第17話 魔女アデーレの問題
魔女アデーレ
若干、16歳にして
帝国の魔術学校を首席で卒業した神童
その後、魔導学術機関を追放されている。
魔術学会でのもめ事が原因であるが、
彼女自身、他の人間の知能が足りなすぎるからだと考えていた。
誰も自分を理解できない、
なぜならば、自分は唯一無二の天才だから・・・そう彼女は考える。
現在は、この帝都のひなびたギルドに在籍しており、
博識多才でギルドのブレインとして
ほぼ毎日書庫の奥深くで書物に囲まれて暮らしていた。
ギルド筆記試験の問題は彼女が作成している。
基本問題70点分、応用問題30点分
50点が合格ラインであり
誰もが『基本問題のみ』を正解して合格を目指していた。
残りの30点分は彼女の趣味である。
いや、嫌がらせである。
自分がいかに賢く
この世の真理を理解出来ているか
世間に訴えかけたいだけ
自己顕示欲・・・そんな風に考えると虚しい気分も湧いてこないわけではない。
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アデーレは新人達の答案の採点をしていた。
おお、全部埋めている子がいる・・・
どれどれ・・・
どうせ適当に書いたに決まっているが
最近は誰も書くことすらしなくなったので珍しくもあった。
・・・
間違ってはない。
まだまだ知識不足ではあるが
よく勉強している。
ここの書籍を熟読してかみ砕かなければこの解釈はできないはず
おお・・・ここはそう来たか
なるほど・・・
・・・
あれ・・・
あれ・・・あれ・・・
目からぽたぽたと涙が零れ落ちて止まらない。
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「ネムリって子はどこかしら?」
いきなり書庫の奥から黒衣装のスタイル抜群の美女が現れて
周囲はざわつく。
「誰?」
「誰?」
「アデーレさん」
ギルドの受付のお姉さんは驚いて目を丸くする。
「うう・・・ようやく、引きこもりをやめて、真面目に働いてくれる気になったんですね、感激です」
「・・・別にそんなつもりはないわ?」
「・・・」
「ネムリって子の・・・筆記試験のことなんだけど」
その場に居合わせたネムリの顔は青い。
ほとんど本に目も通さず、
何の準備もせず、
適当に回答案を埋めただけ
(出来が悪いに決まっている、もしかしたら 悪すぎて 追放されるかもしれない)
アデーレと呼ばれた女性がこちらに向かってくる。
ドッドッドッ
「満点よ」
へ?
(いやいやいや・・・意味が分からない)
まだ少し解釈が甘い所があるけど
それは私が補足してあげる。
さぁ、書庫へこっちこっち
お姉さんに手を引かれ、部屋の奥に連れ込まれる。




