際、そうなのだろう。

 オークのものとは違う、敵意の無い視線がある。


 私達兄妹がどんな武器を使い、どのくらいの強さなのか見定めようとしているみたい。




(私も前にゴブリンキングとかやっちゃってるし、大人しくしてよ)



 この時は、ちゃんとそう思ってました。











チッチャ『読んでくれてありがとなのにゃ』



チャッチャ『緊急事態がないと開かない扉……フラグか?』


チッチャ『ふらぐ、ってなんにゃ? うまいのかにゃ?』


チャッチャ『フラグっつーのはな…』

チッチャ『にゃっ!! そんなことよりやっと豚さんと遊べるんだにゃっ それどころじゃないにゃっ!』


チャッチャ『………』

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