第1話 この帝都でただ腐っていくのみ
この世には階級なるものが存在する。
とても不平等で
堕ちて往く者を何処までも奈落の底に突き落とす。
最底辺に光なんて刺さない。
・・・
目が醒める。
もう朝か
帝都の上方都市に遮られて
ここは日が刺さないが
もう朝の様だ。
起きないとまずい、
首にされたら野垂れ死ぬしかなくなる。
外套マントを羽織り職場を目指す。
繁華街の方へ
人の数も動きもにぎやかになってくる。
その外れ、冒険者ギルドの戸を叩く。
「お早うございます、ネムリさん、これ今日のお仕事です」
街のゴミ拾いだの、草むしりだの、ネズミ駆除だの・・・要するに下っ端の小間使いだ。
修練場の前を通る。
新人冒険者たちが戦闘訓練を受けているようだ。
「ねぇ、なんで、あいつは戦闘訓練受けてないの?」
「リズちゃん、声おっきいよ」
「なんでって・・・」
「くくく・・・言ってやるなよ、あいつ魔力ゼロの欠陥品なんだからさ」
はははは!!
数人の笑い声が周囲にこだまする。
「確かに・・・一理ある、ネムリは魔法が使えないが、体を鍛えることはできる、どうだ、一緒にやらないか?」
講師の高ランクの戦士が俺を誘う。
「・・・」
俺はそっぽを向いてその場から走り去った。
$$$
今日も一日が過ぎた。
仕事はそれなりにキツイ。
寂しい晩飯を食べて、ベットに入る。
今日の出来事が頭の中をよぎる。
『筋肉は裏切らない』
・・・
うるせぇ
この世に俺を裏切らないモノなんてないんだよ
そんな事を考えている内に眠りに落ちていった。