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布田川監督対策会議

 監督の試験をするという発言から2時間は経とうとしていた。

くっそどうするべきか。

 いやそもそも布田川(ふたがわ)監督がどんな選手か知らないな俺。山梨に聞いてみるか。


「布田川監督の現役時代?200勝投手で20年ラビットズでエースとして活躍した。こんな感じかな?」

「どんなボール投げるとかそういうのはわからないの?」

「えー俺一緒に野球やってないからわからないよー」

 キャッチャー志望であるならそういうところ興味持ってほしいな。

「知ってる人なら紹介できるけど」

「あ!本当に?」

「本当だよ。布田川監督の選手時代一緒に野球やってた人今ほらあそこでストレッチやってる人」

 ん?あのひと確か俺にどう接したらいいかわからないって言ってた人だ。

「おーいせんぱーい」

(ぶろっく)じゃないか。あとえーと永谷く……さん」

ばつが悪そうに俺の名前を言ったので

「呼び捨てでも構いませんよ。俺の中では18歳なんで」

そういうと目の前の"先輩"は愛想笑いをした。

「えーと」

「あ、私の名前?川先輩太(かわさき はいた)。みんなからは名字の先と名前の輩を取って先輩って呼ばれてる。えーとよろしく…いやお願いします」

「お願いします」

精神年齢18体内年齢78歳の人とどう接するのかわからないよな普通。

「どうした?」

このキャッチャーを除いて。

「で、私に何の様?」

「あ!布田川監督の現役時代について教えてほしいなって」

「聞いたよ。布田川さ……監督と対戦するらしいね」

「川先さんなら知ってるじゃないかって山梨が」

「そうだね。まぁ私から言えることは170km/hのストレートとフォーク、スライダー、カーブを巧みに使い分けるってことかな」

「なるほど、特にこれって言った決め球はあるんですか?」

「いやー全て決め球ともいうし決め球じゃないともいうし」

「どういうことなんですか?」

「布田川監督は勝負感がいいっていうか、そのー何っていうか聞いた話によるとこの試合を左右する一球がわかるらしいです。その一球に全力投球をするって」

「な、なるほど」

「布田川監督、異世界人が使う能力使えたんですね!」

「いやーそうではないとおもうなぁ。それがわからなくなったから引退したって聞いたし」

「その異世界人の能力ってのが俺まだあんま詳しくわからなくて」

「えーそうなんですか」

「まぁそうだよね」

グランデさんが回復魔法を使ったり、ファタンが何か能力的な物を使ってたのは何となく理解できたが、そこからは正直よくわからない。

「努力して身につけた物が魔法、生まれながら持ってる物を能力って言うらしいよ」

「まぁ俺もよくわかってないで、永谷も分からなくていいんじゃないの?」

「そんな適当でいいの?」

「いいんじゃないかな?最近になって異世界人から『正確には違う』って話が出て分けて呼ぶようにになったから。これまでは全部異能って呼んでたし」

 そんなでいいんか?

「あ、でもファタンはその辺のこと結構気にしてるらしいから能力って言ってあげて」

 意外と、いやそんなに意外でもないか。

「あー話がずれましたね。布田川監督を攻略するんだよね。どうしましょうか」

「あ!先輩布田川監督に弟子入りしてましたよね!だったらモノマネ投球できるんじゃないですか」

「確かに弟子入りしてたから、布田川監督にフォークの握り方とかは教えてもらったけど完璧ではないかな」

「取り敢えず俺が受けるんで投げましょうよー。ほら永谷もバッターボックスに立ってたって」

 そう言われて俺がバッターボックスに立った。

「じゃー投げますよ」

 ゆったりとしたフォームから投げられたボールはとても速かった。

 俺の感覚的には160後半はいってるだろう。

「こんなんじゃ対監督の練習になりませんよ。こんなのいつもの先輩じゃないですか」

「そうかな?結構頑張ってるんだけど」

 これがいつものか。

「大丈夫?永谷?なんか顔笑ってるけど?」

 笑ってる?そうかもな

「いや、ピッチャーとして見てバッターの進化というのは感じたけど、逆はなかったからちょっと笑ちゃっただけだと思う」

「私の球練習になるかな?」

「全然なりますよ。燃えてきましたよ、これを打ってやるって」

「そう?じゃー頑張ってみるよ。私も永谷さんと対戦して何か掴めそうな気がするし」

「じゃー次はフォークいきましょう!」

(ぶろっく)に取れるかな?」

「先輩のフォークぐらい取れますよ」

 俺はこの球を打って初めて野球選手になるそんな風に感じた。

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