初めの仕事は魔物退治
目がさめると森の中にいた。
本当に異世界に来てしまったらしい。
何処か自分の身体に異常がないか確認する。
死ぬ前に来ていた学校の制服を来ている。
所々自分の血で汚れているが身体にはなんの傷もない。
辺りを見回してみる。
何もない、ただなんだかよくわからない植物が鬱蒼と生えているだけだ。
『とりあえず街を探すか、どっちに行ったらいいのかわかんないけど』
近くに落ちていたアボカドの種を杖を持って森の中を歩き始める。
1時間ほど歩き、少し疲れたので休むことにした。
木の下に腰を下ろして、今後について考えていると何かが近づいてくる音がした。
すぐさま近くの岩陰に隠れて、辺りをそっと見回す。
すると赤い小鬼の様な物がわらわらと出てきた。
ざっと20〜30匹はいるだろうか、見た目はゲームとかでよく見るゴブリンといった感じだ。
(やべーな、杖はあるけど魔法使うのに何を唱えたらいいんだよ、なんかあいつら斧持ってるし、見つかったらタダじゃ済まなさそうだな)
こっそりとゴブリン達を見ていると、1匹と目が合ってしまった。
すると奴らはどんどんこっちに近づいてくる。
(まじかよ異世界来て早々死にそうだわ!早く何かしないと殺られる!)
何かないか急いで探していると、ポケットの中に紙が入っているのに気づく。
藁にすがる思いでなかを確認する。
ー 困ったら、『アボカドほいほいアボほいほい』ー
これしか書いてなかった。
『なんだよこれ!もうヤケクソじゃい‼︎』
岩陰から、身を乗り出し杖を構えてあの言葉を唱える。
『アボカドほいほいアボほいほい‼︎』
杖の先端が光輝く。
するとゴブリン達は苦しみだし、身体から植物が生えていく。
アボカドだ。間違いなくアボカドだ。
そうこうしている間にゴブリン達は皆、アボカドの木になっていた。
アボカドがたわわに実っている。
『……すげーなアボほいほい……』
こうして、初めての魔物退治は終わりをつげたのだった。