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第7話 その英雄、眼は閉じたまま
ネムリは傷ついた少女を守るように立つ。
そのたたずまいは堂々とし、そして、その表情は・・・
すぴー
眠っているようだった。
「なんだこいつ・・・寝ぼけてんのか?」
「ふざけてんじゃねーぞ」
拳は空をきる。
「おらっ」
また、ふらっと避ける。
「・・・」
「おらぁ!」
ひとりの拳がネムリのボディに入る。
「痛ッ拳がッッああ」
その場に倒れこむ。
・・・
「・・・もう我慢ならねぇ・・・」
剣を抜く大柄の男
「おい、何もそこまで」
「死ねぇ!!」
・・
・・・
・・・・
『筋肉は・・・』
『筋肉は・・・裏切らない』
振り下ろされた剣を手ごと受け止める。
「は?」
・・・なんだ・・・こいつの握力・・・動かねぇ・・・
ぎりり
「痛い痛い痛てぇえええ」
握られた手の痛みに耐えかねて剣を離す。
「ちくしょう、覚えてやがれ」
輩どもはすごすごと退散して行く。
(・・・すごい・・・)
モカはその様子をただただ眺めるばかりだった。