3. メチャお洒落したおかげで!
※ 第3話は茂も千鶴も心が躍る幸せ回です。(*^。^*)
✧─ VOL3 ─✧
『ツルミンさんでなくて、実名の千鶴さんて僕がお呼びしてもいいですか?』
茂は恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、口調ははっきりとして男らしかった。
あ、いけない!──と私はハッと我に返った。
『ええ、失礼しました。どうぞどうぞ! 千鶴なんて古臭い名前だけどかまいませんよ』
『そんな古臭いなんて……漢字は『千』と『鶴』でしょう。すごく縁起もいいし綺麗な名前ですよ。見た目だって本当に可愛らしい……』
『え?』
突然の茂の褒め言葉に私は目が点になった。
──可愛らしいなんて、ここ何年も聞いたことがない。
『可愛いです。いやこんな愛らしいイメージの人だったとは!』
『は?』
『すみません、正直、僕はツルミンさんに会うまで違うイメージを抱いてたんです。だからツルミンさんだったら、こういう昔ながらの喫茶店がいいかなって。──本当は待ち合わせ場所も色々ネットで検索して悩んだんですけど……なんだか却って失礼だったなと……』
茂は頬を赤らめた。
私は一瞬あっけにとられていたが、気分を害していると勘違いされたら困る、と慌てて否定した。
『いえいえいえ、そんなことないですよ。私、この【談話室・橘】は以前から来てたし、ここのお抹茶セットの芋ヨウカンも、お団子も大好物ですから、おほほほ!』
『あ、そうですか。良かった! それを聞いて安心しました、あ、僕次は“スペシャル珈琲セット”を頼んでもいいですか? 千鶴さんも、何かおかわりします?』
『あ、私も同じ“スペシャル珈琲セット”でお願いします』
『わかりました、あ、すみません!』とシゲル君はなんとも良い笑顔になって、通路を渡るメイドさんに向かって手をあげた。
その時の茂のきらきらした笑顔を、未だに私はよく覚えている。
なぜなら、その時、茂の真っ白い歯がとてもきらきらして眩しかったから。
──あらま、なんて綺麗な歯並びなんでしょう?
虫歯なんて一ミリたりともなさそう。
どこぞの歯医者に診てもらってるのかしら。
私、甘いモノ大好きだから、常に虫歯に悩まされてるのよね。今度、折を見てシゲル君に聞いてみよう。
私の脳内シゲル観賞はまだまだ続く──。
それにしてもシゲル君、近くで見れば見るほど肌も白くてシミ一つない。
化粧でなんとかごまかしてる私よりずっとお肌、綺麗なんじゃない!
ああ、羨ましい!
若いぴちぴちしたイケメンて、ただ眺めているだけで目の保養になるわ。
ほらみなさい、斜め隣り真向い席のオバサンたら、さっきからシゲル君ばっかりチラチラ見てるじゃないの。
私の顔はさっきからカッカと火照るやら、胸キュンキュンするやら、この場から飛び上がりたいくらい心が躍っていた。
“ひとめ逢ったあったその日から~”とは昔からよくいったもので、この時私は茂に一目惚れしていたのだろう。
だが、後から茂も私に教えてくれたのだが、彼も同じように私を初めて見た時、心が躍ったんだって!
どうやら茂には、若作りした私の外見が気に入ったらしい。
さらに元々茂の好みは、フェミニンな服装の長い巻きロングの女性だったんだって!
まさにドンピシャ!
私は好感度のシゲル君と実際に一回だけでいいから会おうと、一大決心をしてからは努力をした。
若作りの為に美容院へ行き、珍しく髪をセットしてもらった。
デパートでエレガント&ファンシー系のマネキン服を一揃い購入して大正解だったわと、にんまり微笑んだ。
それに茂は昔からグラマーが好みだと、恋人になってからさりげなく私にいったのだ。
──やったあ!
ならば、お菓子を我慢しなくていい、ダイエットしなくていい!と。
この時の私は最高にハッピーだった。




