表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

音楽

「音楽にはね…勝ち負けなんてなのよ。ただみんなが喜んでくれるか…自分が嬉しいかだけなの」


そう言って、笑いかける…眩しい笑顔が、愛香は大好きだった。


「お姉ちゃん…」


愛は女を狂わすというが、愛香の姉は、自殺した。


類い稀なる才能を持ち、その歌声はのちに世間を震撼させるはずだった。


しかし、姉はこの学校で死んでしまった。


愛香は、姉が飛び降りた屋上のフェンス越しに、姉が最後に見ただろうと思われる風景を見下ろしていた。


本当なら来るのも嫌な場所のはずだが、愛香には来なければいけない場所のように思えていた。




(音楽が…悪いだよ!)


姉をレイプした男を、ここに呼び出した時、男は怯えながら、そう言い放った。


どういう意味だと、問い詰めたら…泣き出した男は、少しだけ本当のことを話した。


姉と付き合ったのは、軽音部だったからだと。そして、最終的な目的は…軽音部の廃部だと。


(どういう意味だ?)


それ以上は、その男は話すことはなかった。


学校から、厳重注意に終わった男は、春休みを終えた時には、転校していた。


それも、サッカー部の顧問から推薦状を出されて。



(どうして…軽音部を廃部させたかったんだ?)


愛香は知らない。



サッカー部の顧問である高橋の思惑を。



愛香の殴り込みは、結果的に廃部を早めてしまった。


(あたしに…軽音部を復活させることはできない)


当事者である愛香には、その資格がなかった。


姉とのユニットでプロを目指していたはずの丹波でさえ、姉の死のショックで、一気にやる気を無くしていた。




(あ、あたし!この学校で音楽をやりたいんです!だから…あたしと一緒に!)


ゆうの言葉を、思い出していた。


「あの子は…」


愛香は、フェンスに指をかけた。



「やっぱり…ここだったのね」


愛香は突然、後ろから声をかけられて、はっとして振り返った。


「友伽里さん」


愛香の後ろに、腕を組んだ丹波友伽里が立っていた。


「ここ…いつも来てるのね。綾乃の命日には」


友伽里は、空を見上げた。


「あたしは、ここから下は見れないわ。まだ…綾乃の悲しみが残っていそうで…」


悲しく微笑む友伽里から、愛香は目を逸らした。


何も言わない愛香に、視線を向けると、友伽里はまたすぐに視線を外した。


愛香の立っている場所は、正しく姉が飛び降りたところだからだ。



「一年の子が、来なかった?あんたを誘いに…」


友伽里の言葉に、愛香は目を見開き、顔を向けた。


友伽里は横を向いたまま、


「あたしのことに来たのよ。音楽をやりたいというから、あんたを紹介したの」


その言葉に、愛香はキレた。


「余計なことを!」


「余計なこと?」


友伽里は眉を寄せながら、愛香に顔を向けた。


「余計なことよ!あたしは、1人でもできる」


「あんたがやろうとしてること…。1人でできる?」


「できるんじゃない!あたしは、やるんだ!!」


愛香の叫びに、友伽里は冷ややかな視線を浴びせ、


「あんたがやろうとしてること…。それを、綾乃が喜ぶかしら?」


少し馬鹿にしたように言った。


「あたしは!」


「お姉ちゃんより、才能があると?」


友伽里は、愛香の言葉を遮った。


「…」


無言になる愛香。


友伽里は肩をすくめ、嘲るように言った。


「確かに、そうかもしれないけど…今のあんたは、綾乃には遠く及ばない」


「な!」


「あんたは、音楽というものをわかってない!あんなにそばで、綾乃の言葉を聞いてたはずなのに」


友伽里は哀しげな目を、愛香に向けた。


愛香はなぜか…友伽里の言葉に異様に反応した。怒りが込み上げたけど、なぜか反論できなかった。


言葉を待っていた友伽里は、震えるだけの愛香に背を向けた。


「別にだからと言って、否定はしないわ。あんた自身の問題だし」


友伽里は手を上げて、屋上から消えようとする。


「…一体、何の用だったんだ」



友伽里は屋上の入口に消える前に、一言だけ言った。


「あんたに言いに来た子…。あの子が、加藤美咲よ」


「加藤美咲…」


その名前に、凍り付く愛香の様子を見てから、友伽里は屋上から消えた。


「加藤…美咲…。あの子が!?」


愛香は、美咲に会ったことがなかったから、わからなかった。



早瀬綾乃と加藤美咲。


何の接点もないように思う2人。


綾乃の自殺は、美咲が入学する前だ。


確かに、美咲も自殺したから、そういう意味では接点があるのか。


だが、友伽里がわざわざ言いに来たのは、そういう意味ではない。


綾乃と美咲には、ちゃんとした接点があったのだ。


それこそが、音楽だった。


綾乃が自殺する数ヶ月前、愛香は、美咲の名を聞いていた。


綾乃の口から。


「あたしに、初めてのファンができたの」


そのファンこそが、美咲だった。


美咲は、綾乃がネットに立ち上げたサイトの常連でもあった。


そして、美咲がこの学校に入学を決めたのは、綾乃がいる為だった。


ファンとミュージシャンの壁を越えて仲が良かった2人。


その2人が、一年も開けずに共に自殺した。


愛香は、美咲の自殺ももしかしたら、綾乃の件に関係してるのではないかと疑っていた。


美咲が助かったと聞いて、愛香は直接、話がしたいと思っていた。


だけど、頭を打った為、記憶喪失になっていると噂も聞いていたし、彼女が自分のところに来るとは、思いもしなかったからだ。


なぜなら…。


まだ閉じていないサイトに残っている…美咲の最後の書き込み。


(あたしは、音楽が大嫌い)


そんな書き込みをした人物が、自分に音楽をやりたいと言うとは、思えなかった。


(それとも…記憶喪失になったから…やりたくなったとか?)


素人と聞いて、愛香はまともに美咲を相手にしなかった。


だけど、美咲の目の強さをなぜか覚えていた。


(素人でなくなれば、いいんですね!)





「あの子は…」


間違いなく、あたしの前に戻ってくる。


愛香は、確信した。





「丹波さん!」


屋上へ繋がっている階段を降りて、廊下を歩きだそうとした友伽里を呼び止める声が聞こえた。


友伽里が振り返ると、絵里香が走り寄ってきていた。


「前田先生?」


友伽里は訝しげに、絵里香を見た。


絵里香と話すのは、久しぶりだった。


去年は、絵里香の授業を受けていたからだ。


それに、軽音部の部長だった時、お世話になっていた。


あの事件で、軽音部の顧問だった教師が担当を辞退した時、絵里香は代わりに責任者になるからと、最後まで廃部を阻止しょうとしてくれた唯一の先生だった。


しかし、絵里香が顧問をしているテニス部の関係もあり、軽音部の廃部を止めることはできなかった。



「どうしたんですか、先生?」


息を切らして走ってきた絵里香の様子に、友伽里は首を傾げた。


「…はあはあ…」


息を整えてから、絵里香は友伽里に言った。


「まだ…実現するかわからないんだけど…」


絵里香は、友伽里の手を取った。


「軽音部が復活できるかもしれないの!」



「え?」


絵里香の言葉に喜びよりも、友伽里は眉を寄せた。


「もしかしたら、だけど…多分、大丈夫よ!」


絵里香が、友伽里の手を握り喜んでいる時、職員室は騒然となっていた。


1人の女が、職員室を通り、校長室に通されたからだ。



簡素な茶色のソファに腰を下ろした女に、校長は緊張しながら、お茶を出した。



「ま、まさか…あなたが、引き受けて頂けるとは…」


女の前に座った校長は、思わず感嘆のため息をついた。


優雅に美しい…その佇まいに、校長は見とれてしまった。


「一応…教師の免許は持っていますし」


女は出されたお茶に、そっと手を伸ばした。


「しかし!あ、あなたは、お忙しいはずでは…」


「いえ…今しばらくは、予定がありません。それに、産休の先生が戻ってくるまでですし」


女は、お茶を一口啜ると、微笑んだ。





「え!」


友伽里は、絵里香から告げられた事実に驚いた。


信じられない人物の名前を聞いたからだ。


「あの人が、特別講師として、しばらくこの学校にいるのよ」


少し興奮気味の絵里香と違い、友伽里は、ゆっくりと首を横に振った。


「すいません」


友伽里は頭を下げ、


「あたしはもう脱け殻なんです。誰が来たとしても、もう音楽をやる力は残ってません……だけど」


徐に、今さっき降りてきたばかりの階段を見上げた。


「あの子には、関係あるかもしれませんが」


絵里香も、階段を見上げた。


そこに立っていたのは、愛香だった。



「早瀬さん…」


絵里香は、目を見開いた。


愛香も絵里香を見て、動きが止まった。


2人の視線が絡まる。






「では…早速ですが…」


「ええ」


校長に促され、女はソファから立ち上がった。


校長室から、再び職員室に姿を見せた女を見て、高橋は唇を噛み締めた。


向こうは気付いていないようだが、高橋は忘れるはずがなかった。


(まさか…本人が!)


それは、予想外の出来事だった。


職員室にいる先生方に会釈して、廊下にでていく女の背中を苦々しく、高橋は睨んだ。




「音楽が、嫌いって…」


その割に、美咲は音楽を選んでいた。


いつもの教室を移動し、音楽室にいるゆうは、目だけで周囲をチェックしていた。


休み時間、ゆうと話す者はいない。


和恵はなぜか、習字を選んでいた。


音楽の教師であった岡村の突然のお産により、ここしばらく自習が続いていた。

さすがにこれ以上、自習はヤバいだろうと思っていたら…。


どうやら、学校側もそう感じていたらしく…今日、やっと代理の教員がくるらしい。


「はあ〜」


ゆうはため息をついた。


代理の先生が来るまで、教科書を捲っていたけど…。


「さっぱり、わからん」


音符が、何かの暗号に見えた。


次の授業を告げるチャイムが、校内に響いた。


ゆうは頬杖をつき、教科書を閉じた。


(こんなんで…音楽できるのか?)


ゆうは自分自身に問いかけた。


その答えは、ため息しかない。


自分のやろうとしていることに、少し絶望を覚え始めた時、そんな思いなんて、吹き飛ばす出来事が起こった。





(風?)


教室の一番前の扉が少し開いただけで、ゆうは廊下から吹き抜けてくる風を確かに感じた。


それは、体感できる本当の風じゃない。


その人が連れてくるオーラのようなものだった。


ゆうは、その風を知っていた。いや、覚えていた。



数年前、黄昏の時に廊下で待つゆうが感じた風。


息を切らして、自分に駆け寄ってくる少女。


ゆうが想い出に浸ってる間に、音楽室に入ってきた人物は、教壇の前に立った。


「!!!!?」


ゆうが現実に戻った時、一番前に座らなかったことを後悔した。


起立、礼、着席を行った後…その人物は微笑みながら、自己紹介を述べた。



「今日からしばらく、岡村先生が復帰されるまで、この授業を担当することになりました…」


黒板に、名前が書かれる。


「速水明日香です。よろしくお願いします」


照れたように、頭を下げる明日香。


それは、明日香とゆうの運命の再会だった。


「明日香!」


思わず名前を叫んで、立ち上がってしまったゆうに、明日香は微笑んだ。


「はい。明日香です」


返事をした後、


「でも、今日からはあなた達の先生になるのですから…最後に、先生をつけてほしいですね」


その言葉に、教室内に笑いが起こる。


だけど、そんな外野の声など、ゆうには関係なかった。


目の前に、明日香がいる。


その事実に震えた。


高校生の頃の面影はある。


だけど、あの頃のあどけなさはなくなり、その代わり凛とした雰囲気がある。


落ち着き、穏やかな佇まいが、あれから過ぎた時の流れを感じさせた。



(そりゃあ…そうだ。あの頃の音楽を始めたばかりの少女じゃない!今や、世界を代表する音楽家…そして)


ゆうは、思いを噛み締めた。


(結婚して…子供がいる)


成長に大人になった明日香と、未だに高校生である自分。


確かに、もう1人のゆう…優一は、結婚している。


だけど…。


(俺は…優一と違う)


笑いがおさまっても、自分を見つめ、立ち竦んでいるゆうの様子に気付き、明日香は声をかけた。


「あなたのお名前は?」



「名前?」


明日香の質問に、ゆうは我に返った。


「ゆ」


一瞬、ゆうと言いそうになった。だけど、言葉を殺した。


「美咲…加藤美咲です」


「加藤さんね」


ゆうは泣きたくなった。


自分のことがわからないのか。いや、わかるはずもない。


今の自分は女の子だ。


気を抜けば、涙が溢れそうになる。


それを、全身に力を込めて、耐えていると、


「さっさと座れよ!気持ち悪いんだよ」


後ろの席の女が、ゆうに向かっていた。


その言葉を聞いた瞬間、ゆうは振り返り、少し赤くなった目で、睨んだ。


まるで、血走っているかのように見えた目は、クラスの女子を射ぬいた。


(ぶっ殺す!)


明日香がいなくて、女でなければ、殴りかかっていた。


ゆうは我慢し、そのまま席に座った。


女子を睨みながら。


(いかん!いかん!)


しばらくしてから、ゆうは心の中で、頭を抱えた。


明日香を見つめたことより、後ろの女子を睨んだことにだ。


ゆうから見たら、このクラスの生徒なんてガキである。


姿は変わらないけど、もう明日香が高校生の頃から、高校生でいるのだ。


学校から動けなかったとしても、月日は流れている。


だけど、再び実体化したのは、最近である。


ゆうは、まだ知らない。


ゆうが絵里香の中から、実体化した時期が…綾乃の自殺後であることに。



少し反省した後は、ゆうはただただ…明日香の声に聞き惚れていた。


昔と声質は変わっていないけど、とても滑らかで、詩でも朗読しているのかと感じる程だった。


うっとりと明日香の声を聞いているだけだから、授業内容など耳に入ることはない。


(毎日…いや、毎時間…音楽でいいや)


そんなことを考えてる内に、授業は終わった。




「ちょっと!あんたね!」


授業が終わると同時に、先程睨んでしまった女生徒が、ゆうの肩を後ろから掴んだ。


「美咲の癖に…何睨んでんだよ!」


凄む女子に、ゆうは笑いかけた後、


「後にしてくれる」


強引に肩を回して、腕を振りほどくと、ゆうはそのまま走り出した。


「な!」


先程からの美咲の予想外の反抗に、女子は絶句し、簡単に手を離してしまった。


ゆうは、音楽室から出た明日香を追った。


別に話すことはないが、話したかった。


ほんの少しでも。



廊下を歩く明日香の背中に向かって、叫んだ。


「明日香…先生!」


速水先生とは言えなかった。まして、結婚前の香月とも言えない。


ゆうの声に、明日香の足が止まった。後ろ姿…肩が震えていた。


ゆっくりと振り返ると、明日香は笑っていた。


「確かに…先生をつけなさいと、言ったわね」


苦笑する明日香に、ゆうは走り寄った。


「あ、あのお〜」


話す内容なんて、決めていない。次の言葉が出ないゆうに、


明日香は微笑んだ。



「あなたが、加藤さんね。話は、里美と和恵から聞いているわ」


「あ、あ…」


突然しどろもどろになるゆうを優しく見つめ、明日香は微笑んだ。


「今日は、ダブルケイには来ないのかしら?」


「ダブルケイ…」


一瞬、すべての単語を忘れてしまった。再び思いだすのに、数秒かかった。


ゆうは慌てて、答えた。


「いくつもりです!いや、絶対行きます!」


ゆうの妙に力んだ口調に、明日香はまた微笑んだ。


そして…。


「今すぐは無理でしょうけど、この学校に音楽を取り戻す為に、戻って来ました。あなたのように、音楽をやりたいと思う生徒の為に…」


その明日香の言葉に驚き、ゆうは目を大きく見開いた。


「短期間しかいれないかもしれないけど…できる限りのことはしたいと思います」


(明日香…)


ゆうは心の中で、感動していた。


世界的な歌手になっても、一学校の生徒の為に、教師になるか…。


ゆうは猛烈に、感動していた。


だからこそ、少し意地悪なことを口にしてしまった。


「そ、それは…娘さんが、いらっしゃるからですか?」


顔を伏せ、視線を明日香から外したゆうに、明日香は答えた。


「それもあるかもしれないわ。だけどね。それだけじゃないの」


明日香はゆうを見つめながら、どこからか一枚の手紙を取り出した。


「あなたは…記憶喪失なのよね。だから、覚えていないでしょうけど…」


手紙をゆうに差し出した。


「和恵から、お名前を聞いた瞬間に、思い出したわ。あなたのことを…いえ、あなた達のことを」


「え」


ゆうは顔を上げ、明日香の顔を見た。


優しい表情に、ゆうは震えながら、手紙を受け取った。


「あなた達の願い…ちゃんと届いていたから」


ゆうは、手紙の裏にある名前に驚いた。


差出人は、美咲だった。


消印は、数ヶ月前の…3月の末。美咲がこの学園に、入学する前だ。


「あたしの所属するレコード会社に送ってくれたけど…その頃は、外国にいて…郵便とかは届かない状況にいたから」


ゆうは、加藤美咲の文字を見つめ、動けなくなった。


「じゃあ、加藤さん。夕方、ダブルケイで」


次の授業の準備がある為、明日香はゆうに手紙を渡したまま、廊下を後にした。



ゆうはしばらく手紙を見つめた後、自分の教室にまっすぐ戻らずに、人目のつかない場所…渡り廊下に移動した。


そして、おもむろに封筒から手紙を取り出すと、内容を確認した。


そこに書かれてあった内容は…。


「そうか…そうだったんだ」


まずわかったことは、自殺した生徒…早瀬綾乃は、明日香の大ファンであり、直接海外までファンレターを出していたこと。


そんな彼女が自殺したこと。


そして、その為に軽音部がなくなったこと。


美咲は、綾乃の為にも、入学したら、軽音部を復活させたいと。


この学校の卒業生である明日香に、出来れば綾乃の追悼ライブを一度開いてほしいと。


綾乃の為だけでなく、明日香の歌声で、音楽の素晴らしさを、この学校の関係者全員に伝えたいと。



すべての文を読んだ後、ゆうは手紙を丁寧に折り畳むと、封筒に戻した。


その後、ゆうは手摺りにもたれると、考え込んだ。



(たった数ヶ月後に…彼女も自殺した)


ゆうは顔をしかめ、


(それは…どうしてだ?)


考え込んだ。


軽音部の復活も諦めて、生きることも諦めた。



(その原因は、何だ?)



思いを巡らせていると、無常にも、次の授業を告げるチャイムが、校内に鳴り響いた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ