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恋人になりたい!  作者: 蒼井真ノ介
3/7

待ちわびて

ちひろは好きな人には純粋で一筋な女の子。お転婆でピュアで天真爛漫で優しくて思いやりがあって、自分に正直な女の子なんです。

 ちひろは部屋の明かりを豆電気1つにして借りたばかりの映画を見ながらクリームソーダを飲んでいた。


 映画開始から20分が経過していたがストーリーが全然頭に入ってこなかった。 もう一度最初から見直してみる。やっと久々に見れる喜びは大きいけれども、雑念ばかりが頭に浮かんできて、散漫な状態で気持ちが噛み合わないでいた。


 ちひろは部屋の中で飼っているブルドッグ犬のジョニーに「わん!」と吠えてみた。

 ジョニーはお座りをしたまま、じーっと、ちひろを見ていた。


 ちひろは頭を撫でて抱き締めるとジョニーは腕の中でもがいた。


 ちひろは食べかけのドーナツを取ろしたら、飲みかけのクリームソーダを倒してしまった。


 「あーっ! もぉう!」と文句を言って、ちひろはティッシュを探すが無い。


 「あれ!? どこだ?」 立ち上がり電気をつけて、辺りを見回すが見当たらなかった。


 『探している時には、見付からないし、出てこないというこの法則は、一体、何故なんだろう?』とちひろは思っていた。


 諦めたり、もういいやと気が抜けた時に、ひょっこりと顔を出した時には、ため息をついてしまう。


 「奇々怪々なんだよね。この現象」とちひろは言ってトイレに行きトイレットペーパーを代用して床を拭いた。


 ちひろは鼻歌を歌いながら、いつになくウキウキして床を拭いていた。


 ちひろは『本当に今日は幸せすぎる1日だわ』と思っていた。


 「里村裕貴くん。里村裕貴くん。ムフフフッ」と言いながらニンマリとしてしまう。


 「裕貴くんから携帯のアドレスを教えて貰ったし、私の事を以前から知っていたみたいだしさ。ムフフフフッ。嬉しすぎるよー! フフフフッ」とちひろは汚れていないスペースにまで手を伸ばし拭いていた。


  ちひろは裕貴が携帯のアドレスを書いてくれたレシートを財布から取り出して、高速でスマホにアドレスを打ち込んだ。


 「どうしようかなあ〜、メールを送ろうかな〜、まだ早いかな〜?」と言いながらスマホを前にして贅沢な悩みに耽ってみた。


 ちひろは映画を見た。ストーリーが進んでいた。


 リモコンで最初から再生にするためのボタンを押した。ちひろは床を拭きながらスマホを見つめた。


 「もうメールを送ろうかなあ〜? ムフフフフ」とちひろは独り言を繰り返していた。


 床を掃除し終えてから、改めてスマホを見つめた。 「よし、送ろう!」と言いながらメールを打った。


『裕貴くん、こんばんわ! 先ほどはどうもありがとうございました! 早速、映画を見ています。アドレスを教えてくれて本当にありがとうございした! 嬉しかったです。また、メールを致します。裕貴くん、今後ともよろしくお願いします』 ちひろより」


 ちひろは汗だくになっていた。たったこれだけの短いメールを打つのに30分は掛かっていた。

 ちひろは映画を見た。また物語が進んでいたので、始めから再生にするボタンを押した。


 「エイッ!」とちひろは念を込めるようにしてメールを送った。


 ちひろは「キャッ、キャッ。あははは」と言いながら部屋の中を駆け巡った。

 釣られてジョニーも追いかけていく。


 スマホを見る。

 返信はない。


 ちひろは部屋を歩き回っていた。


 スマホを見る。

 返信はない。


 ちひろは部屋を行ったり来たりする。


 スマホを見る。

 返信はない。


 ちひろは足を交互にくねらせてから、お腹を擦ってスマホをテーブルの上に置いた。


 戻る頃には返信が届いていると期待を込めてトイレに行く。


 3分程でトイレから急いで戻ってきた。


 ちひろはテーブルの上を覗き込む。

スマホを確認をしたが返信はない。


 ちひろは少し苛立った。

 「やっぱり、メールを早まったかなぁ〜?」と黒々とした不安な気持ちが頭を過ってきた。


  ちひろはベッドに横たわり映画を見つめた。また物語が進んでいたので、最初から再生にする。一旦、スマホの事を忘れて、今度はじっくりと映画を見ようとした。


 枕の横にあるスマホに手を伸ばした。

結局、2分くらいしか我慢が出来ずにスマホを見た。


 返信はない。ちひろは意気消沈してきた。


『もう絶対に、スマホは見ない!』と決意をした。


 テレビを眺めた。今度こそ、ようやく映画が頭に入ってきたので落ち着いて見ることが出来そうだ。


『素敵ね。良いねぇ。モンゴメリー・クリフトの繊細な演技』と思いながら見ていた。


 ちひろは映画を見ることに、ようやく夢中になってきた。


 少し経過して、ちひろは「あっ!?」と声を挙げた。

 一時的にスマホを頭からすっかり忘れていた事に驚いて慌ててスマホを見た。

 やっぱり返信がない。スマホに向かって「どうしたのさ?」

と言ってみた。映画は中盤に差し掛かっていた。裕貴の返信を半ば諦めつつあった。ちひろは眠くなってきたので目蓋を閉じた。




すうーっ、




すうーっ、




すうーっ、




ハッ! あっ!?




「いけない!! 一瞬、寝ていた!!」とちひろは言って慌てふためきながら、体を起こした。


 時計を見ると、時間は午後11時を少し過ぎていた。ちひろはスマホを見た。


 返信があった。


 「裕貴く〜ん♪ 裕貴く〜ん!」とちひろは大声を出してしまったので口を押さえて周り見回した。


 ジョニーは、じーっと、ちひろを見上げて「ぶわぁん!」と一声吠えた。ちひろはスマホを見た。




「ちひろさん、メールをありがとうございます!嬉しかったです!返信が遅くなってしまい、ごめんなさい。ちひろさん、明日、何処かで会いませんか?ちひろさんに会いたいです。 裕貴より」




 「これは夢だあーっ! 絶対に間違いなく夢なんだよぉ〜! ブハッ、えへへへへ。ムフフフッ。お願いだから夢なら醒めないでぇ〜っ!」とちひろは言って舞い上がって跳び跳ねた。

 ジョニーは、じーっと、ちひろを見上げて「ぶわぁん!」と吠えてから、クルクルと回り出し、自分の短い尻尾を追いかけた。


 ちひろは映画「終着駅」を見るとエンディングが近付いていた事に気付いたのでので「ホイ!」と言ってから最初から見るためにリモコンのボタンを押そうとして手を止めた。


 「これは、もう、や〜めよう」と言って、もう一本借りた映画『めぐり逢えたら』を取り出して、こちら先に見ることにした。





つづく

ありがとうございました!

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