怒ってもぷりぷりなので怖くない
逆にめちゃんこカワイイ。
そして鼻息まで荒いからぷりぷりな上、ぷんすこになっている。
「チッチャ。守ってくれてありがとう」
あまりの可愛さに更に抱きしめる。
きっとオークを倒したのと、けれども、まだまだ倒し足りないので少し興奮気味になっているのかもしれない。
『麗ねぇちゃはぼく達が守るんにゃもん!!』
未だ興奮冷めやらぬチッチャを部屋の隅で静観していた剛兄さんが宥めるように撫ではじめる。
剛兄さんはこの部屋に着くとチッチャから降りて、オークが二匹しかいないのを確認するとチッチャの好きにさせたらしい。
私達はこのオーク討伐を前に兄妹会議を開き〝緊急時以外はオークを倒さない〟と事前に決めている。
ただ、流石に何もしないのは怪しまれるのでオークの討伐数を決めることになった。
剛兄さん、蒼兄さん共にオーク十匹まで。
そして私は四匹まで、となった。
なんで?
どうしても納得がいかず、せめて七匹でと交渉を試みたが結局は四匹のまま増えることはなく、更にここで下手をして討伐数を減らされても嫌だったので渋々オーク四匹で頷いた。
勿論、このことは私と兄達やクリス達の内輪だけの秘密だ。
私と剛兄さんと二人かがりで撫でて、やっとチッチャの興奮が収まったところに、通路の更に奥の様子を探りに行っていた調査隊の二人が丁度戻ってきた。
調査隊の二人は見るからに表情が硬く、ラウルさんの仲間であるリードさんの顔色は特に優れない。
「リード、ノリス、報告をお願いします」
二人はここにいないはずのグレンさんの声に驚くと、その隣にいるギルドマスターの姿にも驚いている。
「急遽、ギルドマスターと私も同行する事になりました。入口はラウル達に任せてありますので心配は要りませんよ」
「そ、そうか」
グレンさんから仲間の話を聞き、少し落ち着いたリードさんとノリスさんが下の階で見てきたことを話し出した。
◇◇◇◇◇◇
「では、オーク達は混乱していると?」
「ああ。どうやら指示を出せる者がいないようだった」
「いない?」
「シャーマン以上の個体がいなくて全く統率が取れていないんだ。大体が最深部にある大部屋に留まってはいるが、あくまでもかろうじてだ。オークシャーマンが指示をしてはいるが、もう限界だろうな」
リードさんの話では下の階の大きな部屋にオーク達が集まっているが、命令や統率できる上の者がいないということだった。
「さっき、大部屋を再度観察していて分かったんだが、大部屋の奥にはもう一つ部屋があるようなんだが…」
ノリスさんが微妙な表情で言葉を詰まらせる。
「繁殖部屋か」
ギルドマスターの問いにノリスさんはリードさんと顔を見合わせて頷いた。
「ああ。そうらしい…その部屋に上位オーク達が……あー…その…だな…」
リードさんが私の方をチラチラと見ながら、先程のノリスさんのように言葉を詰まらせる。
「だ、大丈夫ですっ! ので…お、お気遣いなく…」
(繁殖というのだから言いたいことは大体、分かっているつもりだ)
「そ、そうか……あー、それで上位オーク達はオークの雌と部屋に籠りっきりのようだ」
私の為か、かなり簿かしての報告だ。
「その部屋の詳細は分かるか?」
「いや。今のところそれしか分からなかった」
ギルドマスターが詳細を聞くがリードさん達は、それ以上は分からなかったという。
「……クリス殿、あの事を皆に話しても良いだろうか?」
少し考え込んだギルドマスターがクリスに尋ねた。
チッチャ『読んでくれてありがとなのにゃ』
チャッチャ『出番なくて暇』
チッチャ『ぼくは出番あったにゃ』
チャッチャ『お前はただ、ぷんすこしてただけじゃねぇか!』




