海と空と太陽と
掲載日:2025/10/16
混沌の銀河に抱かれた太陽は
微睡みのなかで夢見ていた
蒼空に座り、泡立つ青い海を
白波を沸き立たせるは颶風か
森林を貫いて流れる大河か
日輪の王は
緑の森に住む生き物たちと
川沿いの小屋に住む人々を見た
朝露に濡れた草々は
蔓を伸ばして絡みあい
途切れることのない
アラベスクを織っている
惑溺されし彼女
それを見守る彼
狭い四阿の卓上で
パスルを完成させんと
幾何学模様の欠片を睨む
モザイクの一片が零れ落ちる
太陽は息を飲んで見守る
彼女はあわてて手を伸ばし
転びそうな身を彼が抱きとめる
太陽は己が光に照らされる月を眺め
声もなく呟く
「彼女は世界を完全たらんとし
転びそうな彼女を彼が支えし
その二人を支えしは床
床は大地に支えられし
大地は地球の薄い皮膚
その奥に呼吸を司る肺がある
五臓六腑を温めているのは
この、わたしなのである」
そのとき夜の母の
完全なる声が告げし
「不完全なるものたちも
完全の欠片であることを
やがては知るだろう」
神の声が千億の時を越え
木霊していた




