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雨の日  作者: 日和
9/11

オレが雨の日を好きな理由②

ほとんどの人にとっては、うっとうしい。

でも、オレにとっては、待ちわびた梅雨。



堂々と、ほとんど毎日朝練を休める。


…それだけじゃない。

オレは、未だにあの子に会える、雨の日の朝を楽しみにしていた。




初めて見かけてから約二ヶ月。


心に芽生えていた淡い気持ちは、日々、むくむくと大きくふくらんでいた。


そして、今日も雨。


彼女がいるから、という理由だけで、すっかり定位置になった、二両目のドア横を陣取る。

たぶん、いつも通り彼女が乗り込んでくれば、隣に来るはず。


そして、その予想は、想像以上に大当りする結果となった。


今日は、いつもより人が多い、気がする。

故に、隣との距離が近い。計画通り、あの子は隣に乗ってきた。


今、オレの全神経は、右腕に集中している……!



ガクン………ッ



突然、電車が大きく揺れた。

曲がりカーブか何かで、別段珍しい事じゃない。

のだけれど…。

揺れた拍子に、人がぎゅっと詰まって、彼女の顔がほんの一瞬、オレの胸にトンと埋まった。


シャンプーだろうか。

イイにおいが、一瞬香った。


ヤバイ…心臓つぶれる…。


しかも、なんか…見られてる?

なんだ?顔になにかついてる?



それとも、オレ臭い…!?



気にしない風を装って、携帯を開いてはいたけれど、不安でいっぱいで、画面をただ見つめるだけ。

ちらっと彼女を見ると、もういつものポーズに戻っていた。


…気のせい?

いや、オレが気にしすぎなだけか…。


漫画だったら、ここで声をかけたりして、仲良くなれたりするんだろうな。


でも、オレにそんな勇気はない。


―もう認める。


オレは、彼女が好きだ。

たぶん、一目惚れだったんだと思う。


認める、けど…。

一体これから、どうすればいい?


手を伸ばせば届くし、声をかければ応えてくれるだろう。

なのに、それができない自分にイラついて、すごく苦しい。

気持ちと妄想ばかり大きくふくらんで、現実とのギャップに落ち込んでばかり。

出口なんて、とても見つかりそうにないまま、うろうろと、ただ、さ迷っているみたいだった。


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