継承の決意
皆さんお盆休みはいかがお過ごしですか?
楽しい休みが過ごせますように!
エレナがカルヴァンに魔女の力を継承する時が来た。エレナは寿命が近づいてることを感じ取り、カルヴァンにすべての力を託す決意を固めていた。
「カルヴァン、この日が来るとは思わなかったわ。私はもう長くない。でも、あなたにはこの世界を守る力がある。」
エレナの言葉に、カルヴァンの胸に重く圧し掛かる感情が湧き上がった。彼の目に涙が滲み、心臓が激しく鼓動を打つ。
彼は目の前の母親が自分の命の終わりを悟っていることを理解し、その思いにどう答えればいいのか分からなかった。
「お母さん…僕に何ができるんだろう?」
エレナは優しく微笑み、カルヴァンの手を取った。
「あなたには私の魔女の力を継承してもらうわ。それが私の願い。人々が魔女や魔術に対しての恐怖心をなくして、平和に過ごせる世界にしてほしいの。」
「恐怖心をなくすって…どういうこと?」
「私たち魔女は長い間が誤解され、恐れられてきたわ。だけど、本当は人々を守るために生きているの。魔術も、その力を正しく使えば人々を助けることができる。私の願いは、人々が魔術を正しく理解し、その力を恐れずに共に歩む世界を作ることなの。」
カルヴァンはエレナの言葉に心を揺さぶられ、新たな決意が芽生えた。
「わかった。僕がその願いをかなえるよ。」
エレナはカルヴァンを深淵の森のとある場所にある、聖なる泉へと連れて行く、そこは古の魔法が息づく神聖な場所だった。
リリスも興味深そうにその様子を見守っていた。
エレナは手をかざして古代の呪文を唱え始めた。カルヴァンはエレナの指示に従い儀式に参加した。
強烈な光が彼らを包み込み、その瞬間カルヴァンの全身を強烈な痛みが襲った。
思わず叫び声を上げるカルヴァンに、エレナは励ますように声をかける。
「カルヴァン頑張って!これは試練だけど、あなたなら乗り越えられる。」
カルヴァンは痛みに耐えながら、エレナの言葉を心に刻んだ。痛みが頂点に達した時、エレナの力がカルヴァンに完全に移った。
エレナの力が完全にカルヴァンに継承されると、エレナの身体は徐々に透明になっていった。
「カルヴァン、これであなたは私の魔女としての力を受け継いだわ。リリス、カルヴァンを守ってあげてね。」
カルヴァンは涙を流しながら、エレナに誓った。
「母さん、ありがとう。僕はお母さんの意志を継いでこの世界を変えて見せる。」
それを聞いたエレナは満足そうに微笑み、消えていった。
エレナが消え去った後、カルヴァンはしばらくその場に立ち尽くしていた。彼の心にはエレナとの思い出が次々と浮かび上がり、涙が止まらなかった。
リリスはそんなカルヴァンの横にそっと座り、彼を見守っていた。
「泣いてばかりじゃ、エレナも安心して休めないわ。」
カルヴァンは涙を拭いながらリリスに視線を向けた。
「わかってる。でも、エレナがいなくなったのが辛くて…」
リリスはカルヴァンの肩に手を置き、真剣な表情で彼を見つめた。
「カルヴァン、エレナはあんたに未来を託したのよ。辛いのはわかる。でも今はあんたがエレナの意志を継がなきゃ。それがエレナへの弔いなんじゃないかしら?」
カルヴァンはリリスの言葉に励まされ、少しずつ心の痛みが和らいでいくのを感じた。
「ありがとう、リリス。君がいてくれて本当によかったよ。」
リリスは少し照れくさそうに微笑んだ。
「べ、別にあんたのためじゃないし…。まあでも、あたしもエレナには感謝してるし、あんたのこと見守ってあげるわ。」
カルヴァンはリリスの言葉に少し笑みを浮かべた。
「君がいてくれるなら、きっとエレナの願い叶えられる。そんな気がする。」
「ま、まあ、一緒にやるのも悪くないかもね。」
エレナが消えた後、カルヴァンはリリスと共に深淵の森を出て、アルバンシア王国へと向かう決意をした。エレナの意志を継ぐため、そして自分自身の成長のために、アルバンシア王国にある王立魔法学校に入学を目指す。
「リリス、お母さんの願いを叶えるために、まずはアルバンシア王立魔法学校で学んで知識や力をつけよう。そしてこの世界をもっと良くしていくんだ。」
リリスは微笑み、カルヴァンの手を取りながら答えた。
「し、仕方ないから、あんたを手伝ってあげるだけだからね!」
カルヴァンはリリスの言葉に励まされた。
「ありがとう、リリス。これからも一緒に頑張ろう。」
2人は手を取り合い深淵の森を後にした。