2人に純粋な恋が訪れた
恋は落ちるもの。いつどこで稲妻に打たれるのかはわからない。2人は無関心を装っていたが心は嘘をつけない。お互いに感じていた。2人に純粋な愛が訪れた。「この人だ!」と思ったら、気持ちを素直に伝えたい。何もしなければきっと後悔だけが残るのだから。
ちひろは顔の火照りを感じて動揺していた。
「DVD、どうもありがとうございます」とちひろは丁寧に御礼を言って頭を下げた。
「いえいえ、大丈夫ですよ」と男は笑顔で答えた。 間近で見る彼の顔は優しくて美しかった。
凛々しい顔つきからは品の良さや知性を感じられたし、さっき見せてくれた笑顔は少年のように可愛らしかった。
男の綺麗な肌はシミ1つなくて白く滑らかな肌をしていた。
目は無垢な輝きを放っていて、吸い込まれてしまいそうだった。
ちひろは気が動転していた。『この世にこれほど美しい男の子がいるなんて、信じられない』と思っていた。
「あ、あの〜、以前、貴方を本屋で見掛けたことがありました。本当に本当ですよ」と私は言った。
「そうなんですか?偶然ですね。僕も君のことを5日ほど前に本屋で見掛けました」
「はっ!? それは本当ですか?」
『えーっ!? ぐはっ! 私のことを知っているのぉ? えっ!? えっ!? 何を言ってらっしゃるのかな!? わた、わた、私を見たって?』と私は真っ赤なトマトケチャップ並みに顔が赤くなり、足が震えて出していた。
「私を本屋で見たと…。へぇ〜、見ていないでさ、コミュニケーションが出来たかもね、ちょっと、もったいなくないかな? そりゃ、まあ、何て言うのか、じ、じ、実に、嬉しいし、すげぇい(凄い)事ですわよねえ?」
「うん!?」と彼はアゴを突き出し、眉を上げて聞き返した。
「あははは…」私は顔が爆発しそうだった。
私は日本人で生まれたので日本語を話します。
今の私の日本語は自分でも『なんだそりゃ!?』と言いたくなります。
「確か、お友達とご一緒だったとように思うけど?眼鏡を掛けた女の子です」と彼は自分の腕を組んで、思い出しながら言った。
『あっ!茜のことだわ!緒川茜。同級生の仲良しの女の子。映画大好きっ子な彼女に誘われて5日前に本屋に行ったのだった。まさか、彼が居たとは、全然、気づきもしなかった』
「その子は親友です。私を見掛けていたのなら、迷わずに声を掛けてくれると良かったのになあ〜」と私はまだ友達でも知人でも友人でもない彼に対して馴れ馴れしく言ってしまった。
「その方が良かったかもしれないね。もっと早くに出逢えたのだから…」と彼は独り言のように呟いた。
「ふぁい? えっ?」ちひろは明らかに激しく混乱していた。
「実は、君のことを前から何度も見掛けていたんですよ。可愛らしい、素敵な女の子だなぁ、と思って見ていました」と彼は自分の後ろ髪を撫でながらハニかんで照れていた。
「ウ、ウ、ウソ!?」
ちひろは、慌てふためき、オロオロとしながら、持っていたDVDを元のケースに入れて、また取り出すと、再びケースの中に戻した。
「僕は、裕貴です。里村裕貴と言います。良かったら、君の名前を、是非、教えてくれませんか?」裕貴は顔がストロベリーのように赤くなっていた。
「幸田ちひろです」ちひろは足元を見ながらモジモジとして落ち着かない。
『ヤバイのです。恥ずかしくて顔をあげられない。どうしょう? ヤバイ、恥ずかしい、どうしょう?』
裕貴は胸ポケットにあるペンと、財布にあったレシートを取り出して、その裏に自分の名前とアドレスを書いてちひろに手渡した。
「待っています。メールはいつでも大丈夫です」と裕貴は言ってから、「それでは、また」と言い走り去って行った。
裕貴は階段を降りた所で振り返ると、ちひろに笑顔で手を振った。
ちひろは、あどけない表情をして手を振り返した。
つづく
ありがとうございました。早い展開になりました!またよろしくお願いいたします!