6月24日ー曇りー
今にも泣き出しそうな、曇天。
ううん、泣きそうなのは、私。
シャワーを浴びて、そのまま寝ちゃったから、髪の毛は大爆発だし、顔はパンパンだし…。
何より、昨日見た光景が頭から離れてくれなくて、気分は最悪。
本当は、分かってる。
あれだけかっこいい人だもん。
きっと、彼女の一人や二人、いるに決まってる。
頭ではそう分かっていても、心はまだ、「私の王子様なのに!」って、叫んでる。
なんて自分勝手。
「恋って、つらいものなのね…」
ぽつり、ともらした言葉が聞こえてしまったらしく、愛が大袈裟にため息をついた。
この数日で、一体何回愛に呆れられただろう。
…数えたくない。
「恋って言えば聞こえはいいけど…。あんたのは、まだ、ただの独りよがりよ」
「ひとり…よがり?」
「そ。一人で勝手に泣いたり、喜んだり。一回も相手を巻き込んでないじゃない」
「そっか…私、まだ、何もしてないんだよね」
「そうそう。彼女がなんだ!めいっぱい巻き込んで、振り回して、奪い取れ!」
愛が、燃えてる…。
「い、いや…。そこまでの、昼ドラ展開は、期待しないで…。とりあえず、私、話しかけてみる!」
全部はそこからだ!と、気合いを入れて言うと、なーんだ、残念。
なんて、口では言いながら、愛も嬉しそうに笑ってくれた。
独りよがり。
すっかり恋愛していると思い込んでいた私に、その言葉はけっこうショックだったけれど、愛の言っている事はもっともで、納得してしまった。
梅雨も、もうすぐ終わり。
私の恋の相手は、雨の国の王子様なんかじゃなくて、ちょっとカッコイイだけの、普通の、高校生の男の子。
止まっていた初恋が、やっと動き出した、ように感じた。
ここでヒナちゃん目線終了。
次から王子様改めユウくん目線スタートです。