表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨の日  作者: 日和
8/11

オレが雨の日を好きな理由①

彼女を初めて見つけたのは、ある雨の日の朝。



満員電車の中で、必死に棒(っていうのか?あの、座席の横についてるやつ)を握りしめて、押し潰されないように、堪えていた。



ずっと下を向いているせいで、顔はよく分からなかったけれど、ちらっと見えた、大きな瞳。


たくさんの人に怯えるかのような、小さな肩。



守ってあげたい…。



自然と、そう思ってしまった。

部活でサッカーをしているオレは、朝も練習がある。


朝、起きる事があまり得意じゃないオレは、雨の日が好きだった。



理由は簡単。

朝練がないから。

早く起きなくてもいいから。



まぁ、満員電車は苦手だけど、朝5時起きよりは、ずっとマシ。


そんな、不真面目な理由だった。のだけれど、彼女を見つけてからは、彼女が、理由になった。


オレが、雨の日を好きな理由は、彼女に会えるから…なんて、いくらなんでも、乙女チックすぎるだろうか。


「なぁー」


「んー?」


「お前、一目惚れって、した事あるー?」



雨の日でも、放課後、体力づくりという名のストレッチなどはあって。

今は、校舎の廊下にて、その真っ最中。



高校生活も二年目となると、先輩もそんなにうるさくない。

嫌われるような生意気な事は、していないし。



軽く身体を伸ばしながら、部活仲間で、クラスメイトでもある、章吾と、いつものようにくっちゃべっていた。


「一目惚れー?お前が?」


「いや、お前がだよ」


「オレは…ないかなぁー。あの子カワイーってのだったら、しょっちゅうだけど」



そう言って、ニッと笑う章吾とは、話しやすい。

こんな風に、小さなくだらない質問にも、ある程度真剣に答えてくれる。



他のヤツらじゃ、突っ込まれて、冷やかされるのがオチだからな…。


「なになに?悠斗、一目惚れしちゃったの?」


キラキラした目で、章吾が聞いてくる。



一瞬迷って、「そんなんじゃねーよ」と答えた。



こいつの言い分だと、ただカワイイって思うことは、一目惚れにならないらしい。


それなら、急に芽生えた、甘酸っぱいこの感情は、一目惚れとは違うのかもしれない。



とりあえず、また、明日も雨が降りますように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ