丁字路を右へ
この隠し通路は途中から急に迷路のように要り組むのだけど、先頭をいそいそと歩くチッチャは迷いなく目的の場所へと向かう。
「ここら辺から迷路になっているのに、随分と迷いなく進むのねぇ」
『ぼぼ、ぼく達、豚さんのいるとこ分かるもんにゃッ』
アランさんにつっこまれてしどろもどろに答えるチッチャ。
私達兄妹も豚さんどころかマクシミリアンさん達の居場所も分かるのは内緒だ。
先へと進む毎にオークの叫声が近くなる。
進んだ先は丁字路になっていた。
『ここを右に曲がるにゃ! そしたらすぐに豚さんがいっぱいいる部屋なのにゃ!!』
丁字路を見るなり興奮気味に言うと、チッチャは我慢出来ずに勢いよく走り出した。
「あっ! チッチャ!! 駄目…って、もうっ」
「剛兄も一緒だから大丈夫だ」
「うん。マクシミリアンさん達のお邪魔にならなきゃいいんだけど…」
不安でチッチャが駆けていった丁字路を見ていた。
「ほーんと、カワイイにゃんこねぇ」
後ろからのアランさんの言葉にクリス、ジル、チャッチャの尻尾がブワッと膨らむ。
「行くぞ」
蒼兄さんの掛け声に助かったと言わんばかりに走り出すチャッチャにクリス、ジルと続きギルドマスター達が後に続いた。
丁字路を右に曲がれば、オークが集まる部屋は直ぐそこだ。
◇◇◇◇◇◇
私達が部屋に到着すると、既にオーク達は【深紅の薔薇】により倒されており、残りは二匹。
そして、そこには部屋中に広がるように地に伏せるオーク達と、その中心にいたのは一匹のもがくオークの頭を前足で踏みつけ更に二匹目のオークを口に咥えるチッチャだった。
チッチャは咥えたオークを勢いよく放り投げると、前足に力を入れる。
――グシャッ。
という何とも言えない音がして、チッチャの足元でもがいていたオークの動きが止まった。
放り投げられたオークは高い天井スレスレの壁に物凄い速さで激突すると、跳ね返り地面へと落ちた。
十五メートル以上はある高さから地面に衝突したオークは無論、二度と動くことはなかった。
『麗ねぇちゃ! 豚さん二匹しかいなかったにゃ~』
「残念だったね。でも、まだいるから次はいっぱい倒そうね」
走り寄ってきたチッチャを抱きとめ、ヨシヨシしながら慰めていると横にいたマクシミリアンさんから声が掛かる。
「すまなかったね。レイの従魔達の為に手加減していたんだが…」
「それがね、ここのオーク、やっぱり発情してるみたいで俺達に別の意味で襲いかかってきちゃったからさ」
「だからレイには…そ、その…あんまり近づけさせたくなくて…」
マクシミリアンさんは最後、言葉を濁したがヨアヒムさんが事の次第をかい摘まんで説明してくれて、グロウ君もその事で私の心配をしてオークを倒していたようだった。
「心配してくれてありがとうございま…『大丈夫なのにゃ! 豚さんはぼくがいっぱいやっつけるから麗ねぇちゃは心配ないのにゃ!!』
私の言葉を遮りチッチャがぷりぷりと怒ってしまった。
チャッチャ『読んでくれてありがとなっ』
チッチャ『なんだか麗ねぇちゃ達と別れたあと、急にしっぽがブワッてなったにゃ…』
チャッチャ『あー…あれな…まぁ気にすんな』
チッチャ『なんにゃ! 知りたいにゃ』
チャッチャ『いや、知らんほうがいいぞ』




