第9話 実習訓練があるらしい
今日も冒険者ギルドの門をくぐる。
冒険者の新人たちがわらわらと集まっている。
「三日後の『暗夜の森』実習楽しみだよな」
などと言う声が漏れてくる。
昨今、魔獣たちの活性化の情報を受けて、冒険者ギルドでは新人教育に力を入れている。
数年前の新人が大量に犠牲になった事件を受けてのことらしい。
「この実習でカッコいい所見せて、モカちゃんにアピールすんぜ」
「はは、お前じゃ無理無理」
「・・・俺はリズちゃんに守られたいかな」
「守られる立場かよッ」
傍目には、遠足気分の者も多い。
「お前ら!遊びにいくんじゃあないからな」
最近『暗夜の森』では『正体不明のでかい魔獣』の陰を見たという報告もある気を引き締めるように
・・・
「ネムリさんも一緒に行けばいいんじゃないですか?」
受付のお姉さんはこっそり囁く。
「なんで」
「さっきから恨めしそうに見てるから」
「別に・・・」
「魔力がないからといって、剣が持てないわけじゃあないでしょ?力はあっても無駄にはならないし、新しい世界だって見ることができますよ」
「・・・」
「仕事行ってきます」
不貞腐れながら出ていく。
受付のお姉さんは短くため息をついた。