ダンジョンの魔力
ダンジョンの魔力が漏れ出る。
これは通常であれば、あり得ない事だという。
「ダンジョンは内部が傷付くと直ぐに自己修復が始まります。それは外部からの傷も同様です。なので……ダンジョンの魔力が外へ漏れ出すなんてあり得ない…」
「―――可能性が無い訳ではない」
「!? …まさか」
「ダンジョンが此処を取り込もうとしている…だな」
グレンさんとギルドマスターの話だと、ダンジョンがこの隠し通路を取り込もうと侵食している可能性があるということだった。
「まさか、そんな事が本当にあるなんて…」
「英雄時代にはダンジョンに取り込まれた城があったというが…」
(ダンジョンに取り込まれたお城!?)
「ふっ…レイ、残念だったな。今は跡形も無いぞ。城に元々あった伝説の宝と間違えダンジョンコアを盗もうとして破壊したと伝えられている」
ギルドマスターに心を読まれた、というより表情に全て出ていたようでギルドマスターには笑われ、横では蒼兄さんが呆れていた。
薄暗い中でも分かるくらい、どんな顔をしていたのかと、思わず恥ずかしさで俯いてしまう。
「まぁ、これは我々の予想でしかない。だが、ゴウとソウがどういう経緯でこれを知ったのか…」
『僕達が教えたんだよ。本当ならオーク退治中にこっそり塞いで、二度とこんな事が起こらないようにしておく予定だったんだ』
ギルドマスターを遮ったのはクリス。
「せめて私とグレンには知らせてほしかったが」
『それは悪かったね。でもこれも僕達の役目なんだ。分かってくれると助かるよ』
「承知した。しかし、何かあった時は手を貸そう」
プギャ――――……
通路の奥でまたもオークの叫び声が聞こえてくる。
チッチャがそわそわと通路の奥を見る。
「では我々も急ごうか」
『うにゃ~ん!!』
マクシミリアンさん達に追い付くべく、私達も奥へと急いだ。
◇◇◇◇◇◇
暫く奥に進むと先程から聞こえるオークの悲鳴が大きくなり、更に進むと事切れたオーク達が通路の床に点在していた。
「あーら、遅かったわね」
今まさに柄の短い大斧を振るうアランさんがオークの首を刎ねながら笑顔で言う。
ここまで来る途中で見た欠損のあるオーク達は言わずもがなアランさんのようだ。
少し離れた所ではアダムさんがオークを殴り飛ばしている。
『ん? この先のオーク、なんか一か所に集まってんな』
『ねぇねぇ、早く行こうにゃ。早く豚さんやっつけたいにゃ!』
「あらやだ! グロウちゃん大丈夫かしら。此処も粗方片付いたしグロウちゃんの所に急ぎましょ」
「マクシミリアン達も一緒なら大丈夫だろ」
何やら不穏ことを言い出すチャッチャに早く次へ行こうと急かすチッチャ。
この先で戦っているであろうグロウ君の身を案じるアランさんと心配ないと言うアダムさん。
彼らと共に私達は通路の更に奥へと急いだ。
チャッチャ『読んでくれてありがとな』
チッチャ『次こそ絶対に豚さんをやっつけるにゃっ!!』
チャッチャ『あんまり、はしゃいでると剛にぃちゃに怒られるぞ』
チッチャ『わ、わかってるにゃ…』




