えっ!? 誰?
はて? どこかで見たようなと思っていたら青い瞳と視線が合い微笑まれ、どきりとする。
思わずクリスの後ろに隠れた。
「あーあ、レイちゃん怖がらせちゃったよ」
「大人の魅力はまだ早かったかな」
「はぁ? よく言うよ」
ヨアヒムさんと親しげに話しているけど、この人がもう一組の討伐パーティーの人なのか。
(ん? あれ? グロウ君がいない)
周りを見渡せどグロウ君はいなかった。
さっきまではいたのに、今は影も形もない。
クリスの影から、こっそりと覗く。
やっぱり見覚えがある。
が、思い出せない。
クリスの後ろで、うーんと唸っていると。
「やっと来たか」
声の方に振り向くとギルドマスターがいた。
「あぁ、久しぶりのご指名だったんで少し張り切り過ぎた」
「はしゃぐのはいいが程々にな。……ところで君は何をしている」
謎の人物と会話を交わしたギルドマスターが、クリスの後ろに隠れている私を見て不思議そうに聞いてくる。
「なんだか気付いてないみたいだよ」
「何がだ」
ヨアヒムさんが謎の人物を指さすとギルドマスターは謎の人物を見やり、一瞬考え込むが「あぁ」と頷く。
どうやら意味が分かったらしい。
私は首を傾げる。
だけど、私が気付いてないということは謎の人物は私が知っている人ということだ。
(ギルドマスターと同じぐらいの背格好、金髪に青い瞳――…ん? 最近会ったような…)
「あ…」
皆が一斉に注目する。
「アダムさん!」
沈黙の中に、口を押さえるが笑いを堪えきれないヨアヒムさんの声が響く。
(って、違うよね。だってアダムさんは髪は短いし…でも顔は同じ―――…)
「ご指名ありがとう。かわいいお嬢さん」
声の主は酒場の奥から現れたアダムさん。
「えっ?!」
謎の人物とアダムさんを交互に見る。
「んもぅ! レイちゃんったら全然気付かないんだからっ!」
謎の人物から発せられたのは先程までとは違う、どう聞いてもオネェ言葉だった。
「っ!!? もしかして…アランさん?」
「その〝もしかして〟よ」
これでグロウ君が急に消えたのも納得がいった。
その後、グロウ君はギルドの受付のカウンターの下に隠れている所をエリーナさんに見つかり摘まみ出されていた。
今は出来るだけアランさんから距離を取り、アランさんが動けばグロウ君も動き絶妙な距離を保ちつつ、いつでも逃げられるようにしているようだ。
それにしても……と並ぶアランさんとアダムさんを見る。
(アランさんとアダムさんって、どう見ても…)
「そ。あたし達、双子なのよ」
まるで私の心を読んだかのようにアランさんが教えてくれる。
「でも、アダムに間違えられるのだけはヤダわ」
「その言葉、そっくりそのまま返す」
アランさんとアダムさんは双子でアダムさんが兄で、アランさんは弟なんだとか。
二人は普段は酒場のマスターと防具屋の店主だけど、現役のA級冒険者でもあり緊急時には時々駆り出されるそうで、今回もご多分に漏れず呼ばれたそうだ。
「アダム、アラン。やはりお前達二人だけか」
「あたしはアイツが王都に行ってるってことしか知らないわ。アダム、あんた向こうで会ったんじゃないの?」
「会ってないな。今の時期、王都はお茶会や夜会やらで忙しいらしい」
ギルドマスターとアランさん、アダムさんの話からすると二人には、もう一人仲間がいるようだけれど、その人は別の仕事が忙しくてここには来れないようだ。
「まぁ、いいんじゃない? 今回は【深紅の薔薇】もいるんだし。それになんたって期待の新人達もいるし、ね?」
アランさんが私達に向けウィンクをするが、今はいつものアランさんではなくお化粧もしていないガッチガチの男の人なので私や兄達はビクリとし、シオン達はフードへ逃げ込み、クリス達も毛を逆立たせていた。
そして案の定、グロウ君が一番ビビっていたのだった。
チャッチャ『今回も読んでくれてありがとな』
チッチャ『ありがとにゃ』
チャッチャ『にしても、オーク狩りはまだかよ』
チッチャ『そうにゃそうにゃ!! 早く豚さんやっつけに行くにゃ!!』
作者「…すみません。もう少し待ってニャ」




