59年間からの目覚め
2084年6月25日そう書かれた新聞を読みながら俺は朝ごはんを食べている。
『ラビットズ助っ人異世界人ファタン5試合連続ホーマー』
『異世界渡航ビザなし今年中に』
助っ人異世界人、異世界渡航。俺が寝ている59年間色々な事が起きちゃらしい正直一週間じゃ飲み込めない。
机の上に置かれてる『新歴史』今の中学生が使ってる教科書によると2030年突然秋葉原に異世界の門が現れたのを皮切りに世界各局で異世界の門が現れて、不法滞在問題、戦争になりかけたりなどなど正直下手なラノベを読んでる気分だな。
「失礼するぞ」
声をする方を向くと、頭に深々と帽子、首にオペラグラスを着け、ジャケットを羽織っている50代ぐらいの男性がいた
「君が永谷君?いや年上だからさんか」
「あなたは?」
「自己紹介がまだだったね。はいこれ」
ラビットズスカウト部長 夜屋 闇光と書かれた名刺を渡された。
この人スカウト部長なんだ、これ下の名前なんって読むんだ?
「よるやぶらっくらいとだ」
あれブラックライトって読むんだ。キラキラネームってやつか50代に見える人がその名前なの面白いな。
「なんだ?その顔」
顔に出てしまっていたらしい
「いや特徴的な名前だなって思って」
「名前に関して言われるとかジジィを相手にしてる気分だな…実際そうか」
ジジィ扱いか……ムカつくな。
「見た目が若者なのに老人扱いされたのが不満か?」
そう言われ俺は窓に反射してる自分を見た。その見た目は俺が交通事後に遭ったその時と全く同じ容姿をしていた。
「聞いてると思うが永谷さんにはコールドスリープしていた」
それが俺の容姿に変化がない理由らしい。起きて少しすぎた頃にこの病院の院長に聞いた。
「どうやら永谷さんの交通事故現場にうちの職員あーつまり59年前のスカウトマンが居合わせたんだ。野球界の宝が交通事故で死ぬなんて可哀想だ指名権を獲得したうちが保護をしなくてはってな感じのつまらない口実を並べて君はこうなった」
その辺の理由は初めて知ったそんな理由だったのか。
「このことを知ってるのはラビットズの球団社長にスカウト部長あと数人って言ったところだ」
俺の状態がそんな国家秘密みたいな扱いなんだ。
「永谷さんって呼ぶの疲れるからやめていいか?」
「俺も年上の人さんって呼ばれるの変な気持ちだしそうしてくれると助かる」
「わかった。永谷君。年上の人って言ってるが君の方が年上だからね」
この人一言多いなやっぱり敬意を持ってもらうためにさん呼びに戻してもらおうかな
「でだ永谷君。君をスカウトしにきた」
なるほどな。でも不安なことがある
「俺は今こんな状態で体が動くのがやっとの状態だし、そもそも通用するのか?」
「最もな疑問だ。体についてはリハビリ頑張ってくれととか言えないな。通用するのかって点は私にもわからない」
「じゃーなん……」
そういう前に夜屋さんは言った
「別に私は君がプロになろうなかろうかどうだっていいんだ。球団の意思を伝えにきただけだ」
そう少し怒りに見える声色で言った
「君の治療費にだいぶ使っている。それを何かしらの形で返して貰わないと困るんだ」
確かにそうだよな59年間もこの状態だったんだよな。確かにだな
「来年の1月君の入団テストをするそれまでに最高な状態にしろ」
「七ヶ月で!?」
「どんなテストするかは追って連絡する。ここにある施設は自由に使っていいから」
「ちょっと待って。え!まじで7か......」
「じゃ」
そういい夜屋さんは病室が出て行った。
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夜屋さんが来てから2週間が経った。どうやらこの病院はラビットズと提携しているらしく併設してあるジムに関しては俺が知ってジムの数段上のさらに上ってな感じで至れり尽くせりってな感じだ。ここは俺という存在を隠すために一般の病室からはアクセスができないようになってるらしい俺以外には医者が1人看護師が2人いる。俺が起きた時にいたのは日香理グランデさん。彼女はエルフと人間のハーフらしい。どうやら異世界人との国際?結婚ってのが最近増えてきてるらしい。
「日香理さん起きてきた時にかけてくれた魔法使えないんですか?」
「永谷さん前にも言いましたけど魔法いうのは万能な物ではないですよ」
回復魔法【ヒューリング】どんな怪我もすぐに治せ今の世界は全治何ヶ月という言葉は死後になりかけている……なんてことはなくあくまで魔法は補助的な役割らしい。
「永谷さんあまり無理しないでくださいね」
そう優しく言ってくれたので
「ベンチプレスをそろそろ許可して欲しいです」
「本当は軽い運動もしてはいけないですよ」
今やってるのは40kg程度のダンベルを上げるだけという本当に簡単な筋トレだ。俺が目覚めてから歩くことはそこまでの苦では無かったのは俺が寝ている間病院の人とかが、俺の体を軽く動かしてくれたらしい。
「日香理さん他の魔法でどうにかならないですか?」
「普通魔法というのは1人一つです。稀に複数魔法使える人がいますが一つのことを極めるのが一般的です」
そんな雑談をしていると奥から白衣を着た40代の男性がやってきた。
「パパ」
そう嬉しそうな声色で後ろの男性に声をかけた。
「グランデ、病院では院長と呼びなさい」
この人はこの病院の院長である日香理治先生。グランデさんのお父さんでもある。つまり奥さんはエルフなわけでエルフと結婚するなんて正直言って羨ましい。
「永谷さん体の調子はどうですか?」
「上々です。そろそろベンチプレスなどのハードな運動を許可してもらっても……」
そう言う前に大きな声が聞こえた
「永谷さん!」
「落ち着きなさいグランデ」
俺の体を触りながらそう言った。
「私としても止めたいが、体に異常は見られないヨシ許可しよう」
「ありがとうございます」
「ただし最初は軽くグランデや熊野さんがいる時にやってください」
熊野さんとはここのもう1人の男性のベテラン看護師さんだ若い時は野球をやっていたらしい。
「パ…院長いいんですか?」
「ラビットズからも1月までにどうにかしろと頼まれてるしいつかは許可しないとな」
「そうとなればベンチプレスやるか」
「最初は軽く20kgからですよ」
そう呆れながらグランデさんは言った。
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そんなことがあったからもう3ヶ月経った。これから目覚めてから初の投球練習をする。今はウォーミングアップのキャッチボールを熊野さんとしている。
「永谷さんいいボールですよ」
「熊野さんも50代とは思えないぐらい体動いてますね」
「まだまだ若者には負けてられませんよ!」
俺は若者扱いされていいのかな?そんなことを考えてると熊野さんが
「そろそろ始めますか」
と言いながらキャッチャーマスクを被り始めた。
「サアッ!!コイ!!」
そう気合の入った声を合図に俺は気持ちを切り替えた。
「まずはストレート行きます」
シュ。バッシ
「OK OK」
ミットビタビタとは言わないもののそれなりのコントロールができた。速さは140km/hか。
次にフォーク、スライダー、チェンジアップなどと投げていった。
よしそろそろ本気で投げてみるか
シュ。そう投げた瞬間肩に激痛が
ボールは熊野さんのミットに収まった瞬間に俺は蹲った
「永谷さん大丈夫ですか?今回はこれで終わりにしましょう」
熊野さんの肩を借りながら俺はトレーニング場を後にした。
その時にスピードメーターに出てた168km/hは何かの間違いだろう