第13話 そんな英雄は存在しない
ギルドの新人達はあっさり帰ってきたらしい。
多少怪我人も出たそうだが
詳しいことはわからないし
首を突っ込む気も野次馬の様に興味津々なわけでもない。
モブはモブらしくほっと胸をなでおろす真似をしていればいいのだ。
それにしても二の腕がかゆい。
虫刺されだろうか
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今日もギルドの戸を開ける。
「!?」
みんなの視線を感じる。
なんだろう、扉を強く開けすぎただろうか
最近、扉が軽くなっている気がする、材質を変えたのか?
「ネムリ!」
ざわついている。
何々、俺、何かやっちゃったのか
「・・・お前・・・おとといの夜は・・・何処にいた?」
?
犯人?アリバイ?
・・・
周囲の視線が集まる。
固唾を飲んでこちらを見守る。
冷や汗が止まらない。
やましい所は何もないけれど、返答次第で窮地に立たされる雰囲気
これは何か濡れ衣を着せられる奴
「・・・家で寝てました」
・・・
しばしの沈黙
「ははは」
「なんだ、やっぱりそうだよ、こいつがあんな勇敢に戦える訳がない」
「やっぱりね」
「リズちゃんも見たでしょ、そんなはず」
「モカ・・・だから、それも見間違いだって」
周囲が和やかになる中、
ジュードが堰を切ったように叫ぶ
「俺は・・・」
「俺が見間違えるはずがない、あれは確かにネムリだった」
「ジュードさん」
「多分、マダラ蜘蛛の毒で幻覚を見たんですよ」
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「あの、事情が全く呑み込めないんですけど」
話を聞くにギルドの新人たちは
蜘蛛の魔獣に襲われてジュードさん達数人が捕まって絶体絶命だったらしい。
その窮地を救ったのが、俺に似た人物だったそうな
「しかも、猛毒牙を持つマダラ蜘蛛に、武器無し防具無しで挑んで、ラリアットとバックドロップで追い払ったんだって・・・すっごいね!」
ギルドのお姉さんは目をキラキラ輝かせていた。
うわぁなんだそれ、普通に引く
俺がそんな命知らずな行動取るわけないだろ
ホントどこの阿呆だろうか




