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1500  作者: さわ
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朝目覚めて

「朝目覚めてりんご」というお題で書いたものです。

 目覚めはすっきり、とはいかなかった。

 手足に枷がはめられているかのように重い身体。冬だというのに布団の中はサウナみたいに暑く、口の中はからからで、頭には鈍痛。

 うう、と小さくうめく。横になったまま、視線だけ窓に向ける。

 カーテンの隙間から陽が射し込んでいた。もう朝だ。

 昨日ひいた風邪は、一日では治らなかったらしい。


 薬を飲まなければ。食欲はないが、何か腹に入れるべきだろう。

 起き上がろうと腕に力を入れたところで、枕元に林檎の載った皿と手紙があることに気づいた。そのそばにはビニール袋。ペットボトルと風邪薬が透けて見える。

 起こしかけた身体を布団に沈め、うつぶせになって手紙に手を伸ばす。


『お粥は台所の鍋の中にあります。食欲なくてもりんごくらいは食べてね? うちの実家からの直送だから味は保証する!』


 そういえば昨日、あいつ来てくれたっけ。

 一人暮らし仲間の顔を思い浮かべる。

 りんごの皿に手を伸ばし、近くに寄せた。不揃いながらも一口サイズに切られていた。それを一つ口に放る。

 噛んだ端から果汁があふれた。程よい甘さが口の中に広がる。そして、乾いた身体にしみる。確かに美味い。鼻がつまっているせいで匂いはわからないが。

 一つ含み、咀嚼し、また一つ。鈍い速度で胃に収めていく。目覚めた直後よりも段々気分は良くなってきていた。


「あいつ、代返してくれるかな……」


 かすれた声でぽつりと呟いた。

 どちらにしろ、と苦笑する。治ったらあいつにアイスを献上しなければ。

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